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ひかりそのままの少年から青年へ•映画館で観た「奈緒子」

「奈緒子」のファーストシーンが
蟷螂(カマキリ)だったって今更ながら
映画館で観て驚いている。
ちいさな奈緒子が波切島で雄介のお父さんの船を待ってて波止場で蟷螂(カマキリ)を見つけて遊んでいた。何度も観ているはずなのに記憶になかった。このシーン、もし春馬くんだったら嫌だったろうなって考えたら、すこし笑えた。

カマキリを漢字で書けるのに
あんなに嫌いだったものね。
苦手なものがまるで無いようなひとなのに   怒ったカマキリがいかに苦手かってよく話していた。

奈緒子ストーリー

小さい雄介が波止場でお父さんの船を伴走するように走って、それを奈緒子が船から見つめている。そして雄介のお父さんが海に落ちた奈緒子を助けて亡くなるシーンへ続く。

喘息の治療で島を訪れた病弱な奈緒子にとって 元気に波止場で走り続ける雄介の姿は初恋だったかもしれないのに、あの日からふたりの心の時は止まって、強いわだかまりを残したまま
お互いを意識して生きてきた。
そんなふたりが成長して高校一年生の陸上部の 短距離走のレースで再会する。成長した二人が再会する大事なシーン。大会のエントリーをせずに呑気に芝生の上で他のランナーの見学をしている雄介を奈緒子が見つけて声をかける。まだ幼い顔をしている春馬くんが子供の雄介と重なる、本当に自然な雄介のファーストシーン。

東京に住む奈緒子(上野樹里さん)が雄介の走る姿をただ見たくて短距離走から転向した雄介に会いに九州の駅伝大会までやってくる。
そこで奈緒子は人手が足りないために偶然に  雄介の駅伝中の給水を頼まれる。
奈緒子の差し出した水を受け取らなかった
雄介は、水分不足でレース中に倒れてしまう。 お父さんを失った心の傷が残ったままの彼を心配した陸上部の西浦監督(鶴瓶)は
ふたりのために夏休みの合宿に奈緒子を誘う。

奈緒子がマネージャーとして参加する日々の中で、止まっていたふたりの時間が走ることを通して少しずつ動いていく。

ひたすら走っていること

映画の中ではひたすら
走って走って走り続けているシーンの連続。

春馬くんはよく映画の中で走っている人だけど
『奈緒子』は最高に走らされたんだろうな。
本当につらかったって言ってたね。

だんだん春馬くんの部活に付き合っているような気持ちになって
ひたすら雄介の走っている姿を追って。
そして島の風景を彼の目線で感じる。

ランナーの春馬くんの若さや生命力や躍動感が
画面いっぱいに、そしてその息遣いや汗や焦りや涙が伝わってくる。

こんなに生き生き、生きている。

雄介の無邪気さって春馬くんだね

先輩の柄本時生くん演じる奥田くんが、
試合区間で走って転んでしまった後でドリンクを奥田くんに差し出して、手で払って拒絶されたのに目の前でどかんと足を投げ出して      にっこり笑って手渡すと、その笑顔に受け取らないわけにはいかなくなってしまう。

この無邪気さは、
雄介のキャラクターを伝えるには
ものすごくわかりやすい、そして素の春馬くんを感じる大好きなシーン。

大切な人を失くしても生きていくってこと

そしてこの映画の中でも人が亡くなっていくということを感じてしまう。

雄介のお父さんが船の上でさっきまで生き生きと
船を運転していたのに、次のシーンで奈緒子を助けて海にのまれていくこと。

鶴瓶が演じた西浦監督は亡くなった雄介のお父さんの代わりに小さな彼に寄り添って育てたのに
癌にかかって余命が限られている中で雄介含めて陸上部のみんなの成長を促して、そして「陸上部のみんなが大好きだ。ここには海があって空がある。俺が死んだら空の雲になって、みんなを見守ってるから」と伝えること。

奥田先輩は、「俺は無邪気で才能があふれているお前が嫌いだ。そしてそんなお前に嫉妬している自分がもっと嫌いだ」と告げるシーンがこころに痛い。まさに雄介が、そうなように春馬くんも周りにとって、ずっとそんな存在だったんだろうと思う。

駅伝の大会の中での一区間は、ひとりで走り切るものだけど、タスキを通して想いを繋げていくもの。日々の練習は、地味でただ走り続ける連続だけど、その練習を通して互いの信頼関係が出来ていく。大会のタスキを渡してつないでいく言葉は「雄介に繋げ」。雄介の区間での優勝争いはライバル校のアンカー(綾野剛さん)とデッドヒートで胸の差一枚で勝つ。雄介がゴールテープの先で待つ監督の、奈緒子の、走り切って待っていたメンバーの元に飛び込んでいく。        監督と雄介が抱き合って雄介の伸ばした手が奈緒子の元へ、そして雄介にばかり注目が集まることで、わだかまりもあったメンバー全員と抱き合う瞬間は、とても美しい。

スクリーンで観ること

少年のカラダから、徐々に青年のカラダに変わっていってる過程の春馬くんに会える「奈緒子」 彼はいつだってひかりの中にいる。

映画館は満席で
ことりとも音がしなくて
みんな息を潜めるようにスクリーンの雄介の  春馬くんを見守っている。

終わると誰ともなく拍手が起こった。
天外者以外では、はじめて聞いた。

みんな春馬くんを想ってる。

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