見出し画像

ウルトラセブン12話についての考え

昨日、ウルトラセブンの新しい映像ソフトが発表されました。

先にウルトラQ、ウルトラマンで出ていたシリーズなので、「やはり来たか」のリリースですね。
これ自体はいい物が出るんだな、くらいの感覚でしたが…

事あるごとに擦られる、被爆星人

この発売についてのコメントを見ると、

「やっぱり12話はないのか」
「いつまで全48話なんだ」
「1話足りない」

どこまで辿っても12話、12話、12話でウンザリしてしまいました。


辟易(へきえき)の意味

[名](スル)《道をあけて場所をかえる意から》

ひどく迷惑して、うんざりすること。嫌気がさすこと。閉口すること。「彼のわがままには―する」「毎日同じ料理ばかりで―する」
(goo辞書より引用)

まさに辟易する、とはこの事です。
個人的には、もうその話はいいじゃないか、12話が観たければ観ればいい、というスタンスです。

12話で喚く人達、ファンに在らず

欠番、封印作品の代名詞的に挙げられるセブン12話ですが、その経緯は長々と書きたくないのでWikipedia等をご参照ください。
セブンのDVD、Blu-rayなどが発売されるたびに無いのか、無いのかと言われるので正直鬱陶しく感じており、特に今回12話の事しか言われないような有様なのでさすがに物申したくなりました。

いい加減にしろ、と。

12話が非公開となったのが放送から3年後、もう53年前の事ですので半世紀以上封印されています。ですが、アンダーグラウンドに映像は出回っており、正規の方法ではないですが視聴は可能です。これがネット社会の問題点なのですが、これを防止する策としては公式の解禁しかないので権利者である円谷プロが手を打たない事も、ファンのモラルと同等に問題ではないかと思っています。ネット黎明期だった2000年代前半は特に顕著で、12話動画のDVDがオークションに出回ってもいました、最近は無くなったと見受けますが、減っただけであるのかもしれません。もし12話を解禁するなら、この時期にするべきだった、と考えます。そこを過ぎてしまいセブンの映像ソフトが新規格でリリースされ続けている今、今後の12話解禁もほぼ無いのでは、と思います。

是非はともかく、そういう判断をされている事を汲み取れずそれでも
「解禁しろ、12話を見せろ」
と言い続ける人達は、ウルトラセブンのファンと言うよりスキャンダルが好きなだけの野次馬じゃないのか、と蔑視してしまいますね。

解禁されない理由を想像してみる

あくまで個人の推測になりますが、問題の当事者が現在ほぼ残っておらず、解禁した場合に起こる議論やそれによるマイナスイメージを危惧しているのではないでしょうか。それを上回るほどのメリットが見込めない為、言葉通りの「塩漬け案件」になっているのだと想像します。
そこを下世話な「解禁が望まれている」という声に流されて動かしてしまうと、上り調子な現在のウルトラマンコンテンツの妨げにもなりうる。
もっともそんなのは杞憂で、さっさと解禁してしまえば受け入れられるという見方もありますが、それにしたって、セブン12話はそこまで大層な回ではないのです。「欠番作品」のイメージが肥大して、「問題作」「幻の傑作」のように語られる事もあるのですが、正直凡作なんですね。

純粋な「遊星より愛をこめて」の感想


スペル星人、正直デザインも手抜き感あります

12話は、その前の8話「狙われた街」と同時に制作された回だそうで、監督・実相寺昭雄、特技・大木淳など同スタッフの布陣です。
内容も似ていて、宇宙人が社会の中で道具を使い暗躍(8話はタバコ、12話は腕時計)しているのをウルトラ警備隊が暴き、セブンと共に撃退するという物語です。ダンとアンヌが私服姿で捜査に赴き、戦闘はセブンとウルトラ警備隊の連携プレーが見られるという点も共通しています。

8話は誰もが認める傑作回で、ちゃぶ台の名シーンやラストのナレーションが未だに語り草です。仮面ライダーのナレーションで有名な中江真司さんが理知的な喋りを聞かせるメトロン星人は最近のウルトラシリーズにも頻繁に出てくるほど人気の宇宙人でもあります。

対して12話は、アンヌの友人早苗がスペル星人に騙されていた、という悲劇の恋物語が加わっています。このことも含め、スペル星人の計画は随分と雑なもので、暗躍かと思えば新聞広告を打ってバレたら巨大化して暴れ出したりします。結局最初から騙されていた早苗がラストで「いつか他の星の人とも分かり合える」などと言っているのが完全に浮いた台詞になっていたり。8話にもツッコミ所はありますがそれとは違うベクトルの粗さが目立つ凡エピソード、という評価ですね。

どうせ語るなら、傑作を語ろう

私は幼少期からセブンファンでしたが、雑誌の放送リストにある
「12話は欠番とする」
という表記を長年気にも留めなかった人間で、成人してからインターネットをキッカケに諸々の事情を知りました。その頃、滅茶苦茶な画質でしたが12話を観る機会もあったのです。

ウルトラセブンは周知のとおり名作であり、傑作エピソードがたくさんあります。12話がセンセーショナルな要素を持っているのは理解出来ますが、正直作品としては8話の下位互換、それ以上の何ものでもありません。セブンの魅力を語るなら8話の話をした方が何倍も建設的です。
アンヌ役のひし美ゆり子さんがSNS上で12話の解禁を希望されていますが、出演者だからこそ、だと思います。
そうではない一ファンが、新規リリースの度に出せ出せと繰り返すのは、もう止めにしませんか。そういう声が、かえって解禁を遠ざけているとすら思います。

ウルトラセブンが好きなら、面白い回を語りましょう。
12話を本当に面白いと思う方がいたら、申し訳ないですが(汗)。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?