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映像作品感想

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映画中心の感想集です
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2023年2月の記事一覧

映画感想「ウルトラセブン 55周年記念 4K特別上映」(Filmarksより)

55周年企画として7話、26話、37話、最終2話の上映。 生粋のセブンファンとして鑑賞に赴いた。 エレキング、メトロン星人、キングジョーといった有名どころではないチョイスだが、改めて見るとよく考えられている。 ホラー風味の7話、完全に地球人のやらかしである26話、宇宙人ドラマとして完成されている37話、そしてクライマックス。どれもタイプが異なり、かつセブンの魅力を伝えるに相応しいエピソードである。 個人的に、キュラソ星人は大人になった今でも怖いしギエロン星獣はデザインの良さ

映画感想「ウルトラマンデッカー最終章 旅立ちの彼方へ…」(Filmarksより)

昨年に続き、ツブラヤイマジネーションで視聴。 デッカー本編の後日談。 スフィアの件は決着したが、新たな宇宙人の侵略と駆けつけた新しいウルトラマン、そこにガッツセレクトが加わる物語。 女性ウルトラマン、ディナスは実直で勇敢だが初戦のキングジョーから苦戦する。カナタ達との共闘の中、怪獣の能力を活用しながら善戦するも黒幕、ギベルスが変身するギガロガイザの前にカナタが倒れる…。 TV最終回で主人公カナタが変身能力を失っているので、それがどうなるのかというのが焦点だったが、早々に復

映画感想「劇場版 仮面ライダーアギト PROJECT G4」(Filmarksより)

東映50周年、仮面ライダー30周年の記念作。 自衛隊が独善的にG4計画を進め、G3ユニットと対立するストーリー。 G4の事情、背景をカットバックでスピーディに説明する技巧は鮮やかだと思った。 役名が無いのであの人だと思える警視総監はファンサービスとして一級品。メインはG3だが、主役たる翔一も 「生きるってことは美味しいって事です、 死を背負ったりすると不味くなりそう」 と、キャラを存分に発揮した名言を残している。 短編的エピソードではあるが、アギトの魅力が十分に詰まった

映画感想「仮面ライダーオーズ10th 復活のコアメダル」(Filmarksより)

試写会にて一足早く鑑賞。 TVシリーズから10年後の世界、復活した古代オーズにより世界は破壊的な状況になっていた。 そんな中、コアメダルが修復され復活したアンクは映司と再会するが、その映司には違和感が…。 一時間という短めの尺で、オーズ、というより火野映司の運命を描ききった最終作。 TVシリーズでは自らの命を賭して映司を救ったアンクだが、今作の再会は彼に強烈な事実を突きつける事になった。 様子のおかしい映司がもたらす不安感、絶望的な状況で成長した伊達&後藤コンビが見せる頼

映画感想「ウルトラマンサーガ」(Filmarksより)

2012年、前年の震災を受けて制作されたウルトラマン映画。 絶望的な状況で「皆で生き抜いていこう」というメッセージを伝えてくれる作品。 タイガのウルトラマンに対する複雑な心境はヒーロー物のタブーに挑んでいたりするが、最初の変身がギャグシーン、二度目がカタルシスの解放を果たしていて綺麗に消化しているのが見事。 賛否両論あったAKBメンバーの起用も中盤の告白で納得がいくものになっていて、むしろ他の女優ではダメだったと思われる。 数あるウルトラマン映画の中でも屈指の感動を与えて

映画感想「リバイスForward 仮面ライダーライブ&エビル&デモンズ」(Filmarksより)

恒例の、セカンドライダーを主役に据えたVシネ。 本編後、ブルーバードとして活躍する大二とヒロミ。テロリスト「アリコーン」のアジトに潜入し誘拐された子供達の救出に向かった先で…。 いきなり捕まったヒロミが拷問を受けているシーンから始まるのはショッキングだが、TV版での境遇を考えると「彼はいつもこう」な印象を持ってしまう。 毎度お馴染み、余計な企みでかき回してくる悪党どもを退治するというVシネのパターンだが、詰め込み過ぎでグチャグチャになるリバイスの悪い点がそのままなのと、物

映画感想「ゴジラ(1954)」2016/09/18(Filmarksより)

今年シン・ゴジラで旋風を起こしているゴジラシリーズの一作目。 昭和29年、第五福竜丸が死の灰を浴びた事件を受け作られた反核のメッセージである。ゴジラは脅威でありながら、登場人物達が怒りや憎しみを抱く事がないのは日本映画ならではだと思う。 ゴジラ映画は30作以上あるが、ゴジラの死がハッキリ描かれたのはこの一作目だけであり、それは公開後「ゴジラを殺すな」という反響があった為とか。 雰囲気は戦争映画のものであり、今となっては歴史的資料の趣きもある。 日本映画の代表格として、ま

映画感想「劇場版 SHIROBAKO」(Filmarksより)

初日鑑賞。 TV版のその後が、現実の時間と同じ4年の時を経て描かれる。 まず冒頭で武蔵野アニメーションがある出来事をキッカケに離散してしまっているのに驚いた。 主人公あおいは、傾いてしまったムサニに舞い込んだ劇場用アニメの企画に取り組む。 この映画に合わせてTV版を24話、完走して臨んだ甲斐はあった。 えくそだすっ!と第三飛行少女隊に続いて新しいオリジナル作品。この「劇中アニメ」がしっかり存在感を持っており、内容もよく解らないのに最後に見せられるラストシーンに感動してしま

映画感想「劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>」(Filmarksより)

20年ぶりの新作として劇場版がやってきた。 結論から言うと、シティーハンターの面白さが全て凝縮された傑作だった。 ギャグセンスは80年代のもので今、若い世代に受けるか不安になるものだったがそれもまた「らしさ」である。 作風こそ懐かしさがあれ、キャラ造形やビジュアル面では決して古びれていないところが北条司作品のオーラであろうか。 スマホ、ドローンが登場する2019年の社会でも凄腕スイーパー冴羽獠の実力は存分に発揮される。 テーマは 「変わること・変わらないこと」 だと感じ

映画感想「仮面ライダー1号」(Filmarksより)

封切日に舞台挨拶付きで鑑賞。 仮面ライダー1号こと本郷猛を主役に据えた映画は意外にも初めてとか。 現在の藤岡弘、氏に合せてリデザインされた1号は様々なフォームや武器を使うゴーストとの対比でシンプルな肉弾戦の強さを見せる。 生命をテーマにしたお説教に賛否両論あるようだが、むしろ齢70の本郷猛からはそういう話を聞きたいと思える程に貫禄がある。 敵幹部のイーグラやヒロイン立花麻由、女性陣も魅力的で華を欠かない。 個人的には誰が主役なのかわからないオールライダー系映画より俄然良

映画感想「ボヘミアン・ラプソディ」(Filmarksより)

Queen、今は亡きボーカルフレディマーキュリーの人生を綴る伝記映画。 1985年のチャリティコンサート・ライブエイドまでの軌跡を描く。 Queenと言えば嗜み程度にベスト盤を聴いていただけの自分ではあるがそれでも耳に残っている曲の多いこと。 映画のタイトルでもあるボヘミアンラプソディの誕生秘話、その性癖による衝突、葛藤。 そして病魔との戦いの中、仲間との確執を乗り越えステージに向かう物語。 個人的にボヘミアン〜は転調が肌に合わず好きな曲では無かったが(Queenは他に好

映画感想「機動戦艦ナデシコ -The prince of darkness-」(Filmarksより)

20数年ぶり、配信で鑑賞。 TV版の後日談、3年後に起こった反乱を舞台に既存キャラの姿を描く。 基本的にテレビシリーズはギャグテイストで、リアル寄せなSFアニメにハーレム要素を混ぜたコントラストが持ち味だったがこの劇場版も然り。 なぜなにナデシコを含む明るい描写と、闇を感じる3年間の余白が独特の空気感を作っている。 TV版視聴済み前提の作品ではあるが、旧クルー集結の過程やルリが主人公であるがゆえの決着の仕方、そして描かれなかった、続きを期待させるエピローグ、どれもバブリー

映画感想「仮面ライダーセイバー 深罪の三重奏」(Filmarksより)

恒例のVシネクスト、個人的には仮面ライダーグリスから全て映画館で観ているので今回も。 TVシリーズの8年後を描く後日談。 それぞれの人生を歩む剣士たちだが、この8年の間に交流を持ったある男によって一つの大きな事件が起こる…。 コロナ禍の影響もあり一年を通して低調な物語で終わってしまった、という印象のセイバー。劇場版も短編か戦隊との合作しか無く「芯のない作品」というイメージだったが、ここでようやくその真価を発揮してくれた。 神山飛羽真という男は、自分と関わった人達を自分より

映画感想「レジェンド&バタフライ」(Filmarksより)

東映70周年記念作、という事で力の入った時代劇。 織田信長と濃姫の関係にスポットを当てて、歴史ものでありながら戦国の男女観に切り込んでいるのは斬新だった。 まず、「何やってもキムタク」と言われるキムタク、序盤のヘタレ若武者な信長はその通りだったが延暦寺のシーンから変わる。本気で「キムタクに見えない」カットが増え、信長の憑依を感じさせた。血と泥まみれになるその姿は「いつものキムタク」ではない。 だが何よりも綾瀬はるか、濃姫が100点満点だった。強く美しく、逞しい。純粋に腕が