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源氏物語に出てくる女性の全属性リスト

与謝野晶子訳「新新訳源氏物語」を読んだので備忘録です。
天皇の隠し子という不動の地位も持ちながら、光るほどのイケメンで何やっても許されてみんなが泣き出すというチート能力を持つ光源氏。女性が大大大好きな彼はそんなチート能力を存分に活かしていろんな女性たちと関係を持ちます。
その属性は人妻、幼女、浮気、NTR、娘属性、姉属性、熟女、醜女、セフレ、人違い…などなど多岐に渡りまくっており、同人誌即売会とかでもジャンルの全属性を網羅してるんじゃ?と思うくらい凄かったので記録しておきます。

第1部 : 光源氏と女性たち

光源氏自身がブイブイいわせてた時代の女性たち。

空蝉 (人妻枠)


歳の離れた冴えない夫がいるものの源氏が猛アプローチする。源氏曰く「あんま綺麗な顔じゃないけど愛嬌あってめっちゃ好き」。源氏がゲスい手を使って強引に夜這いし、しゅきしゅきメール送りまくる(短歌を送りまくる) 。空蝉もイケメンだから許してたけどその後関係に病んで出家。

軒端荻 (人違い枠)

源氏に空蝉と間違われ夜這いされる。源氏も「あっこれ別人だわ…でももういいやこのままいっちゃお!」ってなり、思ってもない愛の言葉をささやかれ行くとこまで行く。

夕顔 (おっとり+NTR枠)

中流階級。頭中将という源氏の親友の元愛人だったがお構いなしに寝取る。スタンド攻撃で命を落とす薄幸の人。

月岡芳年「源氏夕顔巻」1886
ユウガオの花が咲いている。さすが月岡芳年、構図も色彩も最高…


藤壺 (姉属性)

姉属性枠。めっちゃ綺麗。源氏の母親に激似。ほぼ姉弟関係として育ったけど源氏が「もう我慢できん!」となり強姦。一瞬でやってたので三度見返しました。その後関係に病んで出家する。

葵 (正妻枠)

リアル正妻。後述するスタンド攻撃で命を落とす非業の人その2。結婚中は源氏は興味を持たなかったものの、亡くなってからは「なんでもっと俺は愛してやらんかったんや…😭」と後悔する。源氏は自分の手に入らない状態にならないと恋愛感情を持たないので、その典型的な描写。

六条御息所 (嫉妬枠+年上妻枠)

最強のスタンド使い。自動追尾型。離婚歴あり。源氏の許嫁で年上枠。嫉妬深さがスタンドの原動力。つまり源氏がいろいろ手を出しまくるが故にスタンド能力が高くなったという悲しい経緯。
スタンドは何回か出てきて、生きてるうちに無意識にスタンド出して夕顔と葵を呪い殺すのが有名。あとは御息所が亡くなったあとに源氏が「御息所はちょっとアレなとこあったよね〜」って言ってるときに「死んだ後にそんなん言わんでいいやん!!!泣」って死霊として出てくる。可哀想過ぎる。

後世の伝承や浮世絵のイメージで鬼女のようなイメージが付いてる彼女ですが、実際は鬼女という印象はなく立派な貴女。思いが強過ぎてスタンドが暴走しちゃったタイプです。僕の推しの一人。

葛飾北斎「北斎漫画」(1814-)
こんな感じで鬼女👹みたいなイメージが強いのは、能で古くから嫉妬の権化として描かれてきたからぽいです。般若面は御息所の激おこ顔がモチーフらしい。

上村松園「焔(ほのお)」(1918)
こちらは人の姿を保ったまま美しく描かれた御息所。髪を噛んで嫉妬深さも添えられ美麗である。このあたりはさすが近代女性作家の上村松園です。女性サイドから見た御息所はどう読んでも鬼じゃないのですよね。でもスタンド絶対強い。着物の柄が、藤に蜘蛛の巣ってのも最高にシビれるポイント。


末摘花 (醜女+ダサい)

醜女。めちゃくちゃ醜女。さらにコミュ障。
すごく珍しく、容貌の記述がいっぱい書かれている。
「額は飛び出て鼻は垂れ下がり真っ赤。なんか流行遅れの毛皮を羽織ってるw」
「紅花見るとあいつの顔思い出してなんか凹むわーww」
「送ってくる品物もぜんぶくっそダセェww時代遅れこの上ないんすけどwww」
などとめちゃくちゃ笑い者にされていて凄く不憫。これ全部源氏本人が言ってる。

父親が死んで荒れ果てた屋敷でつつましく暮す不憫な姫(末摘花)がいるとの噂をどっかから仕入れた源氏はいてもたってもいられず、顔を見ぬままいきなりSEX。朝チュンで顔見たら「うわっ…めちゃくちゃブサイクだ!!!!こいつ!!!」ってなって速攻で帰る。クズ中のクズ男。
なお末摘花がずっと源氏を待ち続けて妻の一人に迎えるエピソード(15帖「蓬生」)はかなり感動するのでぜひ。源氏はクズですが。

朝顔 (幼馴染枠)

昔からの知り合い。源氏が猛アプローチするものの、女癖の悪さを見抜いてたのでことごとく受け流す。



源典侍 (熟女枠)

40-50代っぽいけどこの人自身も結構奔放で、源氏が10代の頃に軽いちょっかい出したらそのままの勢いでいっちゃった系。源氏のストライクゾーン広すぎ


紫の上 (幼女枠+超美人枠)

源氏最愛の人。
幼女時代に源氏が父親の不在時を狙って拉致、自宅に軟禁し未来の妻として育てる(!)。最低最悪のクズで重性犯罪だけどイケメンだからお咎めなし。
源氏物語通しての主要人物。葵亡き後の正妻格で超絶美人。源氏の妻四天王筆頭。「花も自らを恥じるほどの美貌」と教養を全て備えてる。
時間が経つとイケメンなので若紫も現状を受け入れ、良い夫婦として描かれていく。でも良い話で終わらせてはいけません。


朧月夜 (セフレ枠)

酔いに任せたワンナイトラブ。
源氏は酔ってたので相手のことよく知らずいくとこまでいったけど、相手の朧月夜はなんと次期天皇の彼女。 この一件で源氏のSEX中毒が公に問題となり、しばらくして京を追放される。ザマァw

花散里 (落ち着く枠)

落ち着く系オーラを持つ源氏の妻四天王の一人。源氏曰く「あんま綺麗な顔じゃないけど、なんか落ち着くしいろんな事話せる。何より不満言わないのがいいね!」という菩薩属性の女性。源氏のドラ息子夕霧の育ての母でもある。こんな良い人に育ててもらったのに夕霧ってやつは…!


明石 (身分差恋愛枠)

身分の違う恋愛枠。
源氏の妻四天王の一人。源氏が朧月夜の件で須磨に飛ばされたときに知り合った女性。(須磨と明石は電車で20分くらいの距離です)
源氏から猛アプローチされるものの、身分の低い田舎娘の自分と、京都で華々しい栄華を誇る源氏と関係を持っていいのか悩みまくる。
その後源氏が京都に呼び寄せ、ひとりの娘をもうける。身分が低いのに教養が高く、明石に対してはあまりゲスいことはしてなかったはず。

秋吉中宮 (巫女枠)

神に仕える斎院という役職に付いてる、六条御息所が産んだ前夫との娘。めちゃくちゃ可愛いけど斎院という巫女になったので、源氏は手を出せず(出そうとはする)煩悶する。
御息所が亡くなる際に源氏を呼び出し、
「あの子を頼むね…でも、でも絶ッッッッッッ体に手ェ出すんじゃねえぞお前マジで。私が味わったあの悔しさ悲しさを二度と繰り返すんじゃねえぞテメェ」と釘を1000本くらい刺して果てるシーンは壮絶でした。泣いた。
源氏も余程効いたのか、一応ちゃんと言いつけを守って手を出さないままでいました。(手を出そうとはした)

玉鬘 (娘属性+元気属性+NTR枠)

娘属性。元気はつらつ系。NTR枠。
スタンド攻撃で亡くなった夕顔の娘。夕顔亡き後どこに住んでるかわからなかったけど、消息を知った源氏が屋敷に呼び寄せ父親ヅラで保護者になる。
ただ保護してくうちに「めっちゃ可愛いやん…結婚しちゃおうかな🥰」となってゲスなアプローチし出す。玉鬘は「コイツ死ぬほどめんどくせー!!でも保護してもらってる立場上ぞんざいにできねー!うぜえ!!!」となりなんとかあしらっていく。ここの源氏も心の底から気持ち悪い。
個人的には玉鬘は非常に好きで、源氏の猛攻受けながらも自分の意思をしっかり伝える強さが素敵です。推しの一人です。

源氏の猛攻を鮮やかに躱すも、髭モジャのブ男に寝取られる。


第2部 : 息子世代と女性たち

源氏の息子世代の話。実の息子「夕霧」と親友の息子「柏木」の2人は男子中学生のような自分勝手な恋愛感で、多くの女性を不幸に陥れる。

女三の宮 (おてんば+NTR枠)

先代天皇が溺愛する娘。源氏に嫁ぐが、源氏は「あんまそそられんな…」と放置。
しかししばらくして恋心を抑えられなくなった柏木に強姦(!)され、女三の宮は病んで出家。源氏は「おれの女なのに!でもNTRてから改めて見ると可愛いやん」というクズのお手本のような展開に。女三の宮は第2部の主要キャラであり一番の被害者です。

雲居の雁 (幼馴染+強妻枠)

源氏のドラ息子夕霧の正妻。若い頃の大恋愛を経て無事結婚する過程は感動。しかし夕霧が浮気して意味不明な正当化をしたため「あんた死んでくれんかね?」と激怒。実家に帰る。
ちゃんと自分の意志を強く相手に伝えており好感しかありません。推しです。

落葉の宮 (未亡人+浮気枠)

第2部の主要キャラ。
亡くなった友人の妻に欲情した夕霧が、援助にかこつけて油断させ強姦して妻にする。かなり可哀想な人。

近江の君 (おてんば枠)

節操なく笑ったり上品じゃないふるまいをしたりするとの事で、他の姫たちの素晴らしさを伝える為の比較対象にされる悲しい存在。


第3部 : 孫世代と女性たち

源氏の孫世代。あんま恋愛に興味ない誠実系イケメンの「薫」と、ブイブイ系イケメン「匂宮」が無垢な女性たちの運命を変えていく物語。1部と2部で満載だった胸クソ要素がだいぶ減っている。でもないわけではない。

大姫君(長女属性)

しっかり系の長女。別称は総角(あげまき)の姫君。ふとした時に宇治の山中に住んでる美人姉妹を見つけた薫は、「おれは恋愛なんてしない…しないぞ!でも…好き!!」となってアプローチ。薫は物語中でほぼ唯一まともなイケメンなので、プラトニックな関係を続けてたものの大姫君は病死。薫めっちゃ泣く。

中姫君(次女属性)

キレイ系の次女。薫と長女のカップルに対して、次女は匂宮とのカップル。匂宮は妻にしちゃう。長女が死んじゃって悲しい薫は顔が似てる中姫君に手を出そうとしてめちゃくちゃウザがられる。結局浮気は未遂に終わるが旦那には速攻でバレる。全部薫が悪い。


浮舟(末っ子+NTR属性)

大姫と中姫の腹違いの姉妹であり、源氏物語の最後のヒロイン。薫が先に見つけてキープ(軟禁)してたけど、匂宮に見つけられてNTRれる。超イケメンプレイボーイの匂宮に愛を囁かれまくり浮舟もまんざらじゃないものの、「誠実そのもの薫に申し訳ねえ!恥!死のう!」ってなっていきなり入水。マジかよ!!死ぬなーッ!!!浮舟ーーッ!!!戻ってこーい!!!!😭😭😭😭😭



という流れにしておいて「実はいろいろあって死んでませんでしたー!」って回が最終巻。
おいおいおいこんな展開1000年前にやる?
紫式部天才だな???

まとめと考察

改めて見返すとあらゆる属性が網羅されてますね…特に多いのがNTR展開。なおNTRについては大体が男性より身分の低い女性。身分高いと妻にするけど、身分低いと愛人枠になってるからでしょうね。平安時代当時の結婚制度が背景にあるのがわかります。

ちなみにツンデレ属性はありませんでした。意外。ふと考えると、これは男女間のパワーバランスが対等ではない為かなあと思います。ツンデレ=男女が対等な関係において発生する心の駆け引きだし。ということは身分がほぼ対等になる庶民クラスだと発生してそうですね。

改めて、これだけの要素を全部詰め込んでクロニクル的にまとめきった紫式部に敬意を評して締めとします。

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