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「ばちょん」という名の世界

 僕が中学生の頃、AMラジオの深夜放送を聴くことが大好きでした。技術か理科の授業で作った鉱石ラジオを家に持ち帰り、そのダイヤルを回す。チュイーン、キュイーンという音の先にナレーションの声や音楽が一瞬聴こえたかと思えば通り過ぎる。そんな難しい操作がピタリと決まれば、楽しい世界が そこにありました。流行歌や外国の音楽、パーソナリティーの楽しいおしゃべりなどなど・・ワクワクする世界が。

 やがて家に眠っていたポータブルラジオを探し出し、夢中になったのは、「ヒットでヒット、バチョンといきましょう!」という意味の分からない名前の番組でした。曜日ごとにパーソナリティーが変わり、それぞれが特徴を活かしたおしゃべりで、楽しい時間でした。中でも僕が好きだったのは、昨年亡くなった笑福亭仁鶴さんが板垣晶子さんとやっていた水曜日(もともと土曜日から引っ越し)、そして映画の話が楽しかった浜村淳さんと小鹿ミキさんがやっていた木曜日。ほぼ欠かさず聴いていたと思う。

 何が魅力だったのか、詳しく思いだせないが 布団の中にラジオを持ち込んで、包まりながら外部に漏れる音を極力抑えて 夢中で聞いていました。
リクエストハガキも目立つために 板や厚紙、A3サイズのものまで作って送っていました。時々採用され、名前を呼ばれた時は布団の中で ひとりガッツポーズをとっていたような・・

 ながら族という言葉が流行るころには、聴こえてくる音楽にも興味が湧き、さらに夜中の放送にのめりこむようになりました。

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