40周年、おめでとうございます。
東京スケバン散歩/九段下
佐野元春 & THE COYOTE GRAND ROCKESTRA
“ ヤァ!40年目の武道館 “ @日本武道館
玉ねぎに向かう坂道を上るのも久しぶりだ。
寒空、雨止まず。
朝から大雨で、そういえばザ・ハートランドの解散公演“LAND HO!”の横浜スタジアムの日もこんな雨だったなと思い出していた。あの時は野外だし、コールドゲームも覚悟していたのだが。開演直前にピタリと雨が上がったのだった。
あの夜、澄んだ空に輝いていた美しい月は今も忘れない。
だから、きっと今日も開演までには雨は上がる!と思っていた。実際、雨足はけっこう弱くなっていた。けれど。九段下についたらまだちょっとだけ降ってた。
でも、そんなこと、どうだっていいのだ。
今年初めてのコンサートが、佐野元春40周年記念の武道館ライヴ。アイアムソーラッキー。
桜はまだですが、近寄ってみればもう蕾が準備万端。来週には咲くよね。
今日は記念すべきデビュー40周年であると共に、お誕生日でもあります。
本当に、おめでとうございました。
高校生の時に胸ときめかせていた佐野さんの音楽と、こうして一緒に年齢を重ねてこられたことに感謝。このコロナ禍、ぐだぐだでだらだらの緊急事態宣言の中で無事に公演が開催されたことに感謝。
配信ライヴにも慣れてきたものの、やっぱりライヴでの空気が震える感触や、客席の“気”というのは、その空間で味わうかけがえのないもの。久々に実感した。
ところで。
ここからは、さっきコンサートの帰り道にふと思い出した話を書く。
まだ90年代、ザ・ハートランド時代のことだったと記憶している。ライヴ取材でツアー先のとある地方都市にお邪魔した。ライヴ翌日、たまたま早朝に目覚めてしまった私は、出張先のホテルで二度寝する勇気もなく、何をするでもなく窓の外をボケーっと眺めていた。本当にものすごい早朝だったので、高層階から見下ろすホテルの正面口にもまだ人影ひとつない。まだ街は眠っているかのような静けさで、聞こえるのは小鳥のさえずりくらい(ホテルの窓は殆ど開かないので、ここは憶測に基づく創作)。
そのとき。ホテルの玄関から、見覚えのある人影が出てきた。佐野さんだった。遠くからでも見間違えようのないシルエット。こんな早朝から、10階くらい上から見ても完璧にばっちり佐野元春。仕上がってる。すごい。しかし、こんな時間に佐野元春バレバレでどこに行くんだろう。と、思わず上空から見守ってしまっていると、佐野さんはびっくりするくらいのスピードで(しかも迷いも淀みもない美しいフォームで)どこかへ歩き去ってしまった。ジョギングでもないし、散歩でもなさそう。何処へ?と考えていたら、あっという間に佐野さんが戻ってきた。小脇に新聞を抱えて。さっきと同じ、ものすごい早いスピードでスタスタと帰ってきた。たぶんコンビニへ新聞を買いに行かれたのか、ほんの3分間くらいの出来事だったんですけど。なんというか、めちゃカッコよかったのだ。
想像してみてほしい。
熱狂のライヴの翌朝、誰よりも早起きして目にも止まらぬ速度で(←literally!)ひとりで新聞を買いに行く佐野元春。
あれから20何年経つけど、あの時の佐野さんの姿がいまだに忘れられない。というか、佐野元春のカッコよさについて考える時、今でも時々この時の光景を思い出す。えーと、ただカッコいいだけじゃなくて。なんというか、それが、私にとっての佐野元春のイメージというか。
うまく説明できないけれど。
誰よりも早起きして、ものすごい早足で歩いてひとりで新聞を買いにゆき、優雅な仕草で小脇に新聞を抱えて寄り道もせず帰ってくる。
佐野元春はそういう人だ。たぶん、いつだってそうだったし。今もそう。
私はそう思っている。そんな佐野さんの40周年。
本当におめでとうございます。
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