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細かすぎて伝わらないグラミー賞(クラシカル部門)、おおいそぎ備忘録。

《2月5日(月)追記》この投稿の翌日(5日)のグラミー賞発表を受けて、リストにある受賞作の最後に【●WIN】をつけて、ちょっとコメント追加しました。
それにしても、俺、けっこう当てたほうだと思うぜ(どや顔)。

毎年、年末から書き始めて、書き終わる前に授賞式になってしまう“細かすぎて伝わらないグラミー賞”note。ちなみに「グラミー賞」といっても、クラシカル部門の話です。
しかも、今年はもう、どうせ書いても間に合わねーしよー、そもそも授賞式前(日本時間の明け方)に全部発表されちゃうしよー、こんなん誰が読むんだよ、つうか、そのわりになんか微妙に間違った感じでパクられたりするしよ…と、はなから諦めて書く気もなかったのですが。やっぱり、いよいよ授賞式が近づいてくるとウキウキワクワクしてまいりました次第。なぜなら、昨年も本当に大好きなアルバムがたくさんあったので。なので、とりあえず自分メモ用に作っておいたリストをあわててまとめたので、載せておきます。
各部門の最初に、あとで獲ったとか獲らなかったとかひとりで盛り上がる用に、この人たちが受賞したらいいなー…というわたくしの希望(予想ではありません。あくまで個人の希望というか願掛けというか)もちょっと書きました。

晩ごはんの後、本当にあわてて書いたので書式も表記もめちゃくちゃで、ひょっとしたら間違いもありそうな雑なものですがお許しを。
でも、もし、万にひとり、グラミー賞のクラシカル部門が楽しみだなーという方がいたら、ご参考までにご覧いただけたらうれしいです(というか、そんな方がいたら友達になってください)。

10年くらいのグラミー賞クラシカル部門は、正直、けっこう持ち回りって印象が強くて、名前が出てくるのはいつも想定内の巨匠と有名なオーケストラや作曲家ばかりという感じでした(もちろん、それでもいいアルバムだったけど)。でも、米国のクラシカル界がどんどん世代交代したり、新しい才能が出てきたりして活性化してゆくのと同時に、グラミー賞のノミネートも米国の音楽シーンを反映するような傾向が出てきたり、ノミネートをきっかけに知る名前も多くなったりと面白くなってきました。そんなわけで、まぁ、日本のクラシック雑誌に登場したり、日本盤が出たり、来日公演をしたりするアーティストやオーケストラのノミネートはますます少なくなってきていますけど(笑)。アメリカのクラシカルの現在地を知るという意味では、グラミー賞ってのはかなり興味深いモノサシです。


The 66th Annual Grammy Awards Nominations:Classical Field

【1】最優秀オーケストラル・パフォーマンス

Best Orchestral Performance

☆オーケストラはもう、ネゼ&フィラデルフィア一択で! フローレンス・プライス再評価ムーブメントの仕掛け人ともいえるネゼフィラだが、今回はプライスの交響曲4番と、ストコフスキー指揮フィラデルフィアで初演されたウィリアム・ドーソンの「ニグロ・フォーク・シンフォニー」(1934-1952)をカップリングしたアルバムでノミネート。米国クラシカルの歴史においてもっとも重要な黒人作曲家ふたりを紹介する意義も込み込みで2年連続受賞だといいなと思います。とはいえ、ノンサッチ自警団としてはLAフィル卒業カウントダウンのドゥダメルが指揮するバレエ音楽も推したい。女性指揮者の活躍がめざましい今だからこそ、先駆けというか、フォーク界でいえばジョニかアレサかという存在であるジョアン・ファレッタのバッファロー・フィルとのアルバムもよき。

-Adès: Dante
グスターボ・ドゥダメル指揮
ロサンゼルス・フィルハーモニック
Gustavo Dudamel, conductor (Los Angeles Philharmonic)
●WIN: ノンサッチ勝利!やっぱり、ドゥダメルもLAフィルもダンス音楽がうまい。とあらためて思います(そういう意味では、コンペンディアム賞のマルケス:Fandangoも素晴らしかったのですが)。

-Bartók: Concerto For Orchestra; Four Pieces
カリーナ・カネラキス指揮
オランダ放送フィルハーモニー響
Karina Canellakis, conductor (Netherlands Radio Philharmonic Orchestra)

-Price: Symphony No. 4; Dawson: Negro Folk Symphony
ヤニック・ネゼ-セガン指揮
フィラデルフィア管弦楽団
Yannick Nézet-Séguin, conductor (The Philadelphia Orchestra)

-Scriabin: Symphony No. 2; The Poem Of Ecstasy
ジョアン・ファレッタ指揮
バッファロー・フィルハーモニック響
JoAnn Falletta, conductor (Buffalo Philharmonic Orchestra)

-Stravinsky: The Rite Of Spring
エサ-ペッカ・サロネン指揮
サンフランシスコ響
Esa-Pekka Salonen, conductor (San Francisco Symphony)

【2】最優秀オペラ・レコーディング

Best Opera Recording
(指揮者、プロデューサー、主演ソリスト、世界初演の場合は作曲家と脚本家に授賞)

☆昨年、メトの『Fire Shut Up In My Bones』でこの部門初の黒人オペラ作曲家、そして同賞の最年少作曲家となった(初演ではないので、残念ながら受賞の対象外だが)テレンス・ブランチャード。なんと今年も、初のオペラ作品だった『チャンピオン』のネゼ&メト版でノミネートされた。すごいすごい。ここはやっぱり、ブランチャードの2年連続ウルトラ快挙を期待したいです。とはいえ、やっぱり米国現代オペラは今、めちゃめちゃ伸びゆくジャンルで、映画化もされたデイヴィッド・T・リトルの『Black Lodge』もブランチャード同様にサントラとオペラの境目を攻めていて面白かったし。ボストン・モダン・オーケストラ・プロジェクトのコリリアーノ「The Lord Of Cries」も、花形コスタンツォ起用が生きていて“未来のオペラ”感がある。というわけで、どれが受賞しても喜ぶ。でも、ここもやっぱり微妙にネゼ贔屓ではあるのでメトに1票。

-Blanchard: Champion
・ヤニック-ネゼ・セガン(指揮)
・ライアン・スピード・グリーン、ラトニア・ムーア、エリック・オーウェンズ(歌唱)
・デイヴィッド・フロスト(プロデュース)
(メトロポリタン歌劇場オーケストラ&合唱団)
Yannick Nézet-Séguin, conductor; Ryan Speedo Green, Latonia Moore & Eric Owens; David Frost, producer (The Metropolitan Opera Orchestra; The Metropolitan Opera Chorus)
●WIN: ブランチャードは、まさにブラック・オペラ・ルネサンス(byリアノン・ギデンズ)の象徴。そのムーブメントを作ったメトの戦略と覚悟も評価したい(上から目線かよ)。去年は3つだか受賞したネゼ、今年はこれが唯一の受賞。

-Corigliano: The Lord Of Cries
・ギル・ローズ(指揮、プロデュース)
・アンソニー・ロス・コスタンツォ、キャスリン・ヘンリー、ジャレット・オット、デイヴィッド・ポルティーロ
(ボストン・モダン・オーケストラ・プロジェクト&オデッセイ・オペラ・コーラス)

Gil Rose, conductor; Anthony Roth Costanzo, Kathryn Henry, Jarrett Ott & David Portillo; Gil Rose, producer (Boston Modern Orchestra Project & Odyssey Opera Chorus)

-Little(David T.Little): Black Lodge
・アンドリュー・マッケンナ・リー、デイヴィッドT・リトル(プロデュース)
(ティムール・アンド・ザ・ダイム・ミュージアム
イサウラ弦楽四重奏団)


【3】最優秀コーラル・パフォーマンス

Best Choral Performance
(指揮者、合唱ディレクター、コーラス・マスター、団体に授賞)

☆合唱団、コーラルはよくわからないのですが、毎年、どれを聴いてもノミネートされる作品はコンセプトや選曲からハーモニーまで含めてみんな素晴らしい。プロでも学生合唱団でも、やっぱり人間の声が持つ力はすごい。音楽ファンでも、よほど合唱に興味がないと聴かないアルバムが多いかもしれないけど、ノミネート作品を片っ端から聴いてみるのはおすすめです。で、そうやって聴いているうちにグラミー・ノミネート常連、ドナルド・ナリー率いるザ・クロッシングのファンになりました。いつ聴いても、心があたたかくなる。なので、ザ・クロッシングの受賞を願っております。が、実は、前述のようにどれを聴いても感動するのでどれが受賞してもうれしいです。昨年亡くなったフィンランドの作曲家カイヤ・サーリアホ作品ということで、ヘルシンキ・チェンバー・コーラルの受賞あるかも。

-Carols After A Plague
Donald Nally, conductor
The Crossing

-The House Of Belonging
Craig Hella Johnson, conductor
Miró Quartet; Conspirare

-Ligeti: Lux Aeterna
Esa-Pekka Salonen, conductor
San Francisco Symphony Chorus

-Rachmaninoff: All-Night Vigil
Steven Fox, conductor
The Clarion Choir

-Saariaho: Reconnaissance
Nils Schweckendiek, conductor
Uusinta Ensemble; Helsinki Chamber Choir
●WIN: 「あるかも」と書いたサーリアホあった!こういう詳しくないジャンルは、ついよく知ってる団体ばかり聴いてしまうがコーラスも本当に奥深い。今年はこのあたりをもっと掘って学びたいです。


【4】最優秀室内楽/小編成アンサンブル・パフォーマンス

Best Chamber Music/Small Ensemble Performance

☆クラシカルの中でいえば、主要部門に相当する賞(個人の感想w)。
わたくしが熱愛するマ&アックス&カヴァコスという幸福の神さま3人が、トリオ編成でベートーヴェンの交響曲を全曲演奏するプロジェクトの第二弾がノミネートされているので、それでお願いします。でも、これまた愛するキャロライン・ショウお嬢を擁するヴォーカル・アンサンブルのルームフル・オブ・ティースも最高だし、ニューヨーク・フィルのクラリネット奏者アンソニー・マクギル&パシフィカ・クァルテットのアルバムも完全完璧案件の名作なので推したいところ。迷う。でも、年功序列でおじさんトリオにぜひ。もうグラミーなんかいらないっつーくらい、いっぱいもらってる人たちですが(笑)。

-American Stories
アンソニー・マクギル&パシフィカ・クァルテット
Anthony McGill & Pacifica Quartet

-Beethoven For Three: Symphony No. 6, 'Pastorale' And Op. 1, No. 3,
ヨーヨー・マ、エマニュエル・アックス&レオニダス・カヴァコス
Yo-Yo Ma, Emanuel Ax & Leonidas Kavakos

-Between Breaths
サード・コースト・パーカッション
Third Coast Percussion

-Rough Magic
ルームフル・オブ・ティース
Roomful Of Teeth
●WIN: 予想&希望のところで「最高」と書いたとおり、本当に素晴らしいアルバムなのですが、正直、ヴォーカル・アンサンブルなので“小編成/室内楽“部門での受賞はないかなと思っていました。ヨーヨー・マ&アックス&カバコスの史上最強室内楽おじさまトリオを、「声」の室内楽が破るってカッコいいな。

-Uncovered, Vol. 3: Coleridge-Taylor Perkinson, William Grant Still & George Walker
カタリスト・クァルテット
Catalyst Quartet

【5】最優秀クラシカル・インストゥルメンタル・ソロ

Best Classical Instrumental Solo
(インストゥルメンタル・ソリスト、指揮者がいれば指揮者に授賞)

☆ここはもう、個人的にユジャ・ワン一択。もしかしたら今回のノミネート作品の中で唯一、本気で受賞を祈っている作品かもしれないです。
ユジャ、テディ・エイブラムス、ルイヴィル・オーケストラ。この最高なアメクラ・トライアングルについては、詳しくは以下の記事↓もご参照ください。

-Adams, John Luther: Darkness And Scattered Light
ロバート・ブラック
Robert Black

-Akiho: Cylinders,
アンディ・アキホ
Andy Akiho

-The American Project
ユジャ・ワン(ピアノ)、テディ・エイブラムス(指揮)
(ルイヴィル・オーケストラ)
Yuja Wang; Teddy Abrams, conductor (Louisville Orchestra)
●WIN: 勝ったよ!勝ったよ!今年、いちばんグラミーを獲って欲しかったアルバムが獲ったよ! いちばん新しいアメクラが天下をとったよ。ユジャは授賞式は欠席したが、かわりにテディ・エイブラムスとプロデューサーのグラハム・パーカーが出席。放送前授賞式のプレゼンターがモリー・タトルで、偶然とはいえ彼女がこのアルバムを発表したのも象徴的だった。ユジャにとって初グラミー。

-Difficult Grace
セス・パーカー・ウッズ
Seth Parker Woods

-Of Love
カーティス・スチュワート
Curtis Stewart

【6】最優秀クラシカル・ソロ・ヴォーカル・アルバム

Best Classical Solo Vocal Album
(ヴォーカリスト、コラボレートしたピアニストや指揮者、室内楽団など、プロデューサー、エンジニア、ニューマテリアル50パーセント以上)

☆言うまでもなく。ジュリア・ブロック様の受賞を心より祈っております。
もう、ノミネートされた時には、うれしくてご本人のインスタあてにおめでとうストーリーのメンションしちゃって、ジュリアさんから「ありがとう」とお返事もらったくらい。
このアルバムとジュリア・ブロックについては、こちら↓のnoteにノンサッチ自警団新聞&暑苦しすぎて長すぎる紹介を投稿しましたので、お時間ありましたらご覧いただけますと幸いです。

https://note.com/dadooronron/n/na418e43b0789

-Because
レジナルド・モブレイ
Reginald Mobley, soloist; Baptiste Trotignon, pianist

-Broken Branches
カリム・スレイマン
Karim Sulayman, soloist; Sean Shibe, accompanist

-40@40
ローラ・ストリックリング
Laura Strickling, soloist; Daniel Schlosberg, pianist

-Rising
ローレンス・ブラウンリー
Lawrence Brownlee, soloist; Kevin J. Miller, pianist

-Walking In The Dark
Julia Bullock, soloist; Christian Reif, conductor (Philharmonia Orchestra)
●WIN:ユジャと並んで、今年いちばん受賞してほしかったアルバム。ユジャさんのほうは自分の嗜好というのも大きかったけど、ジュリアさんに関しては、クラシカル界全体の大きな流れの中で、オペラや声楽がこれからどこに向かうか…という意味で重要な作品だと思っていた。ニーナ・シモン、コニー・コンバースという名前が重要なキーワードとなるアルバムがクラシカル部門で受賞するというのはだな…(以下、上記リンクのノンサッチ自警団新聞をご参照ください)。リリースから1年。この作品の意味はますます大きくなってきている。ちなみにジュリアさんは背中を痛めて授賞式には出席できず。また、英国のオーケストラ(フィルハーモニア)は本作が今年唯一の受賞作となった。

【7】最優秀クラシカル・コンペンディアム賞

Best Classical Compendium

コンペンディアム賞の説明は難しいんですけど、第55回から始まった新しいカテゴリーで「クラシカルの中にサブジャンルが混在し、様々なソリストおよび/またはアンサンブルによる演奏(ヴォーカルまたはインストゥルメンタル)を少なくとも51%以上の演奏時間で、新たに録音したものを含むアルバム・コレクション」と定義されています。この部門にノミネートされた作品は他のクラシカル・アルバム部門へのノミネートは不可。選曲の妙によるコンセプチュアルなアルバムなども対象で、現代とか古典とかの区切りも関係ない賞だが、純クラシックだけでなく、今後はクロスオーバー・アルバム、あるいはジャズやアメリカーナなど他ジャンルが重要な要素でありながらも“クラシカル“領域として評価するのがふさわしい作品が増えてゆくことを見越して創設された賞ではないかと思う。そんなわけで、個人的には内心こっそり「最優秀クラシカル瞠目賞」と意訳している(笑)。
実際、今回もアーロン・ダール&ザ・ナイツや、チック・コリアのガーシュウィン&モーツァルト・ライヴ、V.A『Passion For Bach And Coltrane』など、かなりジャズ度高しですなー。つか、クラシカルは全体的にジャズ度ダダ上がりですわ。

☆アン・アキコ・マイヤーズさんとドゥダメル&LAフィルの「ファンダンゴ」は本当に素晴らしい、彼女のラテン・アメリカへの情熱が結実したかのような大名演。YouTubeにはハリウッド・ボウルでの映像も載ってますけど、これも素晴らしい。ニュー・アムステルダムからのジュリアス・イーストマン(1940-1970)作品集シリーズ第三弾もよかった。なにげにチック・コリアのモーツァルト&ガーシュウィン・コンサートもノミネートされていて、この部門はさすが幅広く興味深い作品が揃っている。
が。だが。しかし。
ここも私としては一択。今、アメリカでいちばんかっちょEエクスペリメンタル系チェンバーオーケストラ、ザ・ナイツがジャズ・ピアニスト、アーロン・ディールのピアノ・トリオとコラボした『Zodiac Suite』。この組曲は、1920年代から活躍していた黒人女性ピアニスト/作・編曲家のメアリー・ルー・ウィリアムズの作品。ある意味、ネゼ&フィラ管によるフローレンス・プライス作品と対称ポジションにあるアルバムと読むこともできる。
ちなみに今朝、ザ・ナイツの創設メンバーであり指揮者/チェロ奏者のエリック・ジェイコブセンの奥様であるイーファ・オドノヴァンが、こんな素敵な写真をSNSに投稿していた。昨年のグラミー賞の時の写真だそう。

いやーん、すてきすぎるー。なんとゴージャスでビューティホーなカップル。
イーファといえば、何年も前にピーター・バラカンさんのライブマジックで“I'M WITH HER”で来日した時にインタビューさせてもらったんですけど。「ブルックリン・ライダーのアルバムに参加していますよね。私、彼らの大ファンなんですー」つったら「チェロのエリックは私のフィアンセなのよ」って教えてくれて(たぶんそうだと思っていたけど、ここでやっと事実とわかった)。その日、ちょうどジェイコブセンがオーランド響の音楽監督就任コンサートがあったので「今日、就任コンサートですよね!」つーたら、「そうなのよ!そうそう!」って、本当によく知ってるのね!みたいな感じでちょっと喜んでいただいたのだ。たぶん、死ぬ時の走馬灯に出てくるに違いないくらい良い思い出。

-Fandango
アン・アキコ・マイヤーズ
Anne Akiko Meyers;
Gustavo Dudamel, conductor;
Dmitriy Lipay, producer

-Julius Eastman, Vol. 3: If You're So Smart, Why Aren't You Rich?
ジュリアス・イーストマン(1940-1970)作品集
Wild Up
Christopher Rountree, conductor;
Lewis Pesacov, producer

-Mazzoli: Dark With Excessive Bright
ピーター・ヘレスタール、ティム・ワイス
Peter Herresthal; Tim Weiss, conductor
Hans Kipfer, producer

-Passion For Bach And Coltrane(Various)
Alex Brown, Harlem Quartet, Imani Winds, Edward Perez, Neal Smith & A.B. Spellman
Silas Brown & Mark Dover, producers
●WIN: すいません、今回ザ・ナイツのことしか考えてなかったものでノーマークな作品でした。でも、聴いたら素晴らしい作品でした。グラミー・ノミネーションは、こうやって毎年よい出会いをくれます。で、自分メモを兼ねて補足。バッハの「ゴルトベルク変奏曲」とコルトレーンの「至上の愛」をモチーフにした曲で構築されたパッションオラトリオ。アレックス・ブラウンのピアノ・トリオ、イマニ・ウインズ、ハーレム・ストリングス・クァルテットの共演+朗読という、これもザ・ナイツのアルバムと同じくジャズークラシカルに位置付けられる作品。深い。深すぎて、まだ感想は書けないです。作品の成り立ちからして、ものすごく興味深いアルバム。ここで自らの詩を朗読している詩人A.B.スペルマンは、イマニ・ウインズのオーボエ奏者のお父さん。彼は、昔からずっとバッハとコルトレーンに影響を受けて、精神性に深いつながりを感じてきたのだそう。そして、イマニ・ウインズのクラリネット奏者で、本作のプロデューサーでもあるマーク・ドーヴァーさんって、なんと、今、yMusicの新メンバーとしても活動している方なんですね。インスタでyMusicの人々が「おめでとう!」とめちゃ盛り上がっていて、初めて気づきました。これはめでたい(変わり身)。

-Sardinia
Chick Corea
Chick Corea & Bernie Kirsh, producers

-Sculptures
Andy Akiho
Andy Akiho & Sean Dixon, producers

-Zodiac Suite
Aaron Diehl Trio & The Knights
Eric Jacobsen, conductor
Aaron Diehl & Eric Jacobsen, producers

【8】最優秀コンテンポラリー・クラシカル作曲賞

Best Contemporary Classical Composition
作曲家への授賞。25年以内に作曲された作品で、今回の時期にリリースされたアルバムが対象。

☆ノンサッチ自警団としてはアデスと言いたいところだけど、マッツォーリかモンゴメリー…女性作曲家に受賞してほしい。

-Adès: Dante
トマス・アデス
Thomas Adès
(Gustavo Dudamel & Los Angeles Philharmonic)

-Akiho: In That Space, At That Time
アンディ・アキホ
Andy Akiho
(Andy Akiho, Ankush Kumar Bahl & Omaha Symphony)

-Brittelle: Psychedelics
ウィリアム・ブリッテル
William Brittelle
(Roomful Of Teeth)

-Mazzoli: Dark With Excessive Bright
ミッシー・マッツォーリ
Missy Mazzoli
(Peter Herresthal, James Gaffigan & Bergen Philharmonic)

-Montgomery: Rounds
ジェシー・モンゴメリー
Jessie Montgomery
(Awadagin Pratt, A Far Cry & Roomful Of Teeth)
●WIN:現代を代表するふたりの女性作曲家、マッツォーリとモンゴメリーが揃ってノミネートされている図は美しいのひとこと(笑)。アデスもいいけど、女性どちらかに受賞して欲しかったのでうれしい。ピアニストのアワダジン・プラトのアルバム収録曲での受賞。ザ・ナイツの次に好きなチェンバーオーケストラのA Far Cryやルームフル・オブ・ティースの参加しているアルバムなので、それもうれしい。日本でモンゴメリーの曲はあまり演奏される機会がない気がするけど(気がつかないだけかも?)、6月のMETオーケストラ来日公演では「A Hymn for Everyone」が日本初演されますね。

【9】年間最優秀プロデューサー(クラシカル部門)

Producer Of The Year, Classical

☆これはもう、いっぱいありすぎるので誰でもいいや。
じゃ、フロストさんでどうすか(テキトー)。

-David Frost • The American Project (Yuja Wang, Teddy Abrams, Louisville Orchestra) (A) • Arc II - Ravel, Brahms, Shostakovich (Orion Weiss) (A) • Blanchard: Champion (Yannick Nézet-Séguin, Latonia Moore, Ryan Speedo Green, Eric Owens, Stephanie Blythe, Metropolitan Opera Chorus & Orchestra) (A) • Contemporary American Composers (Riccardo Muti & Chicago Symphony Orchestra) (A) • The Guitar Player (Mattias Schulstad) (A) • Mysterium (Anne Akiko Meyers, Grant Gershon & Los Angeles Master Chorale) (A) • Verdi: Rigoletto (Daniele Rustioni, Piotr Beczala, Quinn Kelsey, Rosa Feola, Varduhi Abrahamyan, Andrea Mastroni, The Metropolitan Opera Chorus & Orchestra) (A)

-Morten Lindberg • An Old Hall Ladymass (Catalina Vicens & Trio Mediæval) (A) • Thoresen: Lyden Av Arktis - La Terra Meravigliosa (Christian Kluxen & Arktisk Filharmoni) (A) • The Trondheim Concertos (Sigurd Imsen & Baroque Ensemble Of The Trondheim Symphony Orchestra) (A) • Yggdrasil (Tove Ramlo-Ystad & Cantus) (A)

-Dmitriy Lipay • Adès: Dante (Gustavo Dudamel & Los Angeles Philharmonic) (A) • Fandango (Gustavo Dudamel, Anne Akiko Meyers & Los Angeles Philharmonic) (A) • Price: Symphony No. 4; Dawson: Negro Folk Symphony (Yannick Nézet-Séguin & Philadelphia Orchestra) (A) • Rachmaninoff: The Piano Concertos & Paganini Rhapsody (Yuja Wang, Gustavo Dudamel & Los Angeles Philharmonic) (A) • Walker: Lyric For Strings; Folksongs For Orchestra; Lilacs For Voice & Orchestra; Dawson: Negro Folk Symphony (Asher Fisch & Seattle Symphony) (A)

-Elaine Martone • Ascenso (Santiago Cañón-Valencia) (A) • Berg: Three Pieces From Lyric Suite; Strauss: Suite From Der Rosenkavalier (Franz Welser-Möst & The Cleveland Orchestra) (A) • Between Breaths (Third Coast Percussion) (A) • Difficult Grace (Seth Parker Woods) (A) • Man Up / Man Down (Constellation Men's Ensemble) (A) • Prokofiev: Symphony No. 5 (Franz Welser-Möst & The Cleveland Orchestra) (A) • Rachmaninoff & Gershwin: Transcriptions By Earl Wild (John Wilson) (A) • Sirventés - Music From The Iranian Female Composers Association (Brian Thornton, Katherine Bormann, Alicia Koelz, Eleisha Nelson, Amahl Arulanadam & Nathan Petipas) (A) • Walker: Antifonys; Lilacs; Sinfonias Nos. 4 & 5 (Franz Welser-Möst & The Cleveland Orchestra)
●WIN:ここでも女性が受賞しました。本当に今年のグラミーは女性つおい。それだけしかコメントなくてすんません。

-Brian Pidgeon • Fuchs: Orchestral Works, Vol. 1 (John Wilson & Sinfonia Of London) (A) • Music For Strings (John Wilson & Sinfonia Of London) (A) • Nielsen: Violin Concerto; Symphony No. 4 (James Ehnes, Edward Gardner & Bergen Philharmonic Orchestra) (A) • Pierre Sancan - A Musical Tribute (Jean-Efflam Bavouzet, Yan Pascal Tortelier & BBC Philharmonic) (A) • Poulenc: Orchestral Works (Bramwell Tovey & BBC Concert Orchestra) (A) • Rachmaninoff: Symphony No. 3; Voclaise; The Isle Of The Dead (John Wilson & Sinfonia Of London) (A) • Schubert: Symphonies, Vol. 3 (Edward Gardner & City Of Birmingham Symphony Orchestra) (A) • Shostakovich: Symphonies Nos. 12 & 15 (John Storgårds & BBC Philharmonic) (A) • Tchaikovsky: Orchestral Works (Alpesh Chauhan & BBC Scottish Symphony Orchestra) (A)

【10】最優秀録音アルバム(クラシカル)

Best Engineered Album, Classical

☆これもよくわかりません。ノンサッチ&ニューアムステルダムからリリースされた、シャラ・ノヴァやキャロライン・ショウら現代女性作曲家が集合した『The Blue Hour』のノミネートが意外にもこの部門だけだったので…このアルバムに受賞してほしいです。ただ、オーディオの鬼、ホーネックとピッツバーグ・シンフォニー響がとりそうな気もするけど。

-The Blue Hour, Patrick Dillett, Mitchell Graham, Jesse Lewis, Kyle Pyke, Andrew Scheps & John Weston, engineers; Helge Sten, mastering engineer (Shara Nova & A Far Cry)

-Contemporary American Composers, David Frost & Charlie Post, engineers; Silas Brown, mastering engineer (Riccardo Muti & Chicago Symphony Orchestra)
●WIN: さすがに録音アルバムはまったく予想がつきませんでした(笑)。結局、デイヴィッド・フロストはプロデューサー・オブ・ザ・イヤーではなく、ここで受賞したってことですね。このアルバムは現代米作曲家、グラス、モンゴメリー、マックス・ライミの3人をとりあげたアメクラ名盤なのでうれしい。ちなみに、作曲賞のところで書いた、今年6月にMETが日本初演を予定しているモンゴメリー「Hymn for Everyone」はこのアルバムの1曲目に収録されている。

-Fandango, Alexander Lipay & Dmitriy Lipay, engineers; Alexander Lipay & Dmitriy Lipay, mastering engineers (Gustavo Dudamel, Anne Akiko Meyers, Gustavo Castillo & Los Angeles Philharmonic)

-Sanlikol: A Gentleman Of Istanbul - Symphony For Strings, Percussion, Piano, Oud, Ney & Tenor, Christopher Moretti & John Weston, engineers; Shauna Barravecchio & Jesse Lewis, mastering engineers (Mehmet Ali Sanlikol, George Lernis & A Far Cry)

-Tchaikovsky: Symphony No. 5 & Schulhoff: Five Pieces, Mark Donahue, engineer; Mark Donahue, mastering engineer (Manfred Honeck & Pittsburgh Symphony Orchestra)

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