苦手なもの、電話。

以前飲み物としての水が苦手だという話をしましたが、他にも私の苦手なものとして電話が挙げられます。若い世代には同じ電話嫌いが多い印象なので、不寛容な皆さんにも水に比べれば多少はご理解いただけるのではないでしょうか。逆に上の世代で電話が苦手だという人にはまず会ったことがありません。むしろ彼らは隙を見せればすぐに電話をかけてきます。

隙というのは電話に出られる瞬間のことであり、厳密には24時間365日のことです。つまり電話をかけるということは他人様の24時間365日を所有するということなのです。こう考えると動画の読み込みが悪く、たった2,3秒の時間を略奪されることにすら苛立ちを隠せない皆さんが、電話に苦手意識を感じないのは誠におかしな話です。

さらに電話にはコミュニケーションとしての欠陥があります。これはあまり知られていないのですが、実は電話をしているとき私たちは相手の顔を見ることができません。人の目を見て話すことは国際的な常識であるにも関わらず、はなからそれをさせる気がないというのはもはや国際法違反に等しく、ゆえにもし仮に電話がメダルを獲得することがあったとしても授与式は行うべきではありません。

それだけではありません。聞くところによれば電話で聞こえてくる声は相手本人の声ではなく、その声に似た人工音声なのだといいます。これは詐欺です。遠く離れていても愛しい人の声を聞くことができるからこそ、悪趣味な人たちは電話を使っているというのに、根本的に別の声だというのでは話になりません。ある種のオレオレ詐欺です。そしていま気づきましたがオレオレ詐欺がなくならないのも他ならぬ電話のせいではないでしょうか?

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