松本市愛犬人質強盗事件

テレビやネットのニュースでご覧になった方もいらっしゃるかもしれませんが、長野県松本市で面白い事件が起きました。ある民家に押し入った強盗がそこで飼われている犬を人質に取って現金を奪っていったそうです。この場合、人質という表現が正しいかどうかは疑問ですが。
被害者は農業を営む60代の夫婦で、犯人が民家に侵入したのは午後5時ごろ。ちょうど夫は畑で作業をしており、家には妻しかいませんでした。妻は洗濯物を取り込もうとしたところ、庭で犯人と鉢合わせたそうです。その時点で犯人は犬小屋にいた犬に包丁を向けており、妻に対して金を持ってくるよう脅しました。妻は部屋に引き返して箪笥から10万円を取り出し、犯人の元へと持っていきます。ここで通報することもできたのではないかと思うのですが、やはり同じ敷地内に刃物を持った男がいるという恐怖がそうはさせなかったのでしょうか。男は2万円を受け取ると歩いてその場を立ち去りました。「歩いて」というところに初犯ではなさそうな余裕を感じます。
この事件は犬が人質に取られたという点で面白珍事として取り上げられていましたが、私が気になったのは事件の顛末についてでした。実は「歩いて」庭から出てきた犯人を50mほど離れた地点で目撃していた夫が、不審に思い犯人を「走って」追いかけたのです。しかし結局は犯人を取り逃がしてしまったというのです。このようなことがあり得るのでしょうか?いくら夫が高齢だといっても、走ってる人間が歩いてる人間に追いつけないということなど……。例えばアキレスと亀においては、1秒間にアキレスが前進する間に前を行く亀も前進してしまうがゆえに、永遠にアキレスは亀に追いつけないことになりますが、それはあくまで想像上の話であり、詭弁です。実際には何をどう足掻こうとアキレスは亀に追いついてしまうはずなのです。
ではなぜ夫は犯人に追いつけなかったのか。これは私の憶測ですが、もしかしたら夫は「走って」いなかったのではないでしょうか。冷静になってみれば犯人だって走る可能性があるのに、60代の夫がそれに追い着こうと考えて走るでしょうか?もし仮に追い着いたとして彼に何ができるというのでしょうか?さらにいえば犯人も「歩いて」はいなかったのではないか?というより犯人なんて本当はいなかったのではないか?犯行がおこなわれた午後5時は、この時期まだかなり明るく、理想的な犯行時刻とは思えません。それにこの時代に箪笥に現金10万円をしまっておくなんてことがあるのでしょうか?仮にあったとして妻はなぜ10万円をそのまま持っていってしまったのでしょうか?そのうちの2万円だけを手に取って庭に戻ることもできたのに。そもそも犯人の侵入時に犬は全く吠えなかったのでしょうか……?そう考えると実は存在しなかったのは犯人の方ではなくて……。

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