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一霊四魂三元八力

 古神道では、天上から下された四魂を一霊が統括して人体に宿り、霊止(ひと)になると言われています。
四魂とは、荒魂・和魂・幸魂・奇魂のことです。
また、明治時代の神道家である本田親徳(ほんだちかあつ)氏は、『霊には力無く、力には霊無し。霊、力相応じて、而して神と為り物と為るを得る也。』と言いました。
本田親徳氏の古神道霊学では、万物の生成は「霊」、「力」、「体」の三大要素によって起こるとしています。
そして、「体」として剛体、柔体、流体の3つを挙げ、これを三元とし、そして「力」として動、静、引、弛、凝、解、分、合の八つを挙げ、これを八力としているのです。
 まず「一霊四魂」ですが、人間の心は四つの魂、四魂(荒魂、和魂、幸魂、奇魂)からできていて、この四魂を一つの霊、直霊(なおひ)が統括するとされるのです。
「荒魂には勇、和魂には親、幸魂には愛、奇魂には智というそれぞれの魂の機能があり、それらを、直霊(なおひ)がコントロールしています。簡単に言えば、勇は前に進む力、親は人と親しく交わる力、愛は人を愛し育てる力、智は物事を観察し分析し、悟る力なのです。
「直霊(なおひ)の機能を一語で表すと『省』(かえりみる)で、自分の行動の良し悪しを省みることで、四魂を磨いていく働きをします。
直霊は、ものごとの善悪を判断して、人を誤らせないように導き、もしも誤ってしまった場合は、それらを反省し、自らを責め、悔い改めようとします。
またこの直霊だけが、直接『天』につながり、四つの魂をコントロールすることで四つの魂を磨くという働きをする。」と言われているのです。
つまり、「天」の声を直霊で聴き、四魂がこれでいいのかを常に省み、四魂を磨いていかなければならないということなのです。
次に、三元八力の三元である一霊四魂は「霊」であり、それだけでは力はありません。
力を出すためには一霊四魂が「体」と相応じて働かなければならなりません。
「人間は霊ばかりでは駄目で、肉体がなければ働けません。また肉体ばかりでは本当に働けません。肉と霊とが両々相まって働く時、真実の働きが出るのであります。」

 次に三元とは、流(りゅう)、柔(じゅう)、剛(ごう)のことであると言います。
人間の体で言えば、流体は血液、リンパ液、体液などです。柔体は内臓や筋肉であり、固体は骨ということになるのでしょう。
これらの体に霊(意識)を入れて体を練磨するのです。流体はより流れるよう、柔体はより柔らかく、固体はより強固にして行くのです。
三元が整うと、宇宙全体が出来上がるということは、身体が出来上がるということになるのです。なぜならば、常々宇宙と身体は同じであると言われているし、一般に身体を小宇宙とも呼んでいるからなのです。
身体ができるためには、そのための鍛錬が必要で、剛、柔、流、そして気の身体をつくる稽古をしなければならないのです。
 まずは剛の稽古をして剛の身体をつくり、しっかりした剛健な身体ができたら、その剛の身体を柔らかくし、剛で柔軟な体にならなければならないということなのです。
 八力とは、動、静、引、弛、凝、解、分、合の八つの力なのです。
これらの力は、動と静、引と弛、凝と解、分と合と対照的なのです。つまり八力とは、対照力、対照力の総称ということができるでしょう。
三元の流体、柔体、固体に八力が相応じて、固体はただ固いだけではなく、柔らかくなる等の対照力をもち、合気の養成である引力が働くようになり、結びが出来ることになるのです。
 以上のように、一霊四魂三元八力が整って身に付けば、大きな合気の力が出る筈なのです。
 弛まずに練磨を続けて行くしか無いのです。

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