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妖艶な「ジャポニズム」

 江戸時代の浮世絵は、もともと浮世を描いた絵、風俗画として登場しています。
浮世とは、「江戸時代の粋で、きもちいい時代と生活そのもの」のことなのです。
 浮世絵師には狩野派、土佐派出身の絵師が数多く見られます。そのため室町時代から桃山時代の風俗画の影響が見受けられるのです。
日本を代表する美術として、浮世絵は西洋に大きな影響を与えました。
江戸時代の浮世絵は、1867年にフランス・パリで開催された万国博覧会への出品にはじまり、19世紀後半にフランスに発した印象派に多大な影響を及ぼし、日本の伝統芸術の一大ムーブメントを巻き起こしたのです。
 天才画家のルノアールやモネやゴッホは、日本に憧れてやまなかったのでした。これがいわゆる「ジャポニズム」なのです。
広重ブルーに代表される、浮世絵の鮮やかな色使いや丁寧で繊細な描写と表現力、そして何より、描かれた題材が、富士山や歌舞伎役者、美女等のエネルギー溢れる
「江戸時代の粋で、きもちいい時代と生活そのもの」だったからなのです。
 日本では浮世絵が価値ある美術品であると意識すらされなかった20世紀のはじめにかけては、特に多くの浮世絵が海を渡って行きました。
このジャポニズムの流れは19世紀半ばから20世紀初頭まで半世紀以上にわたって展開し、印象派などの西洋絵画や工芸品に大きく影響を及ぼしました。
 富士山を描いた、葛飾北斎の「富嶽三十六景」や、歌川広重の「東海道五十三次」は今でも日本人にとって、心が落ち着き、とても親近感も強く、馴染みやすい作品となっています。
 私も子供の頃は、永谷園のお茶漬けのおまけについていた「東海道五十三次」のカードを一生懸命に集めていたものでした。子供心に、浮世絵の魅力に取り憑かれてしまったのでした。
 それらの作品は海外での評価も高く、その多くが流出してしまったのですが、今なお日本の多くの美術館でも本物の鮮やかな広重ブルーを鑑賞する事が出来ることを忘れてはならないのです。
 もし実物の版画、浮世絵を自分の目で直接観てみれば、無条件で心に大きな衝撃と感動を与えてくれることは間違いありません。 
 男性を一瞬で虜にする女性を妖艶と言う言葉で表現します。妖艶な女性は、いつでも心に余裕があるような、しっとりとした色気と落ち着きを持っています。
そして、不思議と興味を奪われてしまうような、ミステリアスで謎めいている雰囲気があります。話し方や動作の一つ一つが、優美で艶っぽく、内側から女性らしさがあふれ出てくるような美しさを感じさせてもくれるのです。そのような魅力が浮世絵には満ち溢れているのです。そんな浮世絵をありがたいことに、神保町の版画屋さんなら無料で鑑賞することも出来ます。また、「すみだ北斎美術館」や特には東京原宿にある「太田記念美術館」が浮世絵専門の美術館なので、お勧めのスポットとなります。
 新型コロナウィルス問題が解決されて、美術館が再開されましたら、是非とも足を伸ばしてみてください。

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