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死ぬ前までに食べたい100の美菓 京都のひな菓子「ひちぎり(引千切)」

鶴岡のひな菓子づくりは今が盛んだ。旧暦の桃の節句だから。

京都のひな菓子といえば、京菓子司 末富製「ひちぎり」がある。

宮中への出入りを許された粽・餅菓子専門の老舗 15代川端道喜が記した『和菓子の京都』によると、江戸時代前期、徳川家より後水尾(ごみずのお)天皇の中宮となった東福門院の頃に、女院御所に来客が多いので、お餅を丸めるひまが無くて引きちぎったことが由来とのこと。

3月の節句のときのみのお菓子で、引きちぎったシッポの部分が阿古屋貝に似ていることから「阿古屋」の別名がある菓子だ。

草餅は5月のよもぎの菓子のように思われているが、元々は2月の母子草の新芽を使った菓子で、まさに女の子のまつりにふさわしい草餅だ。

そしてまた、草餅を土台にしているのは、
お内裏さまの風情を出すためともいわれる。袴の姿か、座布団か?

ピンクの「ひちぎり」は、白小豆と手亡(てぼう)の合わせ餡をピンクに染めたきんとんの中に小豆のつぶ餡がひそませているそうだ。

この3色の組み合わせもまた、桃の節句の菱餅の組み合わせだ。

阿古屋貝を模ったと書いたが、あこや真珠の輝きを、古くから女の子が大切にしてきたことからも、ひな菓子にふさわしい形だとされた。

鶴岡のひな菓子も、食べるには惜しい、美しい形をしているが、京都のひな菓子もまた美しい。

NHKの大河ドラマ「光る君へ」には、ひな遊びは登場したのだろうか。

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