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治療体験記 オペ編

いよいよオペ編です。
5月2日の竹中先生の外来診察で、手術は6月5日に決まったことは
すでに伝えました。
5月は自宅療養をしつつ、放射線治療をつづけ、全て終わってから
造影MRI検査とCT検査を受けました。
そして麻酔科の受診もしました。

MRI検査(5月21日)の結果は
5月31日に竹中先生の外来診察の際に聞きました。

「小さくなってるよ!」

3月に撮った写真と今回の写真を並べて比較すると、確かに小さくなっています!
(長さが)半分くらいになっていないかなぁと期待したのですが
そこは期待が大きすぎました。
ひとまわりサイズダウンという感じです。
およその体積では60%くらいになっていました!!

続いて、手術についての説明です。

・右太ももの後ろから切開して(術中はうつ伏せの姿勢です)、
できるだけ坐骨神経や太い血管を腫瘍から離した状態にして
腫瘍をまるごと切り取ります。
・その際に、大腿二頭筋(太ももの後ろの筋肉)の一部も
一緒に切り取ります。
・手術時間はおよそ2時間半から3時間くらいです。
・ドレーンは術後しばらく10日から2週間ほど入れます。

じっくり説明に耳を傾けます。
私は、皮膚の創(きず)について尋ねました。

「先生、創はどれくらいの長さになりますか?」

「創はね、膝下まで(全長)20cmくらいかなぁ」

え?ええ?
ちょっと待って?
膝下?全長20cm?
頭の中がプチ混乱します。

思わず「膝下ですか?」と驚きを隠せないでいる私に、
「坐骨神経をぐっと引っ張って、(下腿に向けて)ふたつに分かれて
走るところまで確認するので結構大きく切るんよぉ」
と申し訳なさそうな竹中先生。

10年前の乳がんの時の術創は、さいわい小さく済んで
今ではほとんど目立たないくらいです。
今回もその延長線上で考えてしまっていた私は
「20cm」という長さに怯(ひる)んでしまいました。

冷静に考えると、太ももはとても大きな体の部位です。
腫瘍も術前治療で小さくしたとはいえ、そこそこのサイズがあり
何より悪性です。
がんをまるごと取り出し、かつ神経血管を傷つけずに温存するためには
術創を大きくするのは当然のことです。

その当たり前のことが分かっていませんでした。

私の混乱を察した竹中先生は
「ちょっと足触らせてもらっていい?」と右太ももを触診してひと言。

「お!いけるかも!膝上までの切開でいけるかもしれない」

優しいです(泣)。

****
入院初日の6月4日、病室に訪れた竹中先生に、
前回の外来でのことを反省した私はこう言いました。

「先生、明日よろしくお願いします!
安全第一ですから、創も思い切り切ってくださいね!
今日は早く帰ってぐっすり休んでください笑」

竹中先生はにっこり笑って病室をあとにしました。

いよいよ6月5日、手術日当日です。
私は朝一番(9時〜)のオペです。
術衣に着替えて看護師さんと一緒に歩いて4階手術室に向かいます。
隣接する家族控室に立ち寄り、
両親と短く言葉を交わして優しくハイタッチしました。

「行ってくるね」

大阪国際がんセンターの手術室はとても広く、いくつ部屋があるか分かりません。
病棟の看護師からの申し送りが終わると
オペ場の看護師と一緒に私が手術を受ける部屋に向かいます。
まっすぐに続く通路を歩き(一度曲がったかな?記憶が曖昧)、
部屋<J>を通り過ぎて
隣の部屋<K>に案内されました。

看護師2人、麻酔科の医師がひとり、そして竹中先生と担当医の吉村先生が
すでにオペ衣に着替えて待機していました。

「よろしくお願いします」

本人確認、病名と術式、手術部位の確認をして台の上に横になります。
心電図・血圧計をつけ、左手に点滴をつなぎ、
硬膜外麻酔をしたあと仰向けになって酸素マスクを顔に軽く当てます。
いよいよ全身麻酔です。

「眠るお薬が入りますよ、点滴のところが少し痛く感じるけれど、
お薬の影響です」

という麻酔科医師の声に心でうなずいたその瞬間、私の記憶は消えました。

****
手術は無事終わりました!
麻酔から覚めてぼんやりとした夢うつつの状態で、
竹中先生や麻酔科の先生の声が遠くに聞こえます。
次の瞬間には、両親の声も聞こえます。
(ベッドで病棟に移動しているのですがそれに気づきません。)

気づけば病室に戻っていました。
その後の経過は「術後リハビリ編」で書いた通りです^^

気になる創はというと。

創部はドレッシング剤(白いやや厚みのあるシートに透明のテープ)
で覆われていて分かりづらいのですが、
明らかに「膝上」でした。

一昨日ドレーン抜去と同時に、創部のドレッシング剤も剥がしました。
創の長さはおよそ18cm。
竹中先生と担当医の吉村先生がすごく考え抜き、苦心した結果の
マイナス2cmです。

私の右太ももの後ろに少し斜めに走ったその創は
3ヶ月前に突然現れた8cmの塊と戦った証拠・根拠です。
勲章です。
痕が残っても、もう残念でも何でもありません。

その創には、私を治療してくれ支えてくれたすべての人たちとの経緯が
詰まっています。
見るたびに貴重に思って、感謝を忘れないでいようと思います。

術後の経過も良好で、いよいよ明日退院です!
読んでくださってありがとうございました。

また退院してからも、入院中の思い出やこれからの経過を
つづる機会があればと思っています♡

※冒頭の写真は、滋賀県の長命寺山という低山に登った時のものです。
また山に登れる日を楽しみに、元気に過ごしていきたいです。











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