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ビジネスのクリエイティビティ

これまで、5年間に渡って、スタートアップにおける事業の立ち上げや資金調達、広報・PRをしてきました。一般的に、そういったビジネス系・管理系のタスクというのは、「クリエイティビティ」とは少しかけ離れた存在にあると思います。しかし、今、僕がしている仕事は「クリエイティブ・エージェンシー」だと思って仕事をしています。

今日は、それについてどういう風に仕事をとらえているかについて書きたいと思います。

僕の仕事について

過去の投稿(元もMediumだったものを移植しています)でも、書いていますが現在、起業準備をしながらスタートアップ企業を中心に、事業戦略の策定や資金調達に関連する業務のサポートなどを行っています。より具体的には、事業戦略に関わる資料作成(PowerPoint)や、事業の数値計画(Excel)の作成などがタスクになります。

ポイント
・ アウトプットはPowerPointやExcel

当然、仕事のアウトプットは非常に重要で、なるべく質の高い資料や計画を作成することに全力を尽くします。しかし、実は最も重要なことは、アウトプットではなく、その過程にあると思っています。

画家とCFO

いわゆるCXOと呼ばれる経営陣は、その会社のビジョンや目指す方向性をCEOはじめ、多くの人と話します。特にその会社のビジョンや方針といったことについては、創業時の思いなども含めて、チームで十分に共有された上で、議論される事が多いと思います。

そこでは、「どうして、この会社・事業をはじめたのか」、「今後、どういう風に会社を大きくしたいのか(現状維持なのか)」、「どんな働き方をしたいのか」、そういったことを話します。

資金調達では、そういった議論の結果を踏まえて、ピッチ資料を作ったり、事業計画を作るわけです。(事業計画については、当然、実績も含めて考えますが)当然、資料の趣旨は、「投資家に我々の考え、思い描いている会社の姿を伝える」ということになります。

議論したままの内容を、録音したかのように、そのまま資料にして、投資家に伝えても、全てを伝えられるケースもありますが、しかし、そうでないケースもあります。

そのなかなか伝わらない時に、しっかりとアウトプット(PowerPointやExcel)にして、表現することが重要になります。

そして、「考えや思い、メッセージ」を「第三者に伝える」という点においては、CFOは画家も詩人も広告ライターと何ら変わらないと思っています。ただ、表現方法が画家が絵画であるのに対して、CFOはPowerPointとExcelで表現するという、表現方法の差異はあると思いますが、本質は同じだと思っています。

他方で、単なる数合わせやきれいなだけのPowerPointにはあまり価値がないと思います。表現方法、コミュニケーションのツールとして、以下に伝えたい対象に対して、伝わっているかというのは、いつも大切に思っています。

ポイント
・PowerPointやExcelは事業アイディアや思いの表現方法の1つ

クリエイティブからみたビジネス

2015年1月に、米国西海岸を旅行した際に、NIKE Fuel Bandなどを考えたAKQAのサンフランシスコ・オフィスにアポ無しで突撃したことがあります。当時、クリエイティブ・エージェンシーを立ち上げたばかりの友人といたので、「こいつ、東京でクリエイティブの仕事を始めたばかりなんだけど、オフィス見学させてくれないか?」って、受付の方に聞いたら、広報担当の方が出てきて、オフィスツアーしてくれました。

当時、彼らは3Dプリンターなどプロトタイプを作る場所があったり、広告案があったり、いかにもクリエイターという雰囲気がありました。しかし、一方で驚いたのがデータ分析のチームもいて、データドリブンなクリエイティブ開発を行っているチームもいると言われたことでした。

単にオシャレなデザインをするだけがクリエイティブではなく、ビジネスとの関係を重視しているのが非常に新鮮でした。

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(ギリギリ20代のころ)

僕にとって、自分の作るPowerPointの資料やExcelというのは、AKQAの皆さんがやられていることと表現が違うだけで、根幹は同じなのではないかと思うようになりました。

経営者や会社の事業を理解し、それを最もよく表現した広告案や新しい商品の提案(ターゲットは消費者)と一緒で、資料やエクセルの計画(ターゲットは投資家他)もクリエイティブの結果であると。

この4年間、「通訳」としての役割が重要だったと前の投稿でしていますが、逆に「通訳」として、やってこれたのも、意識して「表現」なんだと思い、取り組んでいたからなのではと今では思っています。


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