ダッヂ丼平
記事一覧
自認か、糾弾か〜アダルトチルドレン論と毒親論の距離〜
はじめに
20世紀が終わりを迎えようとしていた頃の日本で、アダルトチルドレンブームなるものがあったことを覚えている人もいるだろう。ジャーナリストの西山明が書いた『アダルト・チルドレン』というルポが1995年に出版されたのを皮切りに、続々とアダルトチルドレンという言葉を冠した本が刊行され、いくつかはベストセラーとなり、話題を集めていた。
アダルトチルドレン(以下、AC)とは、機能不全家族で育った
子どものしつけとエウテュプロン問題
はじめに聞いたところでは、北海道大学の櫻井義秀教授が率いるチームがエホバの証人の信者を親に持つ人たちを対象に、2023年の8月から9月にかけて面接調査をおこなったようだ。調査への協力者を募集していたSNSアカウントによれば、「宗教2世問題」が発生した社会的・家族的背景を把握し、学問的に検討をするのが目的とのこと。
1970年に日本全国で約1万人の信者がいたエホバの証人は、それから25年間でその数
子どもの権利をまもるために〜荻上チキ編著『宗教2世』の問題点〜
このnoteでは荻上チキ編著『宗教2世』の問題点をいくつか指摘していく。
しかし本稿はその内容を批判すること自体を目的としていない。
目標とするのはこの本が映しだしている現下の社会的風潮から、このさき起こりうると予想できる事態に警鐘をならすことにある。
僕は母親がエホバの証人の信者だった家庭でそだったアラフォー男性である。
だが25年以上まえの高校生のときからその宗教コミュニティからは離れている
川島四郎とフードファディズム
前回の記事では川島四郎という日本陸軍で軍用糧食の研究をしていた職業軍人の栄養学者が、戦後の1971年前後に小谷正一という当時マスコミに太いパイプを持っていた人物との偶然の出会いによって新聞やテレビなどで発言する機会を得て、その時にしゃべった根拠の曖昧な主張が日本人にカルシウム不足がイライラの原因になるという迷信を植え付けたのだ、という経緯をご説明しました。まだ下のリンク先の記事を読んでいない方は是
もっとみる