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サビコ

6月に体調を崩し、8月に腎臓ガンと診断されて闘病をしていたサビコが亡くなりました。
 2021まで行くぜ!とやる気に満ちてましたが、10月14日16時30分にツマに抱かれツマの目を見ながら灯がゆっくりじっくり消えました。

2011年7月のある朝、庭にひょっこり現れたサビコ。1ヶ月後、隣に住む大家さんの「最近、見かける黒い野良猫、保健所に連絡しようと思って」という言葉に慌てた僕らは、ご飯で室内におびき寄せて一緒に住むことにしました。 

以来、世田谷から杉並に移り、同居猫はハチからびんすけとなって、少しづつ変化していく日々の中で、警戒心バリバリだったサビコもツマには心を許し、ふたりの信頼は厚く高く広く強固なものに育っていました。ツマにだけ見せるスリスリやお迎えダッシュ、シッポプルンプルン、柱に頭ゴツンゴツンアピールは、遠くから見ているだけでも微笑ましいものでした。  

人間であれ猫であれ、誰であっても、出会ったその後がどんな時間になるかは想像ができないからこそ楽しいことだけれど、あの朝に現れたサビコがその後の僕らの人生をとてつもなく豊かなものにしてくれるとは、一ミリたりとも思いませんでした。予定より10年早く死んじゃったけれど、最後に痩せっぽちの小さな身体で見せてくれた、強い目とか衰えない気高さとか命の粘りとかホタテの食いつきとか僕への睨みとかツマへの愛は、僕の未来に頼りがいある美しい希望の残像と記憶を残してくれました。

 グリーンの輝く瞳、でっかい耳カット跡、綺麗なシルエット、大きな歌声、爪とぎのバリバリ音。
サビコとサビコがウチに来てくれたことへの幸運は、感謝してもしきれるもんじゃないです。9年経っても僕にはほとんど触らせてくれないって、どんだけ好かれないオーラ持ってんだよオレとは思うけど、夢の9年ありがとう。 寂し過ぎるぜ、サビコ!

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