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自由連想ミックス

太陽光線をもろに浴びてしまうとごまかしがきかないのは20代後半からだったはずで 外出準備を整えたものの外出しないかもしれないという最悪のはざまでゆらゆらしながら やっぱりもう一口だけ親子丼を食べるというさらなる最悪を実行してしまったぼくは その流れを引きずったままなかなか次の行動に移れなかった かといって寝る気にもなれず 腰というより背中のほうが断然だるく 歩いたほうがいいに決まっていることがもどかしくてたまらなかった ともあれどこかには行きたがっているはずのぼくの最大の敵は台風なごりの強風で やっぱり少し寝てみようとしながら鈴虫の声は家のなかから聞こえているようで とにかく悪いのは首の位置だと薄々感づいていた通りやっぱりもう歩くしかないと強く思った そして歩きはじめたとたん体がシャンとなり 胃の位置を確かめながら郵便局まえで鹿野さんをみつけて無視した 海は相変わらず穏やかで いつのまにか集まってきたトンボの群れのむこうで出会った犬同士もやがていなくなり 「ヒロタカ!」と呼ぶ声が聞こえたから集団のなかにシュンがいるかも?と10秒ほど目を凝らしてみたがわからなかった 犬は柴同士だったがけっこう大きさが違い 雲行きがあやしくなってきたから帰ることにしたのをやっぱりやめて東岳がみえるベンチにすわったら雨が降ってきた 買うものはタマゴとバターだけで タマゴとバターとパルムをもってレジに並んでやっぱりパルムをもどし ふたたびまた同じレジに並んだぼくの前の男のランチパックに20%割引のシールが貼られていた 男はララカードをもっていないことを右手をかるく振ってレジに伝え 次のぼくはララカードのしかも電子マネーで支払い 念のため確認した今日までの携帯料金は無事1900円台で ずっと待っていたアマゾンからの回答はさらに13日以降になるとのことだった
自由連想法による文章練習【16】

そしてそのまま堤川を進むカヌーと同じ八甲田山にむかって自転車を走らせたぼくはやがて道に迷い たまたま見つけた真っ赤なトタン壁の家にけっこう本気で住みたい気がした 一方で純平の2回目の家を見つけることはできず 目印になってくれたセブンに感謝しながら クオカードがまだまるまる3千円分残っていたのを思い出し そのクオカードがちゃんと財布に入っているかを確認するためにわざわざ自転車をとめ そのあと妻に会うまで自転車のチェーンが約5回もはずれた といっても中三の手前でちょうどよく妻と鉢合わせ しかも妻が電話で話していたより深刻な状況のようには少なくともぼくには思えず だからぼくは妻にあまり余計な心配はするなといった しかしいざやってみるとまあまあ疲れたそのせいで母に珈琲をつくるのが面倒くさくなり そのかわり買った80円くらいの珈琲を母はふつうに美味しいといった そしてそのお返しとして洗剤とファブリーズの詰め替え用と揖保乃糸とマカダミアナッツの9粒しかはいっていないらしいチョコレートを買ってもらい 「そういうことだからお母さんもいつ死ぬかわからないから」といった母に「気をつけて帰れ」と3回いった 母によると父は酒が飲めない日もありもういつ死んでも本当におかしくないようで ときどき母に謝ったりもするらしく 寝不足の母を不安げに見送ったぼくは やはり一刻もはやく父が死ぬよりほかに打開策はないとあらためて強く思った というかいい加減殺してしまいたいとさえも相変わらず思い しかしたぶん本当にもうすぐ死んでくれるだろうの予想がそのとおりだいたい三カ月以内くらいにそうなってくれることをいつも以上に強く願った といっても前澤さんから1億円くらいももらえればこれほど強く父の死を願う必要はなく その可能性がゼロとはいえないと思う自分がとても懐かしかった
自由連想法による文章練習【14】

とにかくぼくは デレク・ベイリーとかいうギターの人が 一日中ただギターを弾いたように それと同じように書く方法として 「自由連想法による文章練習シリーズ」を書きはじめたわけで しかしそれでもまだいろいろな何かしらに縛られているのは間違いないにしろ とにかくこうして書き進めることができているうちは まったく問題ないだろうと思っている やがてぶくどんをぬいで また着て またぬいだぼくは スーパービックチョコや草もちをそれほど食べたいと思わない理由のいちばんは やっぱり気温の上昇だろうと思った もちろん食べようとおもえばいくらでも食べられるどころか あれば必ず食べるにちがいなく しかしそのために買い物にいこうとまでは思えないという 要は「今どうしても食べたいものはとりあえず何もない」というこの素晴らしい状態に ぼくは今なかなか嬉々としている 一口食べると二口や三口どころか 二十口も三十口も食べたくなってしまうものたちに仕掛けられた多くの罠から完全にのがれることはできないにしろ 日々のがれる努力をしているぼくにとって お腹いっぱい神話を継承している野田は まさに死に突き進んでしまっているようにしかみえない だからぼくは野田の店にいかないのだというふうにもいえるが いちいち言うのが面倒くさいほかの理由もたくさんあって でも最後には一回必ずいこうと思っている 同じくヨッケと桂木のところにももう一回顔をだして 後生の別れになるかもしれないことにまで踏み込んで とはいえそれを軽いノリで伝えたいと思っている とにかくぼくは面倒くさい人間すぎて たくさんの友人たちに気を遣わせてしまうことがどうもやめられないらしく だからぼくは青森にはむしろいないほうがいいだろうという結論に達した ちょうど飯田も中田ももう青森に帰ってくることはないことも ぼくの背中というか運命を後押ししたような気がして ともあれ妻の仕事場は六本木になるだろうことから 近辺の物件をネットでさがしてあきらめて少し眠ってから 起きてようやく書きはじめて 妻はつまり今日何時に帰ってくるのか?の見当が微妙につかないにしろ どのみちマグロの刺身は明日に回すべきという決断だけは早々にした ぼくのじゃあ今日の夕食はなにかというと 母がつくった微妙な揚げだし豆腐と 同じく母がつくった妻好みじゃない太く切りすぎてあるキンピラゴボウもろもろで そのくせ東京の弟には成功したハンバーグを送ることを申し訳なさそうにいってきた母に そんなことよりバイトをすることの了解を父にちゃんととるようにとぼくはいった
自由連想法による文章練習【8】

そのうえでどうしても打開策が見つからないというなら そもそも打開しなくてすむ考え方の新しいを探せばよく N夫妻にいってしまった案についても実際やってみてから何度でも修正しようと思い直した そう Mをおもうあまりぼくはやや無理なことを約束してしまったようで 午前中にヨッケがいたのはかなり奇跡なことらしかった ぼくはそして当然のようにヨッケをボコボコにした すると急遽来週ヨッケの家に飲みにいくことになり シンちゃんから返信がこないことをぼくは少し気にした ベタとの会合で決まった廃車計画はネットで調べたりとかしているうちに現実味が増し 同時に現実味を増した父の死はたぶん本当にもうすぐな気がした モコちゃんからの連絡は今日もきそうになく だったらコタツから出そうのまえにサヤの好物だというチェダーチーズをぜんぶ食べてしまい そういえばおじちゃんエイゾウにもらったタケノコの土佐煮をベタがなかなかの勢いで食っていたのを思い出しながら長いスカリをした ベタは重を入院させたくはなく だったら今シーズン中に死んでもらわなければ困ると一緒に思い出した上京に先立ち重にもらった10万円は重がいったとおりあっという間になくなった ぼくは東京に永住するつもりだったが 青森の居心地のほうがだんだん良くなってきて ネットさえあればどこに住もうと変わらないはずもないことをあまり深く考えるのをやめた 廃車についてはどうやら本当に無料でできそうなことがわかり それどころか5千円分ものクオカードがもらえる方法のための引き算を途中でやめたぼくは モコちゃんに押し倒されるや仰向けにひっくり返って「ぼくも!ぼくも!」と泣きわめいた というのもなにもなぜもぼくはペーパードライバーで 福原のつむじはぜんぶで3個もあった 一方のぼくの首の垢を顕微鏡でみてみたところ 虫のような青黒い生き物がうごめいており 岩木山の輪郭を眺めながらぼくは父に抱かれた写真のなかにいた 隣りには妹もいて 黄色いシャツを着ていたぼくはたぶん西日がまぶしそうで 砂場になっていたそこは冬には1階部分が埋もれるくらいの雪がつもった
自由連想法による文章練習【17】



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