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自由連想法による文章練習【15】

「ていうかいろいろ翻弄されるのにもいい加減もう疲れたからとっとと一瞬で100年経ってしまえばいいのに」的なことを 夢のなかか寝ぼけながら思ったか口走ったかしたらしく その証拠のメモ書きのうえにヘコキムシがいて「うぉ!」とぼくは軽い悲鳴をあげた おでんはだから大根がないぶんのアレンジをちょっといいタマゴやコンニャクですると決めたことはいちいち携帯のメモに入力するまでもなく 要はトマトソースの空き缶に閉じ込めてクリアファイル的なものを差し込んだときに屁をしやがったのだろうと思った といってもゴミ袋にかけたファブリーズはすぐに効果を発揮し もしかしたらぼくも妻が死んだらそのあとを追うように死んでしまうかもしれないと思った 久しぶりのカイワレを妻はきっと喜ぶはずで さらに陳の小龍包とカチ割り氷をいれても4千円に収まった何気に素晴らしい今日の買い物はしかし胸の苦しみによって半減してしまい それはでも長年の悪姿勢が祟っているだけで 狭心症とか心筋梗塞の初期とかまして肺ガンなんかなはずねえだろ!と若干やけくそしたぼくはつまりけっこう不安だった といってもこの手の不安が的中したことは一度もなく しかもぼくの健康意識とそのための努力はここ1年半でかなり飛躍し そもそもタバコをやめ 1日1食で内臓負担も減り しかし酒は飲むといっても1週間で均せばそれほどでもなく あいかわらずズブロッカもグレンフィディックも両方うまかった そしてやっぱり胸にもシップをはることにした いや やっぱり胸にははらず 頭のてっぺんに近い左側までのぼってきた放散痛なんかと心中するのはもちろんごめんだと思った 歯ぐきの痛みはそう記憶に古くもない移動を繰り返していて 呼吸の詰まりは食べすぎすなわち胃や腸の問題ということにとりあえずした パスタソースはしっかりシーフードの旨味がでているはずで まだお盆まえの8月だというのにやたら風が冷たく イチョウの大木のまえでルイが蹴り上げたボールがあまりにも高々とあがった瞬間少し秋の匂いがした やがて降ってきた初雪を校舎の1階の窓からみていたぼくは そのあとの帰りの会のときにもホチキスの針をまた左のどこかの指にぶっ刺してしまい 今も痕が残っているのはしかしホチキスの針を刺した左のどこかの指ではなく 鉛筆の芯を刺した右人差し指の付け根で きのうと同じ噴水がみえる位置まで歩いたぼくはようやくそこで止まった 予想に反してサザエは1個50円も値上がりしていて だったら明太子のほうがマシだと思い そのかわり100円以上も安いとはいえゴマ油1本のためにわざわざ狭いレジを並ぶのもやっぱりやめて 結局なにも買わず店をでたぼくが座ろうとしたベンチを占拠していたのはいつものエチオピア人っぽい男ではなくハトだった やがて疲労の根源が湿気だと気づき かといって自転車を出すのは面倒で つけはじめた扇風機の風にのってほぼ同時にした屁が香ってくるのを期待したがそれほどでもなかった ただ左半身の調子はきのうほど悪くなく 歯もだからまあまあ良く 死ぬなら普通に東京で死にたいかもしれないと思った その東京にいる弟はヒー君ともども普通に元気そうで トモちゃんは安室奈美恵のナントカを見にいっていたらしく ヒー君のうめき声が一定の大きさに達するや ぼくはそれを弟が同じ年頃だったときと頭のなかで重ねた そう 弟が丸刈りだった夏泊の海の深さは通常浅瀬であるはずのかなり手前の段階で尋常じゃなく とりあえず「池の周りに柵がないため気をつけてください」の前のベンチに座ったものの そのベンチには背もたれがなかった 日陰のアジサイはまだまだ元気で 海水浴場が後ろにある状況は少し落ち着かず パパと呼ばれた男の背中のたぶん龍だろう彫り物を気にしているうちにやっぱり背もたれがほしくなって運動場のほうに移動するも 今度は背もたれの角度が微妙な感じで少し胸が苦しくさえなってしまい フラワー温泉の松の木の下に黙って突っ立っていたほうがむしろ断然いい感じだった それからまた泉の家のまえを通るかもしくは雄二が見事スイカを割った遊歩道をそのまま直進するかを悩みながら進んでいるうちにトレパンのような懐かしい匂いがして あいかわらずそのままの台がない横のフレームだけの滑り台はだからつまりどういうことなのか?はこのときもやっぱりわからなかった ベンチにもどったところで忘れものは当然なく ミョウガも高いやつしかなく そうめんの「具」ではなく「薬味」という言い方を確認しつつ その薬味をショウガとワサビだけにするかわりに ナスとシシトウとトウモロコシもあるからまあ十分だろうと思った 妻が涙をぬぐったタオルはたぶんプーさんのやつで 妻の味方になってくれている人たちに感謝しながら もし妻に何かあったら心中しても構わない気持ちがむかしより確実に大きくなったというのも ぼくがやるべきことはもうほとんど終わっていて 親を看取ることの二の次度もあいかわらずで 最近になって八重田を完全に去ることを少し躊躇するようになったとはいえ そのことこそがむしろ最も二の次だろうと思った といってももうそうじゃない泉の家のまえをぼくはこれからも限界まで何度も通るに決まっていて 一方のもはやゴーストと化したコーポ恵にいた魚沼が着ていたスフィンクス柄の寝間着をだから少しほしいと思った矢先にアマゾンでみつけたピッコロの繋ぎ服的なやつのほうが圧倒的にほしいとぼくは思った そう ぼくがつくるユーチューブもきっとまたぼくらしくなるだろうし そしてそれは妻に見せられるような代物では完全にないにしろ 芸術と妻を極めて遠くのほうで結びつけることにほぼ成功し さらによけいな迷いを放置することができるようになったことでまた一段と怖いものが減った気がした そのかわり肩からの放散痛の深刻レベルはなかなかダウンせず 右脹脛のかつてない激しい痙攣は左半身を庇ったことによるものだろうと仮説し ちなみにその右脹脛の痙攣の1回目のときにぼくがいたのは実家の物置ということに一応なっていたが そこは10年くらい前に1週間ほどアルバイトで通っていた葬儀屋の物置のほうにわりと似ていた ネットで調べたところその葬儀屋はまだ存在し 毎朝しみじみ絶望を噛みしめていた公園もそのままで 雨が降ったときにその公園にいたぼくはもしかしたら死ぬかもしれなかった といっても死んでしまっていたかもしれない確率は0.1%もたぶんなく やがて自己破産をしてからもぼくは働かなかった しかも空から金が降ってこなかったせいもあってさらなる苦心を重ねた末になんとか生き延びたぼくは さらにもう10年かけてたどり着いた最低限の文体に磨きをかけたり あるいは磨きをかけるどころの騒ぎじゃないふうになったところで 焦ったり不安になることはもうほとんどなかった まあでも夕方になっても瓶缶たちが残っていたら一応それを戻しがてらユニバースで熟ハヤシライスの素とティッシュを買いにいく可能性が徐々に高くなり しかしそのためには髪を整えねばならず そもそも暑いというより湿気がひどいこの状況を扇風機がなんとかしてくれるはずはやっぱりなかった アウガで母に買わせるのはむしろウニだけにしぼったほうがいいかもしれないと思ったのは一瞬で じゃあナスの煮びたしでも作っていってやろうかとも少し思ったがやっぱりやめた というのも時間的にウチに寄っていけるかもしれず その確認を怠った迂闊レベルはなかなかで ともあれとっとと父が死ねばすべて解決する話なのに 父はまだそこまで死にそうでもなかった やがて予報どおり降ってきた雨がアスファルトの匂いを立ち上げ 次の野田への連絡はラーメンを食べてからにしようと決めた いや やっぱりユーチューブもはじまってからのほうがいいとしたら 父が死んでからでなければどうしても無理で 父が生きていることの不都合のあまりの大きさをあらためて思いながら 瓶缶の戻しだけはやっぱりやってしまい 熟ハヤシライスの素とティッシュは買いにいかないことにした 

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