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自由連想法による文章練習【16】

 太陽光線をもろに浴びてしまうとごまかしがきかないのは20代後半からだったはずで 外出準備を整えたものの外出しないかもしれないという最悪のはざまでゆらゆらしながら やっぱりもう一口だけ親子丼を食べるというさらなる最悪を実行してしまったぼくは その流れを引きずったままなかなか次の行動に移れなかった かといって寝る気にもなれず 腰というより背中のほうが断然だるく 歩いたほうがいいに決まっていることがもどかしくてたまらなかった ともあれどこかには行きたがっているはずのぼくの最大の敵は台風なごりの強風で やっぱり少し寝てみようとしながら鈴虫の声は家のなかから聞こえているようで とにかく悪いのは首の位置だと薄々感づいていた通りやっぱりもう歩くしかないと強く思った そして歩きはじめたとたん体がシャンとなり 胃の位置を確かめながら郵便局まえで鹿野さんをみつけて無視した 海は相変わらず穏やかで いつのまにか集まってきたトンボの群れのむこうで出会った犬同士もやがていなくなり 「ヒロタカ!」と呼ぶ声が聞こえたから集団のなかにシュンがいるかも?と10秒ほど目を凝らしてみたがわからなかった 犬は柴同士だったがけっこう大きさが違い 雲行きがあやしくなってきたから帰ることにしたのをやっぱりやめて東岳がみえるベンチにすわったら雨が降ってきた 買うものはタマゴとバターだけで タマゴとバターとパルムをもってレジに並んでやっぱりパルムをもどし ふたたびまた同じレジに並んだぼくの前の男のランチパックに20%割引のシールが貼られていた 男はララカードをもっていないことを右手をかるく振ってレジに伝え 次のぼくはララカードのしかも電子マネーで支払い 念のため確認した今日までの携帯料金は無事1900円台で ずっと待っていたアマゾンからの回答はさらに13日以降になるとのことだった 音威子府の停電はまだ解消されていないようで 淵に流してやった逐一の情報はぼくが如何にヒマかを物語ってもいた 旭川と札幌に続いて苫小牧と名寄の一部でも停電が解消されたところでそろそろイオンに向かおうとしたぼくはとっくにポールスミスのTシャツを着ていて わざわざぼくがすわっているベンチの横にすわってきた汚いオジサンの臭いは犬か猫のウンコのようだった ベンチにすわるなりラジオをつけたそのオジサンは 袋から飛び出したおにぎりを「うんしょ!」とまあまあデカい声で拾いあげてからもずっとウンコの臭いを発していた そしてそのウンコ臭にだんだん慣れてきたぼくは やがていつものタバコ女もきて 右のタバコ女と左のウンコ男と さらにウンコ男が突然食いはじめた板チョコの3種の臭いの混ざりを感じながら自転車の母を心配した といっても体重増は思ったほどでもなく 津島さんお目当てにふり向いたに違いない白デブにそのとおり津島さんを襲わせてみようとするも上手くいかず 油川のさらに5駅くらい向こうにあった巨大な岩彫刻の記憶はもうほとんど曖昧になっていた そして月はマッピーのようだったというか シチューと醤油の組み合わせが旨すぎてからまだ7時にすぎない時計まわりをシチューがついた口まわりをふいた同じティッシュでふいた やがてぼくは山林を迷い 岡山の古民家にいったん目が留まったものの やっぱり山林にもどる途中 毎年シーズンオフに1週間くらい滞在している向かいの別荘の住人に思いきりシカトされ 人間同士は面倒くさいことのほうが多いというか 人間同士の面倒くさいことのほうをぼくはより強く意識してしまう性格かもしれない気が今さらした ちなみにそのときの月はマッピーではなく完全な満月で そのくせ空はまだ青黒く 左右の木々の黒のほうが倍以上も濃かった そういえば一度だけ別荘の男と話したことを思い出し さらに話したその内容からあるマイナスの結論に至ったぼくは やがて諸悪の根源を後頭部として立ち上がって珈琲をいれた 中田の躊躇はたしかにわからなくもなかった いや ぼくはもう勝俣とは二度と会わないだろうと思った途端 ぼくの挨拶を無視した別荘男の気持ちがすこしわかった気がした というか偽善者なぶんぼくのほうがむしろ悪人だと思った といってもそのことはすぐにどうでもよくなり 今夜もまた月をみながらもう少し大きめの声といっても普通の大きさの声で「モロイ」を音読できればどんなに良いだろうと思った しかしそれが叶うのは最低あと5年後くらいで それまでぼくの髪はたぶんもつだろうというか むしろもっと白髪に頑張ってほしく 母にくれてやるにも都合が良いと思ったから豚肉はやっぱり肉じゃがにした そしてはじめて真正面からみたウンコ男の顔は平べったく 毎日だから来てそうにそのウンコ男をタバコ女が一瞥したのをみて もしかしたら2人は口争いくらいしたことがあるのかもしれないと思いながら スパイダーマンに憧れて海上保安庁にはいったという女の子のことをついでに思い出した ほかにも「ジオラマ」「ブログで計画書」と書いてあったメモどおり その日ぼくはほぼまる1日ホームセンターを2軒まわったりなどして疲れはてた そのかわりだいたいの大きさと内装は瀬音の湯の平屋コテージをベースに カウンターキッチンは六本木のバー風にすることが決まった しかし翌日建築基準法を確認したところ 3坪以上は基礎工事などの条件が厳しくなることなどを知り ただし3坪以下でも新築は無条件が許されないとかゴチャゴチャするも 楽しい気持ちはまったく冷めず セメントに砂と砂利を混ぜる工程をわりと何度も頭のなかで確認した はじめしばらく横向きだった猫をふり向かせるべく使ったピンクのバスタオルはまだぜんぜん洗い時ではなく 寝たふりをしておじちゃんエイゾウに布団までもっていかれた直後にぼくは起き 猫の目玉はあまりに真っ黄色だった そしてその真っ黄色をもう一度みようとしたものの すでにパンツ一丁だったためあきらめ 猫は真っ黒猫で 少しばかりアイロンをあてたくらいで乾いてくれるような七分袖ではやっぱりなく おじちゃんエイゾウに買ってもらったケンタッキーは結局その日のうちにぜんぶ食べてしまった そしてまた来週いく約束どおりの初日にかなり眠くなってしまい しかしもちろん寝はせず 落合信彦の息子動画を流し見てから髪をセットし 問題の1番は管理費の増額だとしても 自由に壊したりもできる家と土地はやっぱり必要だろうと思った 一方でまた熊への懸念が再発し 眠さも増し 母をまつ時間がなかなか長く感じた しかもまた牛肉とかチョリソーとかそら豆などの食料を買ってもらい さらにラーメンと餃子もまた食べにいったからおじちゃんエイゾウに会うのは週1,2回に留めようと決め 牛肉は味付き肉でチョリソーはシャウエッセンに遠くおよばなかったにしろ ぼく1人が食べるだけなら十分すぎた 2キロで1300円くらいの鶏もも肉の下のほうはかなり血まみれのくせにブラジル産ではなく国産で 言うまでもなくそれより100倍驚いたキッドが死んだというニュースを読みながら落合信彦の息子動画を同時に聴いていたらこの世界のことがますますわからなくなった的な結論にいこうとしてしまい だから「わかろう」=「要約しよう」としているのがダメだという基本に立ち返り おじちゃんエイゾウとの再会に素直に運命を感じた そしてやっぱり青森を離れたくないかもしれない気持ちと少し戦い やがて家に帰って2時間後も妻はまだ帰ってこなかった それどころかそのあいだにおじちゃんエイゾウとまた会ってもらった数の子の大きいのを一つ食べたらかなり美味くて小さいのにすれば良かったと後悔してからも妻はまだ帰ってこず 翌日ぼくはいろいろなことを一気に閃いた 

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