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自由連想法による文章練習【18】

「なんだありゃ?」を「ありゃなんだ?」と反対にしてもぜんぜんおもしろくない最中の青森ベイブリッジを横断中にしたくなった小便はまだぜんぜん耐えられる範囲で またあった緑の箱はもうかなりどうでも良かった なんとかなりそうなザラの黒パンツはさらに2割引きの7百いくらで いつのまにかとれた左首のコリは夜中にまた復活した しかしいろいろ自ら指圧したところますます悪化し ガムを噛みだした途端だいぶ楽になり 父が殺しにくるかもしれない想定は軽めに あらためての上京の提案は妻の顔をもかなり明るくした とはいえアマゾンの在宅コールを東秋留のビレッジマンションでやるのはあまり現実的でなく 空き家営業ならぜひやってみたいと思い そのまえに片付けるべき重三郎の強制隔離当日ぼくは朝の3時半に起きた にもかかわらず先に出られた妻に半分意地で追いつき ラジオのノイズから小学生の作文と宝物の歌などが聞こえたそのぜんぶかどれかの連想の末 どこかの温泉の絵が頭に浮かんだそれをぼくはとりあえず鬼怒川温泉にした やがてバスの走りだしと同時にラジオが止んでちょっとしてから「今出た」と母からメールがきたぼくは もしかしたら父を殺すことになるかもしれない意識のなかで 後ろの女の匂いに嗅ぎおぼえがあった といってもすぐに嗅ぎ慣れて消えたその匂いのあと 一瞬シブかと思ってちがった男のニット帽はやたらブツブツしていた さらにあろうことか正面をむいて座っていた父のさらに目の前にバスがとまったせいで しばらく外の寒さに震えながらぼくは何度かちゃんと意識してそばの枯れ木をみた そしてやっぱり「タバコはご遠慮ください」の貼り紙か「禁煙」のステッカー的なものを貼ろうなどということも考えつつ 父の首を絞める自分の姿をわりとリアルに想像した そもそももうたぶん本当にダメそうな後ろ姿が本当に最期かもしれない父は本当に廃人のようで そのくせ金を盗まれたとか難癖をつけて病棟から出ようと目論むなどのクズ度を知るほど 父と楽しくすごした思い出ばかりが頭にうかんだ 父はいつもの紫のドテラを着ていた 極端にまるい背中はもう本当に死んでしまいそうだった 要するに父は酒を飲むために生きていて 母に対してより酒への依存のほうがはるかに大きく だから「アルコール依存症なのだ」ということがこのときやっと認識した気がしたことを ぼくはうまく妻に伝えられなかった だからそのあとすぐ話題になったヨネヅケンシだかの歌がぼくの頭から離れない状態がいまだ続いている そしてぼくはふたたび津島さんをビンタした 妻にぶん投げられたクモジローはそのまま少し転がり 「バスをお待ちのあいだご遠慮なく奥までお入りください タバコはご遠慮いただいております」にほぼ決定したものの 肝心の看板をどうするか?はとりあえず保留にした それから「ご自由にお持ち帰りください」と 40歳で美容師の見習いをする非現実にいまさら気づいたの大爆笑以降の夢の続きがすっかりぶっ飛んださきにクモジローがいた だったらどうするべきか? いや ぼくはそのことについての返事を夜中に目覚めて考えたついでに 突然父が立ちあがった空間の青白さに息をのんだ ところが3日目にして飯を食いはじめたあげく電話をしてきてタクシーで帰ると言い出し 地獄はだからお前が生きていることが家族にとって地獄なのだと鼻で笑ってやった それから重三郎様の輝く1年を願われて もしこのまま死んでしまったらどうとかの前に ローンが残っていても任意売却という方法があることを知った そのために必要な部屋の片づけ具合はまあまあで 栄町2丁目の5万円の一軒家もまあまあ気に入り ユニバースでみたタコボウシを重三郎に食べさせてやりたいと思った自分に少し動揺した ユニバースの制服が変わって なかなかのどか雪への対応は一気にしなければならず みほの実家の相場は900万で だったらとっとと売ってしまったほうが良さそうな空のうえに浮かんでいた白鳥の数を数えたら8だった そう まさに8くらいの数のやるべきことがしかも同時にあって 若干首が回らないくらいの心地よさのなかの風呂にはいりたいを実現するにはまだ少し時間がはやく 街灯のオレンジが照らすイケアのリメイクカーテンはそれほど大したことがなかった 妻はもちろんまだ寝ていて 事業者ローンの分の保険さえまるまるはいってくることが確認できれば決断するべきことの障害として思い出したポメラニアンが雪のなかをモコモコ走っていたのを言った途端の妻の好反応はやっぱり捨てがたく 犬の金のかかりがどのくらいかはとりあえず後回しにした とにかくまずはブログを更新して 妻の業務改善案もメールで送ってしまい 雪かきは前日とは逆にN家からやることにしてそうした後 車椅子の重三郎がでてきて「こんにちは」と他人行儀にいった ということでたぶんもう同居できそうだった いや 重三郎の好きなタコボウシがなく だったら他になにが好きだったか思い出せず おじちゃんエイゾウを待つあいだにも雪は容赦なく降り続いた おじちゃんエイゾウ宅の居間にある時計の数をかぞえたら6個で 「思った通りにはならないがやった通りにはなる」の紙の横には免許証の書き替え年月が書かれた紙と 新品のネジが画鋲でとめてあった 2人はともども「疲れた」を連発し こぼした墨汁はふかせず 「テンかくのわすれた」で思わず笑った続きに転がり落ちそうになったノリを食い止めたことの笑顔はいかにも子供らしく それぞれのお題の「貫徹」と「雪の正月」はまだしも ひらがなの「いのしし」は「かたつむり」を思い出させた そう そしてぼくは「かたつむり」で「ほげ~い」「ほげ~い」「ほげ~い」と3回以上くらい繰り返し おじちゃんエイゾウのこだわり雪片づけへのムカつきをサラッとながしてから 家の相場は約1千万で タカヒロの手の墨汁をみたらそれがどこに落ち着くのか気になってなかなか眠れなかった けっきょく尚之はこず 田島さんを接待することの重要の認識は高まる一方で 「たづこ・みのりの早苗訪問の旅」は棚の上下がくっ付いていて面倒くさすぎたもののやっぱり尚之はこなかった 問題は重三郎より妻のほうがむしろ大きくなりつつあり 豆腐とワカメの味噌汁がなかなか温まらないことのどうでもいいレベルをはかったらまあまあだったが なかなか終わらない妻を急かすのはやめるべきに決まっていた 「どう調子?」と「みかん食べる?」も両方シカトされたからそれがわかったことのともかくの果てに眠くなって カラシとワサビはどっちも同じくらい少なく なかなか終わらない妻にぼくはいい加減うんざりした というのも8時からの科捜研までにあらゆる憂いをざっくり解決してしまいたいという希望はやはり打ち砕かれ そのかわり山谷邸のお気に入り度は上々で あとはだからヨッケとの話し合い次第だった ところがヨッケは3時間まってもこず モルタルの壁にくっつき中の綿毛か綿ゴミの行方が気になって追いかけたら思いがけず朝日の真っ赤に遭遇した 走りながらの男は雪で滑ったもののちゃんと道路を渡りきり いつのまにかいなくなったカラスがいた街灯の皿の下でみぞれ交じりの重雪を片づける老女の効率の悪さはピカイチだった 左半身痛の蒸し返しによる呼吸困難はやっぱりまあまあ壮絶で 雪かきのやりすぎによる筋肉痛の相まっての痛みに協力しているのは間違いないと思った だからぼくはいったん三和荘の雪かきをやめた しかしヨッケがあまりにも来ないから少しだけやることにしてやっていたらきた中田からの着信をシカトせざるを得ず 母の喉はわるくなる一方だった 扶養にはベタと重三郎どちらもいれる方向で進め 事業者ローンのあれこれも無事収まるとして このままどんどん進んだらどうなってしまうのだろうというか 周りの灰色とぼく自身の無機質な一文字的な形とかのぜんぶこそが本当の現実な気がした 上から下の水の流れの模様は薄暗いなかにも木のぬくもり的をはじめとした懐かしさに包まれており ジェイソンのつむじのギッシリを確認したところで隣のばあさんの手がわりと思いきりぼくの肘に触れた 1時間がすぎても母はこず 動きのパントマイム風男のつむじは三日月で グーグルマップを印刷することの必須度はなかなか高いとあらためて思った 

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