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2023年10月締め請求書のお手紙

私たちデザインモリコネクションは、陶磁器デザイナー・森正洋さんのデザインした製品の卸売を主な活動としていて、毎月、お取り扱いいただくショップのみなさまへ請求書をお送りしています。
ふと思い立って、2021年9月分から、請求書を発送する際、お手紙を同封するようにしました。その時々に思ったことなどを書いています。何を書いたか保管しておく意味もあり、noteに置いておきます。
請求書をデジタル化した方がいいんだろうけど、その場合、こういうお手紙をどういう形でつけたら良いのか、悩ましいところ。


今月は「車」について、書いてみようと思います。今でこそ毎日車に乗っていますが、免許を取ったのは嬉野に戻った30歳の時で、それまでは兵庫県に住んでいて、徒歩・自転車もしくは原動機付自転車・電車で事足りる生活でした。嬉野に戻ってみると、コンビニも自転車で20分くらいの距離ですし、スーパーやドラッグストア、本屋などは自転車では行くのもイヤになる距離です。免許を取って、誰かに連れて行ってもらうのではなく、自分のタイミングで隣町のドラッグストアモリに行けた時には、なにかとても「自由」を感じたのを覚えています。

免許を取るまでは、車に対して興味もなく、免許を取ってからも「自分の車」に興味がなく、父の車・母の車・仕事用の車と3台の車があったので、父・母・私の3人で使う分には問題なく過ごしていました。ある日、母の車(10年ほど乗ってくたびれたホンダのシビック)でコンビニに行くと、消防団の先輩と会って、「もっと良か車に乗らんけん(もっと良い車に乗ったらどうか)」と言われました。車なんてなんでも良いと思っていたので、まあそういうもんかなと思いつつ、このことを母に話してみると、「そんなボロボロのスニーカーじゃなくて、きれいなスニーカーを履いたら?」ということじゃないか、とのこと。そう考えると、確かにそうかもしれないと納得し、車を単なる移動手段ではなく実用品を超えてファッションの一部というか、その人のイメージを形作る要素の一部だと思うようになりました(そうなると、愛着のあるボロボロの車を大事に乗るのもかっこいいことですね)。

しかしそれはそれでややこしいことの始まりでもあって、車っていうのは選択肢があるようでないというか、新車を買おうとすると100万円・200万円の金額が必要になりますし、中古を選択肢に入れても自分の買える範囲で好みの車があるとは限らない。古い車で好みの車があったとしてもメンテナンスに不安があるし、オシャレっぽい車に乗ってオシャレだねと言われるのもなにか気恥ずかしい、というような悩みが出てきます。これは電車移動では出てこない悩みで、たとえば阪神電車は自分のイメージに合わないから乗らない、というようなことは、ほぼないと思います。

少し脱線しますが、あらゆる所持品が「その人のイメージを形作る要素の一部」になる現象って、「これを持つことで他人からどう見られるだろうか」という想像や想定(事実ではなく)がいろんな判断の基準になってしまうので、個人の人生の満足度という視点で見ると、どちらかというとマイナスになる現象なのかなと思います。自分の選択について、他人からの評価ではなく、自分で納得して満足しているのが、いちばん満足度が高いんじゃないでしょうか。

というわけで、現在はホンダのフリードプラスに乗っているのですが、これを選ぶ時には、父が言っていた「(車は)どう使うかを考えたら、自ずと決まってくる」という言葉を思い出し、使い方から考えました。私の車の使い方としては、

1.仕事兼用のため、サンテナ(という名のコンテナ)に入れた陶磁器を荷室に載せて運ぶ
(荷室がフラットになるとなお良い)
2.こどもも乗るのでスライドドアだとありがたい
3.妻とこどもと一緒に遠出することもあるので、後部座席の快適さも必要

2021年終わりから2022年にかけての時点で、これらの条件を満たすのは、私が探す限り以下の車種でした。

・ホンダ フリードプラス
・トヨタ シエンタ
・フォルクスワーゲン シャラン
・ルノー カングー
・シトロエン ベルランゴ

荷室がフラットになるのは、フリードプラスとシャランのみで、あとは金額と好みで選んでいくことになります。外観の好みだけならカングーやベルランゴ、シャランが素敵なのですが、日本メーカー以外の車に乗ったことがないため、メンテナンスなど少し不安が残ります。フルモデルチェンジ前のシエンタは外観が好みではないため、外します。となると、条件を満たしつつ、金額・メンテナンスのバランスも良いフリードプラスということになります。とはいえ、ボロボロになっても乗る!というような愛着はありませんが、、自分の「こだわり」みたいなものが外から見えるのもあまり好きではないですし、多少のコストがかかっても素敵な車に乗る!という気合いのない私には、身の丈にあった車だと思っています。

2023.10.31
デザインモリコネクション
小田寛一郎

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