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社会人3年目の朝は友達の家で目覚めた。「社会人3年目の朝」だと言うことは起きたときに教えてもらった。Bluetoothスピーカーから陽気な音楽が流れるなか、ドタバタと朝の支度をする友達。何もせずにベッドでゴロゴロしている自分はさながらヒモのようだなと思った。

社会人3年目にもなって何をしているのだろう。いや、自覚がないからこんなとこにいるのか。こんなとこってのは言葉の綾だけど。

それにしても社会人になってからの時間の経過は早いなと思う。社会人になってからの2年間は、大学生活の1年間分と同じくらいのスピードで過ぎ去っていった。そんな短期間じゃ何も成長できない。パワプロくんじゃあるまいし。

朝ごはんをつくる音が聞こえる。そんな音を聞いたのはいつぶりだろう。きっと、自分の家で生活をしていない証拠だ。ついに友達からも「ヒモ」と呼ばれて笑う。作ってもらった朝ごはんを食べながら、「生活能力が欠如しているからこそ、誰かに養ってもらう能力が発達したのかもしれないなあ」なんて真面目に考えてみる。外に出て気づいたけど、どう考えても春の陽気にやられたせいなので、いっそ誰かに殴ってほしい。

どうせなら「ヒモ」を演じ切りたいなと思ったので、友達を改札まで送るとき「お仕事がんばって いってらっしゃい」と言ってみた。照れ笑いとかじゃなくホントにおもしろくて笑ってしまった。

「ヒモ役」を演じきった僕を自宅で出迎えるのは仕事なわけで、それを考えると、やっぱり一度くらいヒモになってみたいなと思う社会人3年目のスタートだった。

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