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やっぱりどうしようもなく服が好きだ

服を好きだと言えるようになったのはいつからだろう。

自分で着る服を選ぶようになったのはいつからだろう。自分で服を買うようになったのは、初めて古着屋に行ったのは、試着しないで買って失敗したのは、初めて人に服を選んであげたのは、自分の好みが確立してきたのは、服が好きだと人に言うようになったのは、いったいいつだろうか。

それは全部、全部覚えてる。

服が好きだ。ファッションが好きだと言うと少し語弊があるかもしれない。ファッションも好きだけど、あえて言うならやっぱり服が好きだと言いたい。

着心地がいい服が好きだ。ゆるい格好が好きだ。楽なファッションが好きだ。でもちょっぴり堅いジャケパンスタイルだって、たまには着たい。その日の気分で着る服を決めたいし、気分によって服を変え、服によっても気分が変わる。

正直、トレンドにはあまり興味がない。自分の着たい服が着られればいいと思うし、自分に似合う服は自分で分かる。人の格好だって、似合ってればいいと思う。なんなら、何を着てるかというよりなぜ着てるのかな気がする。

なぜその服を着ているのかを知りたい。人間として、社会的活動を行うためには、服は着なくてはいけない。着ることに選択の余地はないけれど、選ぶことは選択できる。なぜそれを選んだかには理由があるはずで、その理由こそがその人らしさだ。服を通してその人のことを知れたとき、やっぱり服が好きだなと思う。

服は「衣食住」の「衣」で、「食住」に先立って「衣」がある。その理由を考えるのも楽しいけど、僕が気になるのは、やはり服を着る理由。

服が好きな人も、服に興味がない人も、服(というよりファッション)が嫌いな人も平等に服を選んで着て生活する。好きな人は好きなりの理由を持って選んでいて、興味ない人も何かしらの選ぶ基準を持っていて、嫌いな人も着てるからには選んでいる。みんなが何を基準にどんな理由で服を選んでいるのか、もっと知りたいなと思う。

今年の頭から、ほぼ日5年手帳を使いだした。

名前の通り5年分の記録ができる手帳だ。使い方は決められていないので、人の数だけ異なる手帳をつくることができる。5年分、何を記録したらおもしろいか考えてみたとき、僕は「自分がその日に着た服とそれを選んだ理由」を記録してみようと思った。

「今日は取材だから少し賢い印象になるようにジャケットを羽織った」

「雨の日は気分が沈むから明るい色の服を着てみた」

「昨日買ったばっかのニットを着てみたかった」

「好きな人がダッフルコートをかわいいと言ってくれたからまた着ていった」

「誕生日にプレゼントしてくれた靴下は、会うときには毎回履きたくなる」

そんなたくさんの小さな理由も、5年分積もるとおもしろくなると思う。それを読むだけで、自分ってこんな人間って言える気がして、5年後がほんとうに楽しみで仕方がない。

僕の友達は、"服を着るということは「思い出を身につける」ということだ"と言った。まったくその通りだと思う。僕は彼からもらったNIKEの黒のスニーカーをかなり頻繁に履いているし、スニーカーに足を入れるたびに彼を思い出す。自分であげた癖に、会ったとき「そのスニーカー格好いいっすね。どこで買ったんですか?」とか飽きずに言ってくる彼を思い出して笑ったりして、今日も明日も履くんだと思う。履き潰した頃には絶対に彼にその写真を送ると決めている。彼はきっと喜んでくれる。

自分の服の選び方や理由を考えたとき、そこにはやっぱり思い出やこだわりや物語があった。僕はそれをもっと知りたくなった。

だからログを残してみたい。

きっかけは、友達の思いつき。服が好きな人たちで集まって、自分のお気に入りの服を「なぜ買ったのか」「いつ買ったのか」「どういうときに着てるか」などを紹介し合ってみたことがある。

みんなの考えや趣味嗜好はバラバラで、共感できることもあれば、できないこともあったけど、でもおもしろかった。

「若者は服に興味なくなった」とか「若者はブランド品に興味なくなった」とかいろいろ言われているけれど、ほんとうにそうなのかな? って思った。

興味ないように見える服を好んでるだけかもしれないし、ハイブランドのラグジュアリーな世界観に憧れてる人だってやっぱりいっぱいいる。

それが正しかったとしても別にいい。ただ、それをきちんと知りたいなと思った。だからログを残す。いまの現代を生きている人たちが、何を思って服を着ているのか、どんな服が好きなのか、嫌いなのか、思い出や物語をいろんな人に聞いてログとして残してみたい。それは僕の5年手帳と同じように、積もり積もって集まったときに、価値が出るんじゃないかと思う。なにより僕自身が知りたいことでもある。

ほんとうは、noteでチマチマやろうかと思ってたけど、どんなにちゃちくてもメディアをつくってきちんとログにしようと思った。

少しずつでいいから、やると決めた。

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