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SDGs進捗は「指標」で確認―ローカル指標の把握に便利な「ローカルSDGsプラットフォーム」

SDGsのさまざまな取り組みは、どれくらい効果を上げ、目標にどのくらい近づいているのか。このような効果検証や進捗管理に欠かせないのが「指標」だ。今回は、SDGsの取り組みに関する指標を調べる際に役立つデータベースサービス「「ローカルSDGsプラットフォーム」を紹介する。

SDGsグローバル指標

何か計画や目標を立て、その進捗や達成度を把握する際には、指標の活用が有効だ。SDGsの場合は、「SDGsグローバル指標」というものが国連によって用意されており、目標とターゲットの進捗管理に利用されている。

以下の国連ウェブサイトでは、各SDGsグローバル指標を記したPDFが公開されている。

日本語仮訳版のPDFは、以下の総務省ウェブサイトで公開されている。

このSDGsグローバル指標は、合計230ほどあり、定期的に見直しが行われている。

地方創生SDGsローカル指標リスト

『SDGs白書2020-2021』の「より良い未来へ向けて行動変容を促すSDGs指標」では、法政大学デザイン工学部教授の川久保俊氏が、SDGsグローバル指標をはじめとする指標活用の重要性について解説している。

川久保氏は、健康診断の検査値、ビジネスにおけるKPI(重要業績評価指標)、株式投資における各社の報告書や情報開示を例に挙げ、指標活用は進捗管理や効果検証、改善、意欲や意思の提示、将来予測といった面で可能性を秘めているとする。

一方で、SDGsグローバル指標は、各国の事情は加味されていないため、場合によっては使いづらいと指摘する。例えば、SDGsの目標2のターゲット2.1に対応する指標「栄養不足蔓延率」は、日本では課題になっておらずデータも収集されていない。そこで用意されたのがSDGsローカル指標で、川久保氏は以下のように説明する。

各主体のSDGsアクションを正確にフォローアップ/レビューしていくためには、それぞれの国や地域の事情に即した指標の整備が必要である。このようなニーズに応え得るのがSDGsローカル指標である。

(『SDGs白書2020-2021』、p.176、インプレスR&D、2021年5月)

日本では、自治体SDGs推進のためのローカル指標検討ワーキンググループ(事務局:内閣府地方創生推進事務局)が整備した「地方創生SDGsローカル指標リスト」が公開されている。

内容は、個々のローカル指標の「対応するグローバル指標」「データの解像度(データの取得が都道府県レベルなのか市区町村レベルなのか)」「データソース(統計データの所在場所)」などだ。

さらに、地方創生SDGsローカル指標リストを関連府省庁の統計から収集しデータベース化した上で、日本全国の地域の実態を可視化したものが「ローカルSDGsプラットフォーム」だ。開発と運用は川久保氏の研究室で行っている。

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ローカルSDGsプラットフォームの使い方

ローカルSDGsプラットフォームの利用にはユーザー登録が必要だが、無料で利用できる。

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ユーザー登録をしてからログインすると、画面に日本地図が表示される。右側にある検索パネルで、「検索対象」(「都道府県」か「市区町村」)や「検索項目」を選択する。

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検索対象は、地図をクリックして指定することもできる(色が付いている地域は「策定済」または「策定中」を示している)。

「検索」をクリックすると、結果が表示される。

検索項目「SDGs未来都市計画」では、各自治体の「SDGs未来都市計画」関連資料へのリンクが表示される。

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検索項目「データベース」では、SDGsの目標に関連する指標が表示される。

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以上のように、ローカルSDGsプラットフォームを使うと、各自治体のSDGs取り組み現状や計画を簡単に把握できるので、ぜひ活用してほしい。

なお、『SDGs白書2020-2021』の「第2部 SDGsの指標」では、指標の全体動向を解説するとともに、日本のローカル指標として、先述の地方創生SDGsローカル指標リストから主要な指標に関する統計データを掲載している。現状を把握する資料として最適だ。


文:仲里 淳
インプレス・サステナブルラボ 研究員。フリーランスのライター/編集者として『インターネット白書』『SDGs白書』にも参加。

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インプレスホールディングスの研究組織であるインプレス・サステナブルラボでは「D for Good!」や「インターネット白書ARCHIVES」の共同運営のほか、年鑑書籍『SDGs白書』と『インターネット白書』の企画編集を行っています。どちらも紙書籍と電子書籍にて好評発売中です。