資本主義の夜明け
ブローデル『物質文明・経済・資本主義 15-18世紀 日常性の構造』 2交換の働きから、第3章生産あるいは他人の領分における資本主義を読んでいきます。
資本の誕生
資本という言葉はいつ私たちの歴史に現れたのか?12-13世紀ごろに、資産・商品のストック・銀塊・利息のつく金の意味で登場した。ただ時代や国によって取られ方は変化する。ブローデルは、資本主義の介入段階を、次のように示す。これらは農業革命や産業革命においても同様である。
・荘園制度の消滅、封建的土地制度の廃止
・運営を自分の責任において行う資本主義的借地農への農村治所の賃貸
・プロレタリア的性格を持つ賃金労働者の採用
・垂直的分業制
産業が生まれる前、前産業の分類
ブールジャンによる4つのカテゴリーを以下に示す。また、ドイツのそれらの出現時期が図に示されている。
1. コンストレーション状の無数の零細家内工業
2. 分散配置型マニュファクチャー(manufactures dissemices)
3. 集中型工場(fabrique agglomeree)
4. 機械・水力・蒸気動力を持つ工場
商人と職人の戦い
資本主義は何よりも商人のものであると、ブローデルはいう。商人は、同業組合を作り、問屋制度を発明し、職人を「働かせる」契約書を作った。職人は、材料を商人から仕入れ、製品を販売してくれる商人に従属する。
ただし、商人に握られていない広大な領域が存在し、例えば、イギリスにおける羊毛加工がそうであった。
マニュファクチャーとファブリック
前産業は、手工業活動と問屋制度からなる。これらのネットワークの上に、マニュファクチャーとファブリックが現れる。マニュファクチャーは、織物業などの職人的な手を用いて働く労働力の集中されたもの、ファブリックは、鉱山や造船所のような機械を使うような活動を示す。
マニュファクチャーは手間のかかる後工程を行い、その前処理などは外に仕事を出した。そうすることによって、生産量の変化に対応し、技術力の高い職人を確保できた。しかしながら、利益は薄く、問屋機能と統合することによってその改善を図った。
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