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『ヨーロッパ学入門』III EUの歴史と現在 V ヨーロッパ多言語主義の可能性

EUとは何か?

 Wikipediaによると、ヨーロッパは a continent located entirely in the Northern Hemisphere and mostly in the Eastern Hemisphere, であり場所に基づいている。また、その地域の宗教、イスラム教に対するキリスト教も一つの特徴になっている。European Union (EU) は、主にヨーロッパに位置する国々(現在は27か国)の政治的・経済的連合である。

 EUに加入するためには、政治的基準(民主主義、法の支配、人権、少数民族の尊重)、経済的基準(正常な市場経済、EU内の競争圧力への対応力)、法体系の受容するための国内法の整備が求められる。EUは単一市場と、ユーロによる単一通貨を実現した。その金融政策を受け持つ欧州中央銀行が設立された。

EUの抱える課題

 一つ目は、EUの地理的境界だ。すでに、バルト3国、中欧(ポーランド、チェコなど)を含み、現在南欧、バルカン、トルコの加入が議論されている。キリスト教とヨーロッパに位置する国から広がってきているのだ。次に、加盟国の経済格差の問題があげられる。ユーロを導入するためには、物価上昇率・財政赤字・為替安定・金利の4基準を満たす必要がある。加えて、人件費の差と企業の競争力の問題がある。さらに、EUに流れ込む移民。

 これらの『多様性の中の統合』にチャレンジしているのがEUなのだ。

EUの成り立ちと目指すもの

 EUはその前身となるECとともに、戦争の後に形成された。つまり、EUは、平和という政治的な理念を実現するために創設されたのだ。その成功にドライバーが経済面での活動、ユーロにある。これまで統一言語や強力な統合を試みたこともあるが、EUの価値は、各国の特性や多様な伝統と文化を含有することにある。

 フォンテーヌによると、「欧州人は、人権への信念、社会的連帯、自由企業体制、経済成長の成果の公正な分配、良好に保たれた環境の下に生きる権利、文化・言語・宗教における多様性の尊重、伝統と進歩の調和など、先祖から受け継いだ豊かな価値観を大事にしている』のだという。

 国家(state)とは、広辞苑によると『一定の領土とその住民を治める排他的な統治権をもつ政治社会。近代以降では通常、領土・国民・主権がその概念の3要素とされる。』27か国の国々が集い各国の良さを維持しつつ、経済的な統一を達成した。これから、EU人としたアイデンティティを持つ若者が育っていき、変化をしていくのだろう。

アジアの巨大経済圏RCEP

 日本・中国・韓国と東アジアら15か国の経済圏が生まれた。RCEP経済圏は人口22億人、GDPは合計26兆2000億ドル(約2740兆円)規模、人工・GDPともに世界の三割のコミュニティだ。

 EUのように歴史、文化、人道主義などの土台を共通に持つコミュニティに対して、RCEPはそのようなベースは地理的共通性以外ほとんどない。しかし、DNAで見てみれば、アフリカで生まれた人類の親戚の集合だ。コロナの年に生まれた経済圏がこれからどのように変化していくのが楽しみだ。


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