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ハンダ吸い取り機のあれこれ

 電子工作をしていると部品の取り外しなどで、ハンダ吸い取り機が欲しくなります。私はこれまで、何種類かのハンダ吸い取り機を使ってきました。

 Youtubeにもいくつかの動画が上がっていますが、どうも自分の感想とは異なるものあり、いささか疑問を感じたので、この記事を書きました。

まずは、ハンダ吸い取り線から

 ハンダ吸い取り機は、吸い取る部分が、ノズル先端と密着する必要があります。凹凸のある部分だと、使えない場合もあります。SMDとかを取る場合にも吸い取り線は必要になります。

 電線をバラして吸い取り線がわりにもできますが、やっぱりめんどくさい。素直に、幅の違う何種類かの吸い取り線を買ったほうが楽です。

手動ハンダ吸い取り機

 この吸い取り機には、ずいぶんお世話になりました。先端がシリコンチューブですので凹凸のある個所でも、吸い取りができます。弱点としては…

  1. はんだごてと一緒に使わないといけない
     これははんだごてと吸い取り機で、両手がふさがることを意味します。いくらシリコンチューブといっても、部品の脚、はんだごての先端、吸い取り機の3つを密着させるのは難しく、何度もやり直しが必要になる場合があります。

  2. 数が多いとお手上げ
     脚の少ない部品ならともかく、ヘッダピンやソケットのように脚の数が多い場合は、面倒すぎて使う気が起きません。何度もピストンを押し込む必要があるので指が疲れます。

  3. 分解清掃が必要
     この吸い取り機の場合、筒の中身が見えないので、吸い取ったハンダの状態がわかりにくいです。吸いがわるくなったら分解してハンダが詰まっていないか確認する必要があります。ノズル先端部分に詰まると加熱が必要になる場合もあるので結構やっかいです。

自動はんだ吸い取り機(中華製)

 ハンダ吸い取りをする頻度が高くなったので、(前はもっと安かったように思いますが)自動ハンダ吸い取り機を買いました。”自動”というのは、電動ポンプによる吸いとり、はんだごてが一体化しているという意味のようです。もちろん作業自体が自動になるわけではありません。

一体化したことで、片手でも作業が可能になり、もう片方の手は基板を持って固定できます。ボタンを押している間じゅう吸うので、やり直しも楽です(さすがに毎回一発でというわけにはいきません。この件は後述します)。

 このハンダ吸い取りのおかげで作業は圧倒的に楽になりました。ただ、この機種は、たぶん、後述するgootのパチモンです。買うなら、絶対、gootにすべきです。ここでは問題点だけあげておきます。

  • 吸引力が弱い
    最初は、まぁまぁだったのですが、使っているうちに、なぜか吸引力が落ちていったような気がします。掃除もしたのですが、やりかたが悪いのかついに復旧しませんでした。

  • 工作精度があまい
     密着や篏合しないといけない個所が、なんか雑です。吸引力が落ちたのが、ポンプ自身かパーツの密着性の問題なのか、疑わしい箇所が複数あり追求を諦めました。

自動はんだ吸い取り機(日本メーカー製)

 1年くらいで中華製に見切りをつけ、日本メーカー製に買い替えました。この機種は中華製と比較して、圧倒的に吸引力があります。問題点としては…

  • パイロットランプが無い
    指定の温度に達したかがわからないので、これは結構不便です。

  • 付属ノズル穴が細い
     ノズル穴が細すぎて、太い足の端子が取れなかったので、追加で太いものを買いました。金属片がノズルに詰まると吸引だけでは取れないので、クリー二ングピンも買っておいた方が良いです。

  • 最初、煙が…
     最初に使ったときに、白い煙がでて、不安だったので販売店に戻しました。メーカーの調査だとノズル内の潤滑油かなにかが燃えたようです。返却されてからは問題ありません。

こっちのがよかったかな?

 白光は値段が高かったのと、gootが470gに対しFR301-81が520gで重かったのでgootにしました。FR-301はパイロットランプがありそうなので、今だと迷うところです。もし重さが同じだったら今なら白光にしたと思います。

ヒートガン

 吸い取器ではないですが、ヒートガンについて、すこしコメントしたいと思います。ヒートガンはドライヤーみたいなものですが、温度が 200度以上上げられるので、ハンダを溶解し部品除去に使います。熱風で基板とパーツの温度を上げるため時間がかかります。その間、熱したい部分に向けていないといけないので、結構だるいです。

 フレキシブルアームに固定すればもう少し使いやすくなると思いますが、準備が面倒なので、あまり使いたくない道具です。マザーボードのリペアとかだと活躍するとは思いますが、私はあまり使っていません。

ハンダ吸い取りのコツ

  • ノズルを基板に垂直に当てる
     ハンダ吸い取り機の先端は金属であり、シリコンチューブではないので、基板とノズル先端の部分を垂直に当て、隙間ができないようにします。いくら吸引力が強いといっても、隙間が大きいとハンダを吸い取り切れません。
     吸引力が強い分、空気で冷やされるため、すこしでもハンダの取り残しがあると、脚がスルーホールにくっつてしまい部品がはずれません。

  • ノズルを回しながら吸引する
    ノズルの穴に部品の脚をひっかけて、円運動させてやると、脚が穴との隙間で動きます。動かしつつ吸引してやると、脚がスルーホールにくっつくのを防ぐことができます。

  • 失敗したら、再度、ハンダを入れる
    どうしてもうまく取れない場合は、再度、ハンダ付けをおこなって、吸引をやり直します。

あとがき

 Raspberry Piの2列40ピンソケットなど、手動ハンダ吸い取り機では取る気も失せますが、自動ハンダ吸い取り機ならなんとかなります。

 自動ハンダ吸い取り機は、結構、高価なので躊躇しているかたも多いと思います。けれども、一旦、その快適さに慣れると、もう手放せません。私も何年も悩んでいましたが、買ってよかったと思います。

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