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令和6年度長門市一般会計当初予算案に対する討論

本日(3/14)行われた予算決算委員会後期全体会での私の賛成討論です。

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私は議案第8号令和6年度長門市一般会計予算に修正案反対、原案賛成の立場で討論を行います。令和6年度一般会計総額は、前年度当初予算に比べ、19億7,700万円の大幅な増加となり、予算規模は合併以降最大の225億9,000万円となっています。この主な要因としてはIT関連企業等集積拠点施設整備や、油谷支所・複合施設整備、西消防署庁舎建設等の事業予算であり、そこに充当された市債の総額は24億5,000万円に上ります。令和5年度末市債残高については、合併後初めて200億円を下回る見込みとなっているとはいえ、本市は人口減少等により歳入が伸び悩み、厳しい財政運営が続くものと予想されています。

市長の2期目となる市政運営において編成された当初予算では、「選択と集中」あるいはスクラップアンドビルドを打ち出し、選挙公約に基づいたさまざまな事業予算が計上されています。中でも、小・中学校の学校給食費における賄い材料費の保護者負担の全額無償化について、2月27日の重村法弘議員および吉津弘之議員の質疑における答弁では、出生数が危機的な状況でありこれまで以上に充実した子育て支援策が必要であることから給食費無償化の決意をしたとのこと、また、無償化による給食の質や量の低下はあってはならず、安全でおいしく質の高い給食の提供を、必要な財源をしっかり確保した上で効率的な財政運営に努め、事業の継続を図る考えを宣言されています。現在の食材費高騰、および燃油価格等高騰の最中にあって、賄い材料費の全額を一気に無償化することはなかなか思い切った政治判断と言え、市長が提案説明で述べた「すべての子どもたちが保護者の経済状況にかかわらず、安心して健やかに学ぶことができる教育環境の整備」、これは子育てをしながら働く現役世代にとって大変頼もしく、より一層子育て世帯の声が反映されるよう望まれていることと思います。一方で、子育ての負担は経済的なことばかりではなく心理的負担の解消も必要であることから、あらゆる子育ての場面における制度の見直しや、現場への指導等で予算をかけず実現できる手段もあることから、引き続き子育て全般の研究を行い、子どもの定義は18歳に到達した次の3月末日までと国が定義していることから、高校卒業までのより一層切れ目のない支援を望みます。

また、令和6年度は、大型ハード整備事業が多くスタートすることとなります。特にIT関連企業等拠点施設整備事業では、整備工事費として8億1030万9千円という、多額の予算が投入されます。これに対して、令和5年2月に「戦略的産業基盤強化事業企業誘致コンセプト」が議会に示され、令和5年度当初予算において基本設計を含む設計業務委託費が可決されたものの、1年が経過してもIT拠点施設の基本設計或いは整備計画のいずれも示されておらず、また、本事業の経済効果は示されていない等のことから、審査に混乱を来した事は至極当然と言えます。

しかしながら、事業の初期投資における全体金額と財源構成、さらにKPI(重要業績評価指標)については示されていることから、この実現可能性と期待値、これを基準に判断する事となります。本市は過疎化が進む地方の自治体であり、このような企業誘致の為の大型設備投資が今後行えるか、市長の描く本市の将来がどのようなものかについては現在のところ知る由もありませんが、少なくとも本市にとって、本事業の規模、更に、若者に人気職種である情報通信関連産業を誘致し、市内産業とのマッチングによって人工的にイノベーションを起こし、市内企業の業績の底上げと雇用拡大を実現しようとするこのような機会は、おそらくラストチャンスであろうと私は考えています。本市の最重要課題である人口減少対策は、歳出の増加を伴う福祉の観点だけでなく、働く場所の確保による所得向上とそれに伴う税収の増加を合わせて行わなければなりません。これまでの価値観に捕らわれ既存の事業に支援を繰り返すだけではイノベーションは起こりません。審査の中で市長は、この事業に対して政治生命を懸けるつもりで臨んでいるとの答弁がありました。本市の衰退を危惧する気持ちが、どの程度共有できているかはさておき、この答弁に込められた熱意を信じるしかないと考えています。

以上の理由、またこの度の予算審査を経て、一部においては「やさしさを奏でるまち」が迷子になってしまった感は否めないものの、事業はおおむね妥当なものであると推察されることから私の修正案に反対、原案に賛成する討論といたします。
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このIT拠点整備事業、たった1年で開業予定時期が3カ月遅れています。「スピード感」をアピールすればするほどスピードの無さが露呈しているように感じるのは私だけ?

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