ウエスト・サイド物語
ブロードウェイ・ミュージカル1957年初演、
ロバート・ワイズ監督が61年に映画化した。
レナード・バーンスタイン作曲、
ジェローム・ロビンズ振付である。
アメリカの芸術界の才能が結集して、
見事に開花した傑作だ。
移民の国、アメリカの社会が、
実際どのような暮らしだったかわからない。
自らの社会の暗い闇に光を当て、
しかも悲劇で終わる物語だった。
平成になっても、インターネットもSNSもない。
閉鎖的で恣意的な日本という島国。
グラミー賞やアカデミー賞は気になっても、
トニー賞を毎年楽しみにしていた、
日本人はほとんどいなかったのは無理もない。
ブロードウェイ・ミュージカル自体、
想像でしかない世界の片鱗を、
垣間見ることができる貴重な資料だった。
日本でミュージカルといえば、
子ども向け、家族向けのファンタジーで、
ブロードウェイ・ミュージカルは、大人向け、
オペラの現代版、というイメージだった。
だからここまで踊りまくる「ウエスト・サイド物語」が、
ブロードウェイ・ミュージカルの代名詞、にはならない。
ただ良くも悪くも、この映画は出来すぎだった。
アカデミー賞11部門ノミネートで、10部門を受賞する。
ロバート・ワイズ監督は、4年後の1965年、
同じくブロードウェイ・ミュージカルの映画化、
「サウンド・オブ・ミュージック」で、
またも監督賞、作品賞を受賞する。
1950年代までミュージカル映画といえば、
フレッド・アステアやジーン・ケリーだった。
ジャズ・ダンスは個性が主役で、
群舞は脇役と勝手に思い込んでいた。
オープニングから群舞への流れが堪らない。
今でこそ「ラ・ラ・ランド」のように、
珍しいことではないかもしれない。
自分が踊りたい、創りたい舞台の原点だった。
今年、スピルバーグ監督がリメイクする。
全く違う映画になると思うが、
差別は彼の得意テーマだけに、今から公開が楽しみだ。
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