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モーリス・ベジャール


1992年に亡くなった、世界的バレエ・ダンサーがいる。
モーリス・ベジャールの恋人ジョルジュ・ドンだ。

モーリス・ベジャールは、コンテンポラリーで、
ローラン・プティと共に、20世紀を代表する振付師である。

東洋や日本の文化に関心が高いフランス人で、
日本で彼の作品は、東京バレエ団が主に上演していた。

ジョルジュ・ドンが出演した映画、
81年公開「愛と哀しみのボレロ」で、
日本でも知られるようになったのだろうか。

このベジャール振付による「ボレロ」は、
20世紀バレエ団初演が1961年。
ジョルジュ・ドンが加入して、
彼が男性で初めてこの旋律を踊るのが、
79年ということである。

92年、彼が45歳で亡くなった後からだろうか、
シルヴィ・ギエムの主要なレパートリーとして、
彼女もよく来日して東京バレエ団でこれを演じた。

ローラン・プティの代表作「若者と死」同様、
相応の高度な技術だけでは踊ってはいけない、
とも言われている。

他にもストラヴィンスキー作曲の「春の祭典」が、
ベジャール初期の代表作として知られているが、
忠臣蔵モチーフの「ザ・カブキ」や、
三島由紀夫テーマの「M」など、
東京バレエ団のために振付した作品もある。

1987年に創設したモーリス・ベジャール・ローザンヌ。
このバレエ団に89年に加入した日本人ダンサー、
小林十市の影響も大きかったのではないか。

この89年は、ローザンヌ国際バレエ・コンクールで
熊川が絶賛され、最高位のゴールド・メダルを受賞する。

今もこのバレエ団には、
多くの日本人ダンサーが所属している。

日本ではあまり知られていないが、
東京バレエ団の上演する「ザ・カブキ」は、
ヨーロッパで高い評価を得ていると思う。

日本の文化や精神性は、その独自性や美意識が、
日本では評価されづらいところがあるのではないか。

2007年、ベジャールは80歳で亡くなった。

シルヴィ・ギエムは2011年の震災後、
11月には東北を訪れて復興支援公演を行っている。

彼女の引退公演は2015年に日本で、
最後は大晦日のジルベスター・コンサート。
ラスト・ステージでベジャール版「ボレロ」を舞った。

踊りは音楽と同様、時空の壁を超える。


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