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宮本輝

いや、彼がいた。

ただ出会いとは、
不思議なものだとつくづく思う。

僕が高校生の頃、
彼の「優駿」という作品が売れて、
フジテレビが映画化した。

その映画の監督が杉田成道で、
フジテレビの名作ドラマ、
「北の国から」の演出家である。

田中邦衛と吉岡秀隆までいるのだ。
小学生の頃、純粋に、
「北の国から」が大好きだった僕にとって、
「優駿」を観たいと思えなかった。

それでも僕が今でも、日本の現代作家で、
最も好きな作家を聞かれれば、
宮本輝、が真っ先に頭に浮かぶと思う。

宮本輝は、現実の日常を描き取る。
読みやすくて、胸に沁みる。
激しくはないが、なにかが込み上げてくるのだ。

あれだけたくさん書きながら、
僕にとってハズレが少ない。
それでいて、これがベストと言い切れる、
突出した傑作があるというわけでもない。

なんか他の作家を読むのに疲れたら、
いつでも帰れる場所みたいな。

最近読んだ著書が、最近のお気に入り、
というのが、特徴なのだ。

今は「田園発港行き自転車」。

富山の風景を舞台に、
人の絆を描いた、円熟の筆致が味わえる。

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