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Iris

1998年にリリースされた、
映画「シティ・オブ・エンジェルズ」の主題歌。

この曲でグー・グー・ドールズを初めて知った。
アメリカでは最も有名な無名バンドだった。
いわゆるオルタナティヴ・ロックである。

この「シティ・オブ・エンジェルズ」の、
サウンド・トラックが、
僕のダンサー魂をブーストさせた。

U2、アラニス・モリセット、
ジミ・ヘンドリックス、ポーラ・コール、
サラ・マクラクラン、ピーター・ガブリエル、
エリック・クラプトン、など錚々たる顔ぶれ。

映画「シティ・オブ・エンジェルズ」自体は、
名匠ヴィム・ヴェンダース監督の、
1987年制作「ベルリン・天使の詩」のリメイクだ。

これは、ハードル高い。
ニコラス・ケイジとメグ・ライアンの、
現代版恋愛ファンタジーだが、
映画の評判はどうだったのだろう。

ただこのサントラ、この顔ぶれだけでなく、
あのガブリエル・ヤレドが手掛けている。

フランスの作曲家で、
ジャン・ジャック・ベネックス監督の、
「ベティ・ブルー」で知られ、
アンソニー・ミンゲラ監督とコンビを組んで、
オスカーのノミネート常連だった。

96年ジュリエット・ビノシュが助演女優賞受賞の、
「イングリッシュ・ペイシェント」、
99年「太陽がいっぱい」のリメイク「リプリー」で、
助演男優賞ノミネートのジュード・ロウ。
その二人がついに共演を果たした、
2006年「壊れゆく世界の中で」といったように。

いろいろと、繋がっているのだ。
僕にとっても、いろいろな意味で。

この98年の夏、ダンサーの友人に請われて、
冬のダンス公演に参加した。

まだ全盛期の身体には戻っていなかったが、
半年で戻せばいい、目標があったほうがいい、
と友人にも主催者にも説得された。

その時、主催者が、
公演のテーマや構想を話してくれたのだが、
ストーリーのエンディングは、
もう決めていると、この「Iris」を聴かされた。

みんな社会人だ。本番まで半年ある。
男性ダンサーが貴重なことも知っている。

こうして僕は、出演を決めた。

そして、主催者の彼女は、
僕の期待を裏切ることなく、
この曲で見事な振付をしたのだった。

名曲の振付は、難しくないとはいえ、
復帰の僕が苦労するほど、難易度は高かったが、
いいエンディングになると確信できた。

冬の横浜は、海風が冷たかった。
前夜のミーティングは、
みな緊張から殺伐としていた。

公演は、なんとか無事成功に終わる。
涙で舞台メイクがボロボロの主催者は、
この舞台を最後に、引退を決意していた。

僕にとってこの曲は、舞台人生の始まりだった。

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