チェルシーのアート

【日記/32】Strawberry Fields Forever

The Beatlesの曲に『Strawberry Fields Forever』というのがあって、これは私がビートルズのなかでいちばん好きな曲だ。どれくらい好きかというと、私の葬式の曲はこれでキマリ! と思っているくらいには好きである。結婚式より先に、葬式で流す曲について考えてしまっている。

『Strawberry Fields Forever』のどこが好きなのかというと、私にしては珍しく、歌詞が好きだ。自分は普段、歌詞とかどうでもいい派で、メロディーさえカッコよければあとはもうずっと「うどんうどんうどん」とかいっててもらったって構わない。「とろろ納豆塩昆布」とかでもいい。「会いたくて震えるイオンTSUTAYA洋服の青山〜」とかでもいい。もう本当に歌詞はなんでも、どうでもいいと思っている。

だけど、珍しくこの『Strawberry Fields Forever』は、例外的に歌詞がとても好きだ。どこが好きかというと、特に好きなのは、「目を閉じて何も見なければ人生は容易だ」ってとこ。

人間が幸福に生きていく上で必要なものはたぶん「お金と愛」で、とにかくただ幸福になりたいだけならば、それ以外のものに関しては目を瞑ってしまったほうが賢明だろう。真実を求めるやつというのはだいたい不幸になり、世の笑い者になるのが常である。なんであんなことしたんだ? バカだったからだよ。あいつは結局、何もわかっちゃいなかったのさ! 「お金と愛」にさえ忠実に生きれば、そんなふうに他人に後ろ指を指されることもない。目を閉じて何も見なければ、人生は容易だ。この歌詞は、まだ10代だった頃の私の胸を打った。

しかし後になって、実はこの歌詞には別の解釈も存在することも知る。聞いた話だからぼんやりとしか覚えていないけど、『Strawberry Fields Forever』はジョン・レノンが東洋思想から強い影響を受けて作った歌で、「目を閉じて何も見ない」というのは臭い真実には蓋を、という意味ではなく、「瞑想するように生きろ」という意味に捉え直すこともできる、というのだ。

つまりこちらの解釈でいくならば、「目を閉じて何も見なければ人生は容易だ」というのは、「余計なものを見るな、雑念を取り払え、瞑想するように生きろ。そうすれば、世界はもっとシンプルで、人生はもっとイージーなんだ」という意味になる。そして確かに、こちらのほうがビートルズっぽい気もする。

さてどちらの解釈が正しいのか、そんなものは議論したって意味のないことだ。各々が自分の好きな意味で解釈すれば良い。私は精神が若いので、陰鬱さと後ろ暗さが付きまとう前者の解釈のほうが未だにちょこっと好きなのだけど、後者の解釈もなかなか悪くないと思う。

あなたは今、目を閉じて生きているか? それとも開いて生きているか? 人生はイージーか、それとも苦悩と困難か。おそらくだれもが正しくて、そして同時にだれもが間違っている。


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