冬の時代を耐えた体力と、宣伝戦略、そして世代交代―― 新参女子も古参ファンもいま再び燃えるプロレス

1990年代後半から、冬の時代に身を置いてきたプロレス業界。今そこに、春が訪れつつある。新日本プロレスを中心に、動員が伸び、収益も増えているのだ。なぜ2014年の今になってプロレス人気が復活を果たしたのか? そこには新規ファンの増加、ことに女性ファンの大量参入があった。地上波や雑誌などへのレスラーの露出も増える中で、女性ファンたちの声と、業界を下支えするメディア事情から、その理由を読み解いてみたい──。

教養としてのプロレス (双葉新書)

「プロレスがいまアツい」。

ここ10年以上のプロレス人気の低迷期を知っている古参のファンも、あるいは最近プロレスを知った新規のファンも、一様に口を揃えてそのアツさを語りたくなるような圧倒的な魅力が2014年のプロレスにはある。

そのアツさは数字を見ても明らかだ。業界の盟主である新日本プロレスのオーナー、木谷高明氏(株式会社ブシロード代表取締役社長)が専門誌で語ったところによると、12年の買収当時は年間売上高が11億円に落ち込んでいた同団体だが、今期(13年8月〜14年7月期)は23億円にまで回復。今夏はプロレス業界初となる西武ドーム大会を開催し、1万8000人の大観衆を集めた。

さらに他団体も負けてはいない。弱小団体として97年に旗揚げしたDDTプロレスリングは今年8月の両国国技館大会で全席前売り完売という偉業を達成。プロレス業界が広く盛り上がっている事実を証明した。

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