建築基準法、都市計画法から考える、大都市・東京の無秩序膨張……開発主導の都市計画と東京

――1964年の東京オリンピックを機に、一気に現在の姿へと変貌を遂げ始めたという大都市・東京。では、その背景にはどのような法令の整備が存在したのか?東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻准教授・中島直人氏に話を聞きつつ、戦後の大都市東京の膨張を、法という視点で読み解く!

「高度経済成長期、とりわけ1964年に開催された東京オリンピックを機に、東京の街は現在に繋がる大都市へと変貌を遂げ始めた」とはよく語られるストーリーである。事実、首都高速道路や地下鉄の整備、高層建築の建設などが始まったのもこの時期だ。

 しかし、個々の建築物の建築それ自体は、一定のルール――つまりは“法令”に基づいて行われているはずだ。では、この時期に東京都心部の大建築が一斉に整備され始めたということは、それら法令の改定も同時に行われたということなのだろうか……?

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