【無料公開中】【Vine系Gカップ女子・RaMu×漫画家・コラムニスト・辛酸なめ子】なぜわれわれ女子は、水着姿をさらし続けるのか?
――Vineに投稿した多くの“6秒自撮り動画”が同世代の女子高生の間で爆発的な人気となり、アイドルデビュー&グラビアデビューを果たしたRaMu。デビュー前の素人時代から、Gカップのバストを武器にヘン顔、コント、“やってみました”系、コスプレなど、ウケることならなんでもこいの彼女は何を思い、どこを目指しているのか? 同じく10代の頃から「メディア・アクティビスト」として活躍し続けている辛酸なめ子が挑む。
(写真/三浦太輔・go relax E more)
RaMu すみませんが私、なめ子さんのこと知らなかったんです。けど今回いろいろ勉強してなめ子さんが心霊に詳しいって聞いて、今日はなめ子さんに心霊の話を聞きたいと思ってるんです。心霊体験は結構あるんですか?
辛酸なめ子(以下、なめ子) たまにですね。宇宙人に「私の星では女性は劣化しないんですよ」と話しかけられたことがあります。
RaMu エーッ! でも私も宇宙船なら見たことがあります。
なめ子 都内ですか?
RaMu いや、自宅近く、埼玉です。
なめ子 私も埼玉出身です。埼玉のJKもネットをやっているんですか?
RaMu ハイ、埼玉に限らず私のファンの方は北海道から沖縄までいます。
なめ子 ネットを始めたのはいつ頃?
RaMu 幼稚園の時、母の職場によく遊びに行ってて、パソコンで動画を見たりゲームをしたりしてました。両親共働きだったので、その頃からケータイも持たされてましたね。小4くらいになると周りでもちらほらケータイを持っている子が出始めて、高学年の時は学校裏サイトが問題になっていました。なめ子さんは?
なめ子 18歳くらいです。ニフティや「タイガーマウンテン」という草の根BBSでチャットをしてました。それより前の時代は、ポケベルですよね。私は持っていなかったんですけど。
RaMu 私の母は今38歳で、まさにポケベル世代らしいです。父とは高校生のときから付き合っていて、ポケベルで連絡を取り合ってたって。19歳で結婚、20歳で私が生まれたんです。
なめ子 すごい、遺伝子が新鮮ですね! では、RaMuさんがTwitterを始めたのはいつですか?
RaMu 中2です。当時好きだったレゲエやビジュアル系バンドに関してつぶやいていました。そのうち、ゴールデンボンバーの樽美酒研二さんを真似して白塗り写真を載せるようになり、徐々に素顔を明かすようになって……それが中3くらいかな? 最初、顔を出すのは勇気がいりましたね。
なめ子 動画のほうはいつから?
RaMu 高2です。日常あるあるコントを撮影しました。動画を掲載したらどんどんフォロワーさんが増えて楽しくて。学校でもいろんな人に知られるようになって。「RaMuちゃんと同じ学校に行きたい」って、Twitterのファンの子が高校の同級生になったことも。
なめ子 学校経営にも貢献しているんですね。
タレントよりもYouTuberが人気
なめ子 Vineにアップしている動画の撮影には時間かかるんですか?
RaMu それなりにかかります。単に「渋谷なう~」みたいな日常を上げてるだけの子が多いのですが、私たちみたいなクリエイターは、がっつりネタを考えてどういうアングルで撮って、と結構本格的に考えるので。
なめ子 口にクラッカーをくわえて鳴らす動画もありましたよね?
RaMu 基本的には痛くないんですが、当たりどころが悪いと痛いし、火薬がしょっぱいんですよ。でもあの動画は、再生回数がかなり伸びました。
なめ子 ラブレット(口のピアス)を開けたり、激しいですよね。埼玉は、はじけたことをすると人気者になれるという雰囲気があった気がします。
RaMu 私、学校ではそんなに問題児ではなかったんですが(笑)。
なめ子 でも、ぶりっ子的な動画と違って、同性から人気が出そうですね。
RaMu 確かに、同世代の女子高生が応援してくれています。男性に対しては、「女子もこういうバカやってるんだよ」と、がっかりさせたいですね。年配の男性ファンの方に「あの動画はないんじゃないの?」と言われることもあるんですが、大人の意見に従って自分を抑えていたらオリジナリティがなくなるので、「ああいうのがJKにウケるんだよ」って受け流してます。
なめ子 動画に寄せられたファンのコメントは読んでいますか?
RaMu 批判的な意見も全部読んでます。理不尽な批判は、ネタにしちゃうくらい。2ちゃんのアンチスレッドやエロ系まとめにまとめられるのも含めて、私たち的にはオイシイですね。
なめ子 さすが、幼稚園からネットに親しんでいるだけあって打たれ強い。
RaMu 本当は弱いんですよ。心が折れることもあります。でも、これで私のことを知ってくれる人もいる、と前向きに考えるようにしています。
なめ子 リアルの友だちから「調子に乗ってる」といったやっかみは?
RaMu 全然ないです。みんな「RaMu見たよ~」って言ってくれる。
なめ子 ボーイッシュで面白いことをしてるからこその人気なのでしょうね。
RaMu 小さい頃から「人気者になりたい」と思っていて、動画も最初は「自分を見てもらいたい」という気持ちから始めたんです。フォロワーさんが増えるにつれ、「RaMuちゃんファンです」と言われるようになって感動して、「やっぱり芸能人になりたい」という思いが強くなって……。だから、まずネットで知名度を上げようとするのは当たり前のこと。ネットってすごいんですよ。原宿を歩いていると、若い子から「あ、RaMuちゃんだ」って話しかけられることも。
なめ子 大人の世界とは完全に違う世界が、そこにあるんですね。
RaMu 大人にはわからないでしょうね。テレビにも雑誌にも出てないのに、なんで人気なのって。かなりの子がVineを見ていると思います。私も実際見ていますし。YouTuberも人気です。私も友だちもテレビはあまり見ないので、タレントさんよりYouTuberが好きという子が多い。いま人気なのは、はじめしゃちょー。
なめ子 ネットを通じて友だちになることも?
RaMu 普通にありますよ。クリエイター主催のオフ会でファンの子と交流したり、クリエイターだけのオフ会を開いてコラボ動画を撮ったり。
なめ子 ライバルはいるんですか?
RaMu みんなライバルです。負けないようフォロワー数を伸ばして、数だけでなく質も上げようとして。
なめ子 そうやって自分を高めているんですね。動画による広告収入は?
RaMu 以前1本だけお仕事をしたことがあるんですが、ステマをするとファンが減っちゃうので止めました。ただ、こういった動画もだんだん廃れつつあるんですよ。私も最近はVineはあまり更新してないし、クリエイターさんたちもネタが切れてきて、次の新しいツールを探しているところです。
巨乳動画をきっかけにグラビアの世界にも
なめ子 アイドルグループ「KissBeeZero」で活動を始めたのは?
RaMu 高3の8月からです。初め、アイドルは合わないかなとも思ったんですが、清純派の中にヘンなやつがいるのも面白いかな、と。マネージャーさんから「おもしろ系をやっていいのはRaMuだけ、ほかのメンバーはダメ」と言われて、ちょっと複雑……。
なめ子 素晴らしいGカップの巨乳をネタにした動画を上げたことが、グラビアの仕事にもつながったんですか?
RaMu そうですね。もともと手島優さんや壇蜜さんなどグラビアアイドルさんに憧れていて、私の唯一の武器は胸だと思って、巨乳をネタにした動画も上げてました。水着に抵抗はないんですが、ぶりっ子には抵抗があるんですよ。それならヘン顔のほうがいい。
編集 グラビアといえば、なめ子さんも水着写真集を自主制作してらっしゃいましたよね。(1999年発行、自腹印刷代15万円の『Mermaid Love』)
なめ子 昔、バリ島で友だちに撮ってもらって、キャッチフレーズを自分で書いてコミケで売っていました。その頃、優香に憧れてたんです。
RaMu 私たちと同じ、自己プロデュースしたんですね!
なめ子 RaMuさんは願望がどんどんかなってますね。でも、すべて自分でやれていたネットから、大人が介在する芸能界に入ったことについてはどう考えてますか?
RaMu いままでは、“常識”を考えていなかったように思うんですよ。幅広い世代から好かれるためには常識が必要だし、でもやっぱり曲がったところもないと私らしさがなくなってしまうし。目標は、バラエティでいじられる菊地亜美さんや鈴木奈々さんです。
なめ子 RaMuさんのお話を聞いていて、私の10代の頃と本質的には変わらないと思いました。私も思いついたことをすぐに作品にしていたので、そうしたクリエイティブ精神を今の若い子は動画で発散しているのだと。
RaMu なめ子さんだったらどんな動画を撮りますか?
なめ子 そうですね……私は自分の動画は気持ち悪くて見られないので、自分が映らずに心霊スポットの動画とかでしょうか。そういえばRaMuさんは、夜の廃校で自撮りしていましたね。何か写りこんでましたか?
RaMu ないですね。以前はそういうの怖かったんですが、最近は写ったほうがオイシイと思うようになってきたのは職業病でしょうか。心霊動画、いいですね。今度じっくり心霊話を聞かせてください!
(文/安楽由紀子)
RaMu (らむ)
1997年、埼玉県生まれ。身長148センチ、B90W58H80。14年から動画投稿を始めて人気に。16年にグラビアデビュー。4月、1stイメージDVD『初めてのRaMu ずっきゅん』(イーネット・フロンティア)発売。今春高校を卒業したばかり。
辛酸なめ子 (しんさん・なめこ)
1974年、東京都生まれ、埼玉育ち。93年にMacintoshを使ったアート作品を発表、95年ウェブサイト「女・一人日記」を開設。94年にマンガ家デビュー。テレビも含め多分野で活躍する。最新著作に『辛酸なめ子の世界恋愛文学全集』(祥伝社)など。
RaMuちゃんVine動画傑作選
【1】水着ぶっかけ:2014年8月1日アップ。17歳バースデー記念動画。この巨乳っぷり!「Likes」5991件、「Comments」271件(2016年5月現在)
【2】口内クラッカー:2014年7月2日アップ。本文中にも言及のあるクラッカー動画のひとつ。「Likes」1819件、「Comments」102件(2016年5月現在)
【3】JKの日常:2014年7月9日アップ。友人の登場も、リア充感を増幅させる。「Likes」1655件、「Comments」34件(2016年5月現在)
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