【お笑い評論家・ラリー遠田】ナンシー関の亡霊にすがるテレビで独り奮起するマツコの孤独な闘い――識者たちの「マツコ論」【3】
――マツコがテレビで活躍するにつれ思い出されるのがナンシー関。気鋭のお笑い評論家が、2人の比較から、現在のテレビ界を斬る!
マツコ・デラックスという人物と、現在の彼女が主戦場としているテレビというメディアのことを考えるにあたって、1本の補助線を引いてみたい。「ナンシー関」という補助線を。
ナンシー関は伝説的なテレビコラムニストだ。02年に亡くなるまで、テレビコラムを書き続けていた。鋭く、歯切れ良く、ユーモアと愛に満ちたコラムは、読者からも絶大な支持を得ていたし、テレビ業界関係者からも一目置かれていた。
ナンシーの死後、テレビバラエティは無法地帯と化した。ヒットした番組の二番煎じの安易な企画が横行し、志の低い番組が次々に量産された。
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