日本人観光客激減の裏に東日本大震災の影響が――パリ同時多発テロがフランス音楽に与える可能性
――昨年1月に起きた「シャルリー・エブド」襲撃事件。同年11月には、同じくフランス・パリの複数の地で、イスラム国による同時多発テロ事件が起きた。フランスを拠点とするアーティストや、世界各国のミュージシャンたちによる音楽での追悼など、それらによってフランスがどのように変わったか、仏在住のライターがレポートする。
イスラム国によるパリ同時多発テロ事件から、間もなく3カ月が経過する。パリの街はテロ前と変わらない日常が戻りつつあるが、犠牲者の家族や友人が負った心の傷は、いまだ癒えていないのも事実だ。本稿では、テロ以降に哀悼の意を表した世界的アーティストのパフォーマンスから、フランスのムスリム系移民らによって育まれた〈ラップ・フランセ〉との関係性、そして現地でしか感じることのできない事件後の報道のあり方などを、多角的に見渡していきたい。
続々と哀悼の意を表すアーティストたち
テロによって実姉を失ったラッパーのクリムサ・ンゴーは、テロの現場となった場所を曲のタイトルにし、「思い出の写真は、憎しみを抑えるための写真」といったメッセージをラップしている。
まず、テロの起きた11月13日の翌日から17日まで、パリ市内で予定されていたU2、モーターヘッド、フー・ファイターズ、プリンス、マリリン・マンソンらのコンサートは軒並み中止となり、音楽イベントをはじめ、学校や美術館なども閉鎖され、現地の人々や、観光客らが多く集まる場所へ行くことははばかられた。
それから約3週間後の12月初旬、11月14~15日の2日間で予定されていたU2のコンサートがパリで開催。彼らのコンサートにサプライズ・ゲストとして登場したのは、テロの標的となった(犠牲者130人のうち89人が亡くなった)パリのバタクラン劇場で公演していたイーグルス・オブ・デス・メタルのメンバーだった。
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