議員会館と官邸のリニューアルが日本政治を硬直化させた!?【政治学者・御厨 貴】が論ずる「建築と政治」

――古来より、時の権力者がその力を誇示するものとして、建築物は大いに利用されてきた。また、その時々の社会の思想潮流が反映されるのが建築物の特徴でもある。そうした中にあって、現代の政治家は建物をどう活用しているのか?かつて戦後政治の立役者たちの私邸を訪れて回った『権力の館を歩く』なる書を上梓している政治学者・御厨貴に、その意味するところを尋ねた。

(写真/若原瑞晶・D-CORD)

――政治と建築というテーマでお話を伺いたいのですが、旬な話題ですと、新国立競技場の問題が、安倍(晋三)首相の介入によって「白紙撤回」というひとまずの決着に至りました。これはどう受け止めてますか?

御厨 一番の問題は、前日まで「変更はしない」と言っていた政府が、急に「白紙」にする、「まだ間に合う」って言い始めたこと。これまでの内閣で、こんな手のひら返しはあり得なかった。一度決定したことを、内閣の支持率が下がっているというちまちまとした理由で覆すって、でたらめすぎますよ。政治の言葉が軽くなっている。

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