今は日本人が韓国系民族学校に進学する時代!民族は多様化すべき 「在日とスポーツ」の今
――空手に限らず、日本のスポーツ界で活躍する在日選手は多数存在している。『魂の相克 在日スポーツ英雄列伝』(講談社)の著者である大島裕史氏に、現在の”民族問題”について話を聞いた。
『日本代表・李忠成、北朝鮮代表・鄭大世~それでも、この道を選んだ』(光文社)
僕が取材を始めた90年代と今とでは、「スポーツと在日問題」の状況はまったく変わっています。当時は「差別」がキーワードでしたが、今は「個人の生き方」と「多様性」ではないでしょうか。
楽しむためのスポーツが「競技」となり、国際大会で国の代表が競争するようになれば、当然「国籍の縛り」が出てきます。でも、これは国際的な「ルール」でもある。だから、在日が韓国籍や朝鮮籍のままでは日本代表になれないのは差別でなく、在日の人たちが「生き方」をどう選択するのかという問題なのです。
例えばサッカーでいうと、李忠成(浦和レッズ)は本名のまま帰化し、日本代表になりました。そして、2011年のAFCアジアカップ(ドーハ)の決勝でボレーシュートを決め、一躍日本のヒーローとなるわけです。
一方、鄭大世(韓国Kリーグ)は北朝鮮代表に入り、プロとしては韓国でプレーをしている。この2人を比べた時、李が祖国や民族への思いが弱く、鄭が強いかというと、決してそうではありません。彼らの判断基準は、短い選手生命の中でいかに結果を残すかです。これは日本人や在日を問わず、スポーツ選手共通の問題です。その中で、在日の選手には「パスポート主義」というルールがある以上、祖国である韓国・北朝鮮か生まれ育った日本かを選択しなければなりません。李のように、己の可能性にかけるために日本国籍を取る生き方。鄭のように、いばらの道を承知で祖国の代表にチャレンジする生き方。どちらの場合も、選手個人が生き方を決定した。これが今の流れではないでしょうか。
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