五輪正式種目化に立ちはだかる分断された空手界の”在日問題”

――2020年に開催される東京オリンピックで「空手」が正式種目として採用される道が開けてきた。しかし、空手には「伝統空手」と「極真空手」とがあり、別々に採用を目指している。そもそも、空手界はなぜ分裂し、折衷案が話し合われないのか……その背後には、根深い「民族問題」が見え隠れしていた。

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国際オリンピック委員会(IOC)は14年12月、モナコで臨時総会を開き、オリンピック改革案「アジェンダ2020」を採択した。これにより、開催都市である東京が実施競技・種目を追加提案できることとなったため、野球、ソフトボールが復活する見通しであり、空手もまた、追加提案の対象として検討されている。

しかし、空手のオリンピック正式種目化が検討される背後に、空手界が目をつむる”闇”があると、都内で空手道場を経営する師範は吐露する。

「”ゴッドハンド”と呼ばれた空手家・大山倍達が作り上げた極真空手は、世界最大の空手流派です。大山が世界に空手を広めた最大の功績者のひとりであることは、間違いありません。しかし、彼は日本から叙勲すらされておらず、同時に、極真空手は日本体育協会に加盟できていない、学校の部活動にも採用されないなど、組織的な面で疎外されてきました。

実はこの背景に、創始者である大山倍達の”在日韓国人”という出自の問題があるのではないか……と囁かれてきたんです」

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