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マンガ(裏)レビュー【2018年2月号第1特集】

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2018年1月の記事一覧

手塚治虫は生きている?――マンガの神様のスピンオフ作品



『PLUTO (1)』(小学館)

 スピンオフマンガの元ネタは最近の作品ばかりではない。「マンガの神様」手塚治虫の作品も、最近は続々とスピンオフ化されている。

『鉄腕アトム』に関しては、すでに03年に人気マンガ家の浦沢直樹によって、「地上最大のロボット」という1エピソードを膨らませた『PLUTO』が大評判を呼んでいる。

 その鉄腕アトムも、現在『アトム ザ・ビギニング』(原案・手塚治虫/

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派生作品は元ネタの力量ゆえ……か?――業界不況が生んだ新たな金脈!本家を超えるスピンオフを探せ!

毎年恒例のマンガランキング『このマンガがすごい!2017』(宝島社)の1位に選ばれたのは『賭博黙示録カイジ』のスピンオフ作『中間管理録トネガワ』(共に講談社)だった。これに限らず、近年、業界ではこうした人気作品のスピンオフが目につくようになり、中には原作を“喰う”作品も登場しているという――。

映画化も大ヒットを記録した『闇金ウシジマくん』には、個性的なキャラが多数出演する。

『闇金ウシジマく

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ブロッケンJr.が原因でフランスからアニメが淘汰された?――『ヘルシング』出版は逮捕の恐れも!ナチス描写の海外規制事情

日本のマンガやアニメは世界各国に輸出されているが、国によっては法律や慣習に基づいて、一部表現に規制がかけられることもある。それは性的表現、喫煙、残虐描写などさまざまあるが、あくまでコマの一部。それでは、世界最大のタブーのひとつ“ナチス”の場合はどうなるのだろうか?

1996年に翻訳された米国版『アドルフに告ぐ』。なんか怖い。

「クールジャパン」という名のもと、世界中に発信されている日本のマンガ

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服部昇大先生、激おこ!!??――「日ペンの美子ちゃん」作者、80年代マンガへの礼賛!

今や6代目「日ペンの美子ちゃん」の作画のみならず、『テラフォーマーズ』のスピンオフや、「日ポン語ラップの美ー子ちゃん」などのヒット作も世に放つ、売れっ子マンガ家・服部昇大先生。そんな服部先生が、とんでもなく影響を受け、いま再注目もされている“80年代のマンガ”にあって、今は失われてしまったものを、描き下ろしてもらったよ!

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風早くんはアバクロを愛用!? 2000年代の少女マンガ、その人気キャラをメッタ斬り!――イケメン四天王・辛口ファッションチェック

少女マンガの世界では「イケメン」としてちやほやされているキャラクターたちも、いざ現実世界に置き換えてみると身だしなみがダサすぎる! プロのスタイリストたちによる、イケメンキャラのファッションチェックを敢行したところ、辛口意見のオンパレードに……。少女マンガをこよなく愛する新人編集部員Mによる猛反論も併せてどうぞ。「ボロを着てても心は錦だからいいんですよ!」(編集M談)

■北海道が生んだイモくさ純

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女子マンガ研究家・小田真琴が「ダサさ」の必要性を説く――風早くんのダサさには意味がある!? 少女マンガファッションの変遷と真意

「少女マンガに出てくるイケメンたちってやたら洋服がダサくないですか?」何気ない編集部員の軽口に反論するのは、『マツコの知らない世界』(TBS系)に出演し、マツコ・デラックスを唸らせた少女マンガ偏愛家・小田真琴氏。「あのダサさには意味があるんだ!」と息巻く氏が語る、少女マンガとファッションの歴史とは……。

大学の寮を舞台にした吉野朔実の『月下の一群』(集英社/82年)。夢のようにおしゃれな大学生た

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【しらほしなつみ】人気レイヤーがここまで魅せた!! コミケじゃ絶対見られない初めての“素”グラビア!

【拡大画像はグラビアギャラリーでご覧いただけます。】

(写真/飯野高拓)

マンガやアニメのキャラクターに扮する人気コスプレイヤーのしらほしなつみちゃん。「2018年は飛躍の年にしたい!」ということで、マンガ特集だけど、あえて“コスらず”に、“素”のビューティ&キュートなグラビアに挑戦してもらったよ!

 マンガ特集のグラビアを飾るのは、なんと人生初のグラビア撮影という、しらほしなつみちゃん。本

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読者からの苦情は「内容が残酷すぎる!」――レディコミの女帝が描いた背筋も凍るタブーエピソード

男女がまぐわう性描写をはじめ、人生の転落、復讐劇、育児ノイローゼ、嫁姑問題――。世の女性たちが決して表に出さず、内側に潜ませている怒りや欲望、そして闇をリアルに描き出すレディースコミック。本稿ではレディコミの女帝こと井出智香恵に泣く子も黙る鬼畜エピソードを聞きながら、歴史と変遷を追ってみよう。

(写真/西木義和)

 冷たい風が舞う師走の京都。今回のマンガ特集で取材に応じたのは、1989年から「

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【更科修一郎】原作も読み、端折られた要素に笑え――大人が子供に読ませたいあからさまな自己啓発書

出版界のヒットメーカーが編集を手がけ、瞬く間に100万部を突破した『漫画 君たちはどう生きるか』(マガジンハウス)。糸井重里ら著名人も称賛のコメントを寄せ、メディアにも絶賛の記事が並んでいる。本稿では、そんな同書の裏にあるイデオロギーや時代性を、“サイゾー的”に批評、レビューしてみると……。

更科修一郎・コラムニスト&〈元〉批評家

マンガ編集者を経て、90年代から批評家として活動。2009年、

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【音楽ライター・磯部涼】『ルポ 川崎』は浦川君側の人が主人公……本書の進歩主義的思想は川崎の不良に届くか――

出版界のヒットメーカーが編集を手がけ、瞬く間に100万部を突破した『漫画 君たちはどう生きるか』(マガジンハウス)。糸井重里ら著名人も称賛のコメントを寄せ、メディアにも絶賛の記事が並んでいる。本稿では、そんな同書の裏にあるイデオロギーや時代性を、“サイゾー的”に批評、レビューしてみると……。

磯部 涼・音楽ライター

磯部涼・音楽ライター…1978年生まれ。中1殺害事件をはじめ陰惨な出来事が立て

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【音楽ジャーナリスト・小林雅明】2018リミックス版の登場も期待――ヒップホップであれば問われる前に働き、喋る

出版界のヒットメーカーが編集を手がけ、瞬く間に100万部を突破した『漫画 君たちはどう生きるか』(マガジンハウス)。糸井重里ら著名人も称賛のコメントを寄せ、メディアにも絶賛の記事が並んでいる。本稿では、そんな同書の裏にあるイデオロギーや時代性を、“サイゾー的”に批評、レビューしてみると……。

小林雅明・音楽ジャーナリスト

著書に『誰がラッパーを殺したのか?』(扶桑社)、監訳書に『チェック・ザ・

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【クロサカタツヤ】学びと発見のヒントが本書にはある――私たちのデジタル化にも「おじさん」は必要だ

出版界のヒットメーカーが編集を手がけ、瞬く間に100万部を突破した『漫画 君たちはどう生きるか』(マガジンハウス)。糸井重里ら著名人も称賛のコメントを寄せ、メディアにも絶賛の記事が並んでいる。本稿では、そんな同書の裏にあるイデオロギーや時代性を、“サイゾー的”に批評、レビューしてみると……。

クロサカタツヤ・株式会社 企(くわだて)代表取締役

1975年生まれ。三菱総合研究所にて、情報通信事業

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【精神科医・岩波明】『エヴァ』や宮崎アニメとも相通じる!?「ピュアな革命思想」に現代の若者が共振か

出版界のヒットメーカーが編集を手がけ、瞬く間に100万部を突破した『漫画 君たちはどう生きるか』(マガジンハウス)。糸井重里ら著名人も称賛のコメントを寄せ、メディアにも絶賛の記事が並んでいる。本稿では、そんな同書の裏にあるイデオロギーや時代性を、“サイゾー的”に批評、レビューしてみると……。

岩波 明・精神科医

1959年、神奈川県生まれ。東京大学医学部卒。都立松沢病院、東大病院精神科などを経

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【辛酸なめ子】寝込みを襲われBL的展開を妄想も……格差の時代だから響く無職おじさんの共産思想

出版界のヒットメーカーが編集を手がけ、瞬く間に100万部を突破した『漫画 君たちはどう生きるか』(マガジンハウス)。糸井重里ら著名人も称賛のコメントを寄せ、メディアにも絶賛の記事が並んでいる。本稿では、そんな同書の裏にあるイデオロギーや時代性を、“サイゾー的”に批評、レビューしてみると……。

辛酸なめ子・漫画家、コラムニスト

1974年、東京生まれ埼玉育ち。マンガ家・エッセイスト。皇室、スピリ

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