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赤痢の勇者

3〜4人声劇台本 
執筆:cyxalis

コメディ。(う〇ちネタがあります)

N:ナレーション
勇者: しんどい。
若い魔物: ノリノリだったけど……。
母: 優しい。Nと兼役可


N「ここはとある中世でのできごと。魔王と勇者が存在する世界。今日もまた勇者が戦いにいそしむ!」


若い魔物「よく来た。勇者よ。」

勇者「まあ。それが俺の仕事だし。」

若い魔物「街を焼き払いながら。」

勇者「おまえらが始めたことだろ。」

N「ちなみに勇者は全戦全勝、全てを血の海に沈めてキタァ!」


若い魔物「始めた?何の話だ」

勇者「知らないのか?罪がわからないなんて、やっぱり死んで当然だな」

若い魔物「......随分と口が悪いんだな勇者ってやつは。どこの出身だ」

勇者「どこだっていいだろ。クズに教えてどうする」

N「勇者が剣を振りおろす! 大地が割れて突風が土砂をまきあげた。若い魔物は生きているのか?」


若い魔物「ふざけてんのか?戦争のきっかけはコタンの反乱だろう。俺たちを奴隷として売ってきたマラニー国が反乱にかこつけてーー。」

N「生きてた!」


勇者「奴隷のクズの分際で、主人を皆殺しにするなんてあっちゃだめなんだよ。お前たちは神が作った失敗作なんだよ!」

若い魔物「この世に失敗作なんてない、勇者。お前を含めてな。それでどこの出身だ。」

勇者「俺を含めて…だと?勇者である俺をクズと一緒にするな!」

若い魔物「どこの出身だ?」

勇者「どこだっていいだろう!」

若い魔物「どこの国のサポートを受けている?」

勇者「これから死ぬやつには関係ないね」

N「嘲笑う勇者!草生やしまくるその顔は煽りMAXだ!」


若い魔物「他国出身ならマラニー国に送り返すわけにもいかないだろ。」

勇者「送り返す?勝てるとでも思っているのか俺に?クズでバカとか救いようがねぇよ。死体を犬に食わせるくらいしか活用法がねぇな」

N「草超えて森生やす勇者。対して若い魔物は……ピキッときているご様子!」


若い魔物「シャーマン達を呼んだから。」

勇者「はぁ?邪教は本当にろくでもないことしかしないな。男なら戦え!この弱腰の負け犬め!ママに守られてないと何もできないんだろ!ろくでもない彼女しかできないだろうなぁ。男っていう楽しみを覚える前に殺してやるよ赤ちゃん。」

若い魔物「……シャーマン達が来るから。」

N「おっ。私の目には見えますよ。シャーマンが4人来てますね。……あっ。勇者が若い魔物に再び切りかかっています!なにか見えない壁に守られていますね。」


若い魔物「で。どこ出身?」

勇者「マラニー国っだッッ!戦え!!!」

若い魔物「ここに来るまでにどれだけ殺してきたんだ。丸腰の相手を襲おそってそれでも勇者か?……ってか、お前臭くない?」

N「おや、勇者が距離をとりましたよ。話す気になったのでしょうか。」


勇者「……。」

若い魔物「うんち臭いよおまえ。漏れてない?」

N「うーん。私に嗅覚はないので分かりませんが、勇者のパンツは濡れている。ぉお!濡れているようです!」


勇者「……もういいよおまえ。しねよ。」

若い魔物「よく見たら血も滲んでない?……うわ!来た道にうんち道できてんじゃん!やだ!えんがちょ!」

勇者「えんがちょ!じゃねーよ!!!」

N「勇者にクリーンヒット!」


勇者「……いいこと教えてやるよ。戦争ってのはな瘧(おこり)みたいなものなんだ。生きる苦しさからくる熱病なのさ。そうさ……。まるで病のように憎しみもうつり広がっていく。熱に浮かれ苦しみ、大義に熱狂し血を流す。」

若い魔物「ねぇ、うんち関係ある?」

勇者「この熱病は赤痢なんだ。」

若い魔物「そうなの?」

N「実際、勇者が通った場所は血みどろですよ。赤痢とともに。ちなみに勇者に会って赤痢にかかった魔物はマラニー国に攻めこんでいきました。」


勇者「戦争という熱病にかかったら、赤痢を撒き散らしながら他国を攻め込むしかない。大地を糞尿と血で染めながらな!お前も赤痢にかかって死ね!!!」

若い魔物「やだこないで!?えーんがちょ!!!」

勇者「もう誰にも止められやしないんだ!!!」

N「シャーマン達が来ましたね。間にはいって勇者と何か話しているようです。」


若い魔物「じゃ!俺はこれで!」

勇者「逃すか!!!お前も憎悪に染まれ!赤痢にかかれ!糞尿を撒き散らせ!!」

N「シャーマン達が宥めていますね。手にもっているのは転移護符かな?」


勇者「いやだ!国には帰らない!あんなところには絶対に!それくらいなら死んだほうがマシだ!殺せ!!!お前らも赤痢にかかれ!!!」

N「根気よく宥めていますねぇ素晴らしい。シャーマンの詰所で話を聞くようです。勇者の赤痢も治るといいですね。めでたし。めでたし。」


N「後日談」

若い魔物「あっ。ちょっと赤痢っぽいかも……。」

母親「もう寝なさい。お布団しっかりお日様にあててカラカラに干してあるから。明日のごはん2倍にしてあげる。」

若い魔物「勇者ほんとうに口が悪くて……、あれなんて言ってたっけ?」

母親「思い出せないなら思い出さなくていいわよ。……ゾッとしちゃう。鳥肌がたっちゃうわ。」

若い魔物「……ねぇ、手作りコロッケ食べたい。」

母親「いいわよ。手間だけどね。そのくらいやってあげるわよ。私やさしいんだから。」

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