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俺はなかなかカッコいい

1人声劇台本
執筆: cyxalis & 知り合いの男の子2人


俺はなかなかカッコいい。
いや、うぬぼれじゃない。みんなきっと、自分はなかなかイケてるって思ってるはずだ。

目は二重じゃないし、ちょっと太ってる。でも俺はなかなかカッコいいんだ。


妹:ゆかり「ちょっと早く起きてよ。お兄ちゃん!」

俺「今おきたって。」

妹「はやく、はやく食べてって。今日の皿洗い当番は私なんだから。」


俺がもそもそご飯を食べている間、妹は慌ただしく髪にアイロンをかけている。


俺「ゆかり、アイロン手伝ってあげよっか?」

妹「ほんと?やってほしいかも。お兄ちゃん上手だし。……あっでも、先にご飯食べてよ!洗わないといけないんだから。」

俺「大丈夫。俺があとで洗い物やっておくから。今日は2限からだし時間があるんだ。」


アイロンを丁寧に持って、妹の髪にかけていく。
俺が大学に入って髪にアイロンをかけるようになるまで、一度もアイロンを任せてくれなかった妹も、今はすっかり俺を信用してる。


今日の授業は2限からだしテストもない。
妹を見送ったあと誰もいないリビングで、椅子に腰かけ机に裸足を乗せる。
のけぞれば開放感がすげーの。


その姿勢のまま、友人が好きって言ってたマンガを読んでいたら、すぐに登校時間になった。
余裕を持って行動しているお陰で、髪のセットも良い感じだ。アイロンをかけた前髪が良い感じに流れてる。
ただ、後頭部だけ微妙にうねるんだよな。


上機嫌で玄関におもむき。靴をはいていると、ふと何か忘れ物がある気がした。

俺「やべっ。俺、洗い物してねーじゃん。」

皿洗いを諦める?遅刻するから?
いや、俺にとって妹の信頼っていうのは大学での評価よりも重い。



靴をほおって慌ただしくリビングに駆け込む。じゃっぱじゃばじゃっぱと皿を洗って乾燥器に入れる。

……。ちょっとまて。俺ちゃんと洗ったか?
乾燥器をとめて食器を確認する。


(AD)これは大丈夫。これも平気……。
俺「.……ぁあ!……米粒!おまえぇぇええ!」


茶碗に米粒が張り付いている。しばらく放置されたせいでカッピカピで剥がれそうもない。しかも妹の茶碗だこれ。

どうする!?ごまかす!??
いや!兄の威厳はこのくらいじゃ揺るがない。
思い出せ日々の努力を……。……。
……威厳なんてないかも。


茶碗に水をはりシンクに置く。
帰った時には、米粒がふやけて洗いやすくなっているはずだ。

ちょっとしたあがきにしかならないけど、しないよりましだ。


な?俺はなかなかカッコいいだろ?

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