『荒地』を愛でる「火の説教」 4

 A rat crept softly through the vegetation
 Dragging its slimy belly on the bank
 While I was fishing in the dull canal
 On a winter evening round behind the gashouse.

https://poetry.hix05.com/Eliot/eliot09.sermon-2.html#google_vignette

一匹の鼠が植物のしげみの中を通って
ぬらぬらお腹をひきずって土手の上を静かに這った。
わしはその時どんよりした運河で釣りをしていた。
冬の夕方であった。ガスタンクのうしろへ廻って釣りをしていた。

荒地 https://amzn.asia/d/88qugEV

ネズミが草のあいだを静かに這っていた
ヌルッとした腹を土手の上に引きずりながら
私はよどんだ運河で釣りをしていた
とある冬の夕方、ガス工場の裏手で

http://www.shumpu.com/portfolio/727/

この中で「釣り」というのは、また後で出てくる。
鼠の描写はやはり西脇訳の方が気味が悪い。
しかし、後半は、解釈が違ってくる。
「gashouse」は、ガス工場とか酒場と辞書では出てくる。
ガスタンクはさすがに意訳過ぎるのかも知れない。
たぶん、太陽を釣り上げたくらいのイメージがあるのかもしれない。
また、文の切れ目も二つの訳で変わってくる。

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