『荒地』を愛でる「火の説教」 10

 At the violet hour, when the eyes and back
 Turn upward from the desk, when the human engine waits
 Like a taxi throbbing waiting,
 I Tiresias, though blind, throbbing between two lives,
 Old man with wrinkled female breasts, can see

https://poetry.hix05.com/Eliot/eliot10.sermon-3.html

すみれ色の時刻
眼も背中も机から離れて上の方を向く、
人間の発動機は、
待っているタクシィのようにゴトゴト動悸をうっている時に
わしはティーレシアといって盲人であるが男と女の二つの世界の間に生きている
萎びた女の乳房のある老人だ。

荒地 https://amzn.asia/d/1GkbDhl

すみれ色の時刻、目と背中が
デスクから上を向く時、エンジンを振動させて待つタクシーのように
人のエンジンが待つ時、
私テイレシアス、盲目だが、二つの生の間で鼓動して、
萎びた女性の乳房を待つ老人には、見える

http://www.shumpu.com/portfolio/727/

もう翻訳は、文芸だなと思う。
例のように滝沢訳は、語順も単語もそのまま置き換えている。
しかし、西脇訳は、語順も単語の解釈も違う。
それは、たぶん関係代名詞の捉え方の違いなのだろう。

すみれ色の時刻。
という幻想的な世界観を提示している。
「人間の発動機」という西脇訳は不可思議だ。
「男と女の二つの世界の間に生きている」とはどういうことだろう。
確かに、男性のような老婆を見かけるが、きっとそれを
契機にした幻想だろう。

I Tiresias から can see
が、なんか技法的なものを感じる。
母国語で分かりたかった。

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