『チェルノブイリ』(2019)   第一話から観る側が息苦しさを覚えるほどの異常な緊迫感

第一話の序盤から異常な緊迫感。名優リチャード・ハリスの息子ジャレッド・ハリス。大作映画の主演級の出演は無いが、この人の演技は、いよいよ父親と並ぶところまで来た気がする。
第一話では電話越しの声の出演のみのステラン・スカルスガルド(スウェーデン出身)を除けば、出演者のほとんどがブリティッシュ俳優。昨今の風潮だと「ソ連時代のロシア人やウクライナ人が、なんで英語を喋ってるんだ!」とつまらないことを言う人もいそうだが、シェイクスピアの時代から、設定がイタリアだろうとデンマーク、あるいはギリシャだろうと、イギリスの舞台俳優は英語で演じてきたのだ(本作品もジャレッド・ハリスを初め半数以上が舞台出身の俳優達である)。
余談だが、ソ連時代にレンフィルム映画スタジオで制作されたワシーリー・リヴァーノフ主演の「ソ連版シャーロック・ホームズ」シリーズは、敬称や固有名詞以外は全てロシア語だが、本場イギリスでもグラナダ版ホームズが始まるまで、シャーロック・ホームズ映像化作品の最高傑作と評され、現在でも英語圏で高く評価されている(以前は日本のプライム・ヴィデオでも原語で視聴可能だった)。演劇とはそういうものなのだ。
演技派の英国俳優陣のアンサンブル・キャストで描く悪夢のような最悪の原子力事故。観る側が息苦しさを覚えるほど。全5話、最後まで目をそむけずに観ることが出来るかどうか…。


2019年9月27日に日本でレビュー済み

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