『KOKORO』 (2016)   中年フランス女性の『不思議の国のアリス』

2020年1月6日に日本でレビュー済み
形式: Prime VideoAmazonで購入
(核心や結末に関する記述あり)

主人公の名前もアリスとそのまま。
フランスからすれば地球の裏側の極東日本は不思議の国だろう。東京の人なら分かるが、羽田空港から電車を乗り継いで新宿へ出るというのは結構面倒だ。新宿ならリムジンバスで行けばいいのだが、東京メトロ丸ノ内線は「ウサギの穴」なのだ。
ヒロミは「白ウサギ」、ダイスケは「三月ウサギ」といったところか。民宿の朝食や、ダイスケ宅の夕食は「狂ったお茶会」を思わせるし、急須は当然ながらティー・ポットだ。ミドリは「眠りネズミ」だろう。
しかし『オズの魔法使』との2層のオマージュという解釈も可能で、主人公が緑色のスウェーターを着て、緑色のショールを巻いているのは、エメラルドの都のオマージュかもしれない。ダイスケはカカシやライオンのようでもあるが、「グリンダ(良い魔女)」ということになるだろう。
主人公は大切なものは何処にあるかに気付き、晴れやかの表情のエンディング。とくに教訓は無いのが『不思議の国のアリス』の特徴で、大切の物は実は身近(お家)にあると気が付くのが『オズの魔法使』だから、むしろ後者に近い物語かもしれない。

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