Bako Titov「宙に燃える」 ~ボカロレビューその1~
突如現われた新星、その名も「Bako Titov」
僕がBakoさんのことを知ったのはごくごく最近のことで、アルン堂guan(@34guan)さんというフォロワーの方が毎月まとめているUTAUオススメをなんとなくながめていて、たまたま曲を聴いたのがきっかけだった。
この時聴いたのがBakoさんの処女作「Funkがしたい」だ。音楽の初期衝動を歌った傑作である。
「う"~ん、FUNKがしたい!」
あまりにストレートなフレーズに、僕の心は鷲掴みにされてしまった。
最新曲「宙に燃える」
その後もBakoさんは意欲的に曲公開を続けていく。メロウな曲進行に繊細な心の機微をうたった「ヘンルーダ」、aviutlを駆使して自身初の動画にも挑戦した「自己騙し」など、とにかく曲のバリエーションが広く聴きごたえがある。
そんな彼の最新曲が「宙に燃える」だ。
冒頭「あまりにも遠く ぽつり孤独」から始まる非凡なリリックセンス。続く「マリウスの丘の上」は月に実在するマリウス丘のことで、ヘンルーダに出てきた歌詞「ヘボナの小瓶(こちらはハムレットからの引用)」のように楽曲の幻想感を押し広げるのに一役買っている。
楽器構成は非常にシンプルで、左でクリーントーンのギターが鳴り、真ん中はベースとドラム、右は鍵盤が隙間を埋める。そしてコーラスワークがそれらを包み込むように配置されている。
サビの転調と、そこからまた元の調に復帰する流れが特に秀逸で、ふわっとしたコードワークに抑揚をつけることに成功している。
彼の楽曲のクオリティを確固たるものにしているのは、ギターの演奏技術と圧倒的な知識量からなる強固なバックボーンだ。相当幅広く音楽を吸収して、自分のものへと昇華してないとこんな曲は書けないだろう。ぜひ聴いてもらいたい。
Bako Titovの今後から目を離すな
矢継ぎ早にリリースされたどの曲もクオリティが非常に高いが、まだ余裕すらうかがえる。2019年最注目のボカロP「Bako Titov」の次作、ボカロリスナーは決して見逃してはならない。