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メンタル症状でお困りの方へ


これまで個別でご質問にお答えしてきましたが、今回はメンタル症状でお困りの方のコメントが重なっており、やはり多くの方がメンタルダメージでお困りであることを再認識しました。

そこで今回は個別の回答ではなく東洋医学のメンタルダメージに対する捉え方や治療についてまとめてみたいと思います。

まず前提としてここにまとめる内容は本当の東洋医学、伝統的な東洋医学を学んでおられる先生にしかご理解頂けない、対応できない内容です。

鍼灸院、鍼灸整骨院、漢方内科、あるいはかかりつけの病院や医院での漢方処方であっても、多くは西洋医学的知識に基づいたものや対症療法、病名に合わせる処方など、本当の東洋医学ではないものが多いため、ここに書く内容をお求めの場合には伝統的東洋医学を学んでおられるところでケアを依頼してください。

伝統的東洋医学は自律神経の働きや内臓の働きを診てメンタルダメージの原因を東洋医学的に診断します。そのための基礎的診断法が脈診です。

各先生方の力量は経験や診療年数にもよりますが、脈診を行っておられるところは最低限でも本当の東洋医学を学んでおられるはずですので、まずは脈診をされるところをお探しください。

この記事はメンタル症状でお困りの方で西洋医学だけでは治らないという不安をお持ちの方に東洋医学のメンタル症状の捉え方を知って頂き、少しでも希望を見出して頂けることを目的として記載しています。
そのためこの記事ではセルフケアや治療法、漢方などは記載しません。これらは全てそれぞれの方によって変わってくるからです。

まずはこの記事で東洋医学がメンタルケアにも非常に有効であるということを感じていただければと思います。

メンタルと東洋医学

東洋医学ではメンタルのダメージを2つの視点から捉えます。

1、メンタルと内臓との関連性

東洋医学は五行を基礎とします。五行とは身体に起こる生理的な働きを表しており、それぞれの働きを司る臓器があるとされています。
従ってメンタル面の異常はいずれかの臓器の働きが低下する、または過剰になることから現れると考え、それぞれのメンタル症状が属する臓器の働きを調整することでメンタル症状を改善します。この考え方での治療は東洋医学の中でも鍼灸が得意とする治療法です。

【木=肝臓、胆嚢】

組織の収斂、気の上昇(交感神経的働き)を担う、怒りを司る
▶︎この働きが過剰になるとメンタル面では、イライラ、セカセカ、落ち着かない、興奮傾向が強い、攻撃的になる、ヒステリー球(喉の詰まり)、ホットフラッシュなどが起こる
▶︎この働きが弱るとメンタル面では決断力がなくなる、やる気がなくなる、行動できない、発信が苦手などが起こる

【火=心臓、小腸】

活動力や体温を作り出す、恒常性を維持する、外部からの刺激に対するガードを担う、喜びを司る
▶︎この働きが過剰になるとメンタル面では、ハイになり過ぎて落ち着きがなくなる、集中力が散漫になる、持続性がなくなり様々なものに興味が移ろいやすい、一つのことを継続できない、動悸
▶︎この働きが弱るとメンタル面では、不安感が強くなる、緊張感が強い、落ち込みやすい、パニック障害、他者のことが過剰に気になる、人の感情に過敏になる、感受性が高過ぎでダメージが増える(HSP)、不整脈

【土=脾、胃】

組織の弛緩を担う、過敏な反応を抑え生理的働きを穏やかにする、モノを創り出す、創り変える、精神的リラックスや調和を担う
▶︎この働きが過剰になるとメンタル面では、緩み過ぎる、優柔不断になる、思い悩みやすい、身体が重くやる気が出ない
▶︎この働きが弱ると気やエネルギーが創り出せず力が出ない、胃腸の働きの低下、常に緊張感が取れない

【金=肺、大腸】

気を全身に巡らせて心身を活性化する、体表面を引き締めて風邪などから身を守る、気を下ろして精神や神経の興奮を抑制する、理性を司る、などの働きを担う
▶︎この働きが過剰になると精神面が抑制的になり悲しみやすくなる
▶︎この働きが弱ると気が巡らず朝起きにくい、起床時に気分が塞ぐ、理性が減少して興奮しやすくなったり怒りやすくなったりする、ヒステリー球(喉の詰まり)などが起こる

【水=腎、膀胱】

水を引き込み潤いを保持する、精神・神経の興奮や体温上昇を抑制する、精神的な持続力(志)を司るなどの働きを担う
▶︎この働きが過剰になるとメンタル面では頑なになり過ぎる、感情を表に出さない、周りから何を考えているか分かりづらい
▶︎この働きが弱ると志が続かず一つのことに集中できない、相手や暗いところに引き込まれそうな恐怖感、驚きやすい、火照りやホットフラッシュ

2、メンタル異常を引き起こす邪(病理産物)

東洋医学では身体の構成物質を気、血、水と考え、これらの異常によって邪が生まれ、その邪の種類や在り方の違いによって様々なメンタル異常が起こると考えます。
この考え方は東洋医学の中でも漢方が得意とする治療の方法です。以下のそれぞれの邪に合わせて漢方が処方されます。
本当の漢方はこのように病名ではなく邪の種類や体質に合わせて処方されます。同じ病名でも原因や体質が違えば全く作用が違う漢方が処方されます。
従って症状のみではどの漢方が合うかの判断はできません。

【気の異常】

気が足りない気虚、気が巡りにくくなる気滞、気が抑圧される気鬱、気が上がる気逆、などがメンタルの異常を引き起こすとされています。
▶︎気虚=疲れやすくやる気が出ない、冷え
▶︎気滞=不安感ややる気が出ない、喉やみぞおち辺りに詰まりを感じる、フワフワするめまい
▶︎気鬱=鬱症状、気分が優れず動くのが億劫
▶︎気逆=イライラ、セカセカ、煩躁(ソワソワしてジッとしていられない、焦って自分が何をしているのか分からない、情報処理が出来ない)、動悸、火照り、ホットフラッシュ、めまい

【血の異常】

血が足りない血虚、身体に熱がこもった状態の血熱、血の流れが悪くなる瘀血などがメンタルの異常を引き起こすとされています。
▶︎血虚=動悸や不安感、気逆、イライラ、セカセカ、潔癖、精神的に緩めない、緊張が緩まない、めまい、パニック障害、不眠、多動、発達障害など
▶︎血熱や瘀血=煩躁、特に胃に熱が多い場合は統合失調症のような症状(躁うつなど)、怒りやすいなど

【水の異常】

水の停滞、水の不足が様々なメンタル症状を引き起こします
▶︎水の不足=煩躁、落ち着かない、不眠、ホットフラッシュ、手足の火照り、動悸、不安
▶︎水の停滞=身体のむくみや倦怠感、みぞおち辺りに水が溜まる(胃がチャポチャポする)と陰陽が交流しにくくなり自律神経失調、強い不安感、めまいなど

まとめ

ここまでまとめてきたように、東洋医学ではメンタル症状の捉え方や原因の診方が西洋医学のそれとは全く違うことがご理解頂けたかと思います。

西洋医学は今現れている症状のみをターゲットとするため、症状を抑えることを治療とします。
対して東洋医学は今ある症状の大元の原因を追求してそれに対応する治療や漢方処方を行うので西洋医学とは全く違うアプローチが可能です。

また西洋医学が唯物的医学であり、物理的な異常を対象とするのに対して、東洋医学は物理的異常が起こる前の「働きの異常」から対象とするため西洋医学の検査で異常が感知出来ない状態でも働きの異常を脈診や望診、舌診という方法で感知するため、西洋医学では治らないとされる症状も改善するケースがあります。

何かの症状でお困りになると「〇〇」というご自身の病名をキーワードにしてネット検索されると思いますが、この場合は(特に重度の症状や難病などの場合)完治しない、薬がやめられない、などの結果が割合的に多くなると思いますが、

「〇〇 漢方」または「〇〇 東洋医学」というキーワードでネット検索して頂くと「治った」「〇〇にこの漢方が効いた」などの記事や、「〇〇に対する〇〇湯の効果」というような論文がヒットしたりするようになるため、諦めておられるような症状でも少し希望を見出して頂けると思います。

もちろん何に対しても全てケア出来る、という訳ではありませんが、少なくとも根本原因を追求してそれに対してアプローチするため少なくとも西洋医学とは違う見解で治療出来る、と言えるのではないかと思います。

繰り返しになりますがこの記事は今感じておられる症状をどう治すか?というよりも、薬がやめられない、いつになったら治るのか、いつまでも服薬を続けなくてはいけないのか、などということで落胆されている方に、

東洋医学のメンタル面に対する多彩な診断や対応策があることを知って頂き、少しでも希望を持って頂くために記しました。少しでも多くの方のお役に立てば幸いです。




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